MotoGPコラム:最高峰クラスを戦う3人のルーキー。“大化け”するのは誰だ?

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2020年のMotoGPには、アレックス・マルケス、ブラッド・ビンダー、イケル・レクオナという3人のルーキーが参戦する。彼らは最初のプレシーズンテストを終え、何を感じたのか?

2020年シーズンのMotoGPには3名の新人選手が参戦する。アレックス・マルケス(レプソル・ホンダ)、ブラッド・ビンダー(KTM)、イケル・レクオナ(テック3・KTM)の3名だ。昨シーズンはファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)という逸材が出て世を驚かせたが、今年のルーキー勢からも“大化け”する可能性のあるライダーははたして登場するだろうか?

最注目のアレックス・マルケスは“努力型”

Alex Marquez, Repsol Honda Team

Photo by: Repsol Media

彼ら新人3人の中で最も注目を集めているのは、間違いなくアレックス・マルケスだ。MotoGPに君臨するマルク・マルケスの弟で、兄同様に小排気量、中排気量の年間総合優勝を獲得して最高峰クラスへ到達した。兄弟でホンダファクトリーのチームメイトになったことでも大いに注目を集めているが、目から鼻へ抜けるような天才型の兄と比較して、弟の方はどちらかというと一歩一歩地固めしながら成長していく努力型のような印象がある。

新人選手たちはいずれもセパン公式テストに先立つ3日間のシェイクダウンテストから走り始めているため、今回のプレシーズンテストで合計6日間の走行を行なったことになる。シェイクダウンテスト3日間を経てレギュラーライダーと合流した初日の走行で、アレックスのタイムはトップから0.973秒差の13番手だった。

「今は、自分のライディングスタイルやラインを変えることに取り組んでいる。すべてのライダーから学ぶことができるので、コース上で他のライダーたちと走ることができるのが嬉しい。今は何パーセントの力を出せているのかわからないけど、思ったよりもうまく走れている」

そう話す彼に、MotoGPの習熟で何を最も難しいと感じているか、と訊ねてみたところ、「やっぱり、タイヤだね」と朗らかに即答した。

「摩耗し始めてから先の、バイクの引き起こしやラインを変えていくことをもっと上手にやっていかなければならないけど、シェイクダウンテストからここまで、少しずつだけどしっかり上達してきているよ」

アレックスは2日目には初日のタイムを0.25秒ほど詰め、最終日はさらに0.6秒詰めた。総合順位では18番手。ルーキー勢の最上位につけた。

「2日目に実施したタイムアタックではトップから0.6秒差だった。もっとリズムよく走れるようにならなければいけないし、やるべきこともたくさんあるけど、いい方向に進んでいて、日を重ねるたびに乗りやすくなってきた。次のカタールテストでも、とくに目先の目標を設定するのではなく、しっかりと準備を進めていきたい」

KTMの“エリート街道”を征くビンダー

Brad Binder, Red Bull KTM Factory Racing

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

ブラッド・ビンダーも、新人ながらファクトリーチームから最高峰クラスのデビューを飾る。2016年に最小排気量のMoto3クラスでチャンピオンを獲得してから昨年いっぱいでMoto2クラスを卒業するまで、ずっとKTMファクトリー体制で戦い続けてきた。いわば、KTMのエリートコースを歩んできたライダーだ。ちなみに昨年はアレックス・マルケスとチャンピオンを争い、最終的に3ポイント差のランキング2位でシーズンを終えている。

今回のセパンテストでビンダーは、アレックス・マルケスからわずかに0.062秒劣る総合19番手。トップタイムのクアルタラロからは0.755秒差だった。

シェイクダウン3日間と公式テスト3日間のメニューを終えた彼に、どの程度満足しているのか、と訊ねた。

「最初の2回のテスト(昨年11月のバレンシアテストとヘレステスト)では3秒くらいの差でだいぶ後れを取っていたけど、今は0.7秒差だから、だいぶ前進できたよ」

ビンダーはそういって笑顔を見せた。

「フィーリングも良くなって自信もついてきた。先はまだ長いけど、やればやるほどきっと成果が出てくると思う」

あどけなさ残るレクオナは体力が課題?

Iker Lecuona, Red Bull KTM Tech 3

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

もうひとりのルーキーライダー、2000年生まれのレクオナもKTM陣営だ。昨年最終戦のバレンシアGPでは、負傷選手の代役としていきなり最高峰クラスのレースにデビューした。2017年に17歳でMoto2クラスのフル参戦を開始して以来、目利きの関係者たちが高い将来性に注目をしてきたが、まだその才能を存分に開花させるには至っていない。

現在の課題は、最高峰クラスのライディングへの習熟と同様に、モンスターマシンを扱う体力の増強が急務のようだ。6日間の濃密なテストを終えてピットボックス裏へ出てきたレクオナの第一声は「もう死にそう。ボロボロだよ」。ニキビの残る頬をほころばせた。タイムはトップから1.549秒差で総合24番手だった。

「ホントにくたびれてしまって、バイクを停めるのが限界だった。タイムを更新したかったので、頭では行こうとするんだけど、身体が拒否するんだ」

そういって苦笑する彼に、体力増強を目指してトレーニングメニューを変更するのかどうか訊ねてみた。

「変えていきたいけど、腕上がりの手術もしなきゃいけないから、トレーニングでコンディションを調整する時間がないんだ。Moto2時代は特に問題にならなかったけど、今は厳しいので、まずは腕上がりを治すこと。そして、セットアップのベースが出たら、あとは自分のライディングの取り組みに集中していきたい」

2020年の新人たちの争いは、チャンピオン争いとは違った意味で混沌とした様相を呈しそうだ。

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