無料給食支援の落とし穴。食料の質と量、安全面で問題を抱える児童はロンドンだけで約40万人いる(イギリス)

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ロンドンでフードバンクの需要が急増

近年、大都市ロンドンでフードバンクが急増している。この背景には、低所得世帯の増加があり、彼らへの支援として新たな法が提案され、今より更に多くの子供たちが学校給食を無料で受ける権利を得られるようになる日も近いとされている。

現状としては、小学校2年生以下の児童は給食が無料で提供されており、3年生以上でも低所得家庭の子供は給食費を支払わなくてもいいという福祉がある。

これについては、基本的に学校給食が無料になる児童の家庭は、ユニバーサル・クレジット(2013年に導入された低所得層向けの給付制度)や所得補助に頼っている場合に限られている。

現在、ロンドンで94000人ほどの児童がこの権利を得ていると言われているが、ロンドン市長による最近の食料不安に関する調査では、ロンドンだけでも約40万人の子供たちが食料安全保障問題を抱えていることが明らかになった。

ロンドンが抱える深刻な食料安全保障問題

「食料安全保障問題」とは市役所の定義によると、人が十分な量の手頃な栄養価の高い食料を、信頼できる方法で確実に入手できない場合、またはそのリスクがある場合を示す。

この問題を解決するために複数のフードバンクが手段を講じてはいるが、ロンドンのフードバンクのほとんどを運営しているTrussell Trustの去年の調査では、支援を受けているロンドン居住者は166512人で、そのうち3人に1人は子供だそうだ。

この調査結果は、数十万人の学童が学校や家庭で適切な栄養を摂取していない(またはできない)ことを意味している。

EU離脱で年内には食料品価格の高騰が予想

英国は最近ついにEU離脱となり、この1年で全てが大きく変わる可能性が示唆されている。ついては、英国食品・飲料連盟の最高執行責任者が「食料品価格が上昇する可能性も十分にある」と言及している。

そうなると、ますます地元の複数のフードバンクのボランティアたちは、子供たちがきちんと食事ができるように配慮しなければならない。

No one should ever need to use a #foodbank. But as tonight's @BBCTwo doc highlights, #UniversalCredit isn't the poverty-fighting reform that was once promised. People experiencing delays, esp with the five-week wait, have been forced to charity to survive. This isn't right. pic.twitter.com/syZz11XhVA

— The Trussell Trust (@TrussellTrust) February 4, 2020

「ロンドン市内で空腹の子供たちを失くす」ことを目標とし、普遍的に無料の学校給食を提供するよう動議提案がなされたが、これに参加したメンバーの1人フィオナ・トワイクロス議員はこのように述べている。

世界で最も裕福な都市のひとつとされるロンドンで、常に空腹の子供が約40万人もいるなどということは、本来は起こってはならないことなのです。

食料不安は首都の何十万という子供らの生活を荒廃させ、多くの児童が空腹かつ栄養不足の状態で登校を余儀なくされています。

フードバンクやその他の慈善団体は食料貧困の影響を受けた人々に素晴らしい支援をしてくれていますが、解決策のほとんどは中央政府の手中にあります。市役所もその一環として、支援の土台を構築する必要があります。

#Foodbanks in our network are truly grateful to receive donations throughout the year so this January why not check what your local food bank needs most & donate? Or make a £ contribution instead? You can find your nearest food bank here - thank you! > https://t.co/uSoVJJGGqa pic.twitter.com/VeqvyEc9Rl

— The Trussell Trust (@TrussellTrust) January 5, 2020

システムの抜け穴に対する管理が必須

通常、公立学校の給食費用は2ポンド(約290円)〜3ポンド(約430円)の間だ。政府は、低所得家庭の児童が問題なく学校給食を食べられるように、給食を提供している民間企業に資金を与えている。

ところが、このシステムには抜け穴があるという。支援を受けるべき数千という数の児童が福祉の恩恵を受けられていないというのだ。

学校の生徒主導の調査および英国の慈善団体Citizens UKによる去年の調査の結果、未使用となっている手当が食事提供者(民間企業)により保持されていることが判明した。その額はなんと年間6500ポンド(約930億円)にものぼるというのだ。

つまり、学校給食を無料で給付されるべき対象となる児童らが、欠席したりランチタイムクラブに参加したりして1日の終わりまで給食手当を使わなかった場合、子供たちの家庭にそれぞれ学校給食の資金が支払われないため、給食を抜かした分のお金は全て民間企業や学校、地方自治体の懐に入り、直接の児童らの支援には繋がっていないことになる。

イギリス北東部を拠点に活動する慈善団体Children North Eastのルーク・ブラムホールさんは、180以上の学校を訪問し、65000人以上の児童に話を聞き、その事実を知って衝撃を受けたと話す。

全国で、無料の学校給食を提供されるためにと子供たちに割り当てられた資金が、結局は子供たちによって適切に使用されていない事実は、大きな衝撃です。

子供たちは空腹だと集中できず、学習にも差し支えます。そうなると最大限の能力が発揮できなくなる。これは何としても避けなければならないことであり、食料安全保障問題は今や国家的な問題と言っていいでしょう。

現在、複数の慈善団体が政府にこれらの手当てを返還したり、養育で苦しむ児童の家庭に渡したりするなどして、給食を食べなかった児童への支援が確実に届くようシステムの変更や管理を求める呼びかけを行っているということだ。

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