感染爆発危機でも安倍首相と小池知事が「五輪1年以内」に喜び“グータッチ”! 読売と田崎史郎がそれを“いい話”として紹介する異常

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やっぱり、こうなったか。東京五輪の延期が決まったとたん、東京ではこの2日の間に一気に88人の感染者が判明した。いつ感染爆発が起きてもおかしくない状況で、ついこの間、自粛を解除する方向に動いていた政府や自治体も態度を一転。小池知事は首都封鎖の可能性まで口にし、安倍首相も今頃になって政府対策本部を設置して、緊急事態宣言を出す構えを見せている。

ネット上で指摘されている「東京五輪を実施するために感染者を隠していたのを、延期が正式に決まったので本当の数字を出してきた」という説はさすがに陰謀論だと思うが、日本の感染者数が少なかったのは、検査数を抑制していたため少なく見えていただけであり、安倍首相や小池知事がこの間、国民の生命や安全より、東京五輪の実施を優先してきたのは、紛れもない事実だ。

実は、そのことを雄弁に物語る記事が政権御用新聞の読売新聞が掲載されていた。安倍首相とIOCのバッハ会長の電話会談の翌日25日、読売は朝刊で会談の内幕をレポートしていたのだが、そこには、安倍首相、小池知事、そして大会組織委員会の森喜朗会長のこんなシーンが描写されていたのだ。

〈首相は遅くとも2021年夏までに開催するとバッハ会長から言質を取ることに成功した。

「良かったなあ、安倍君」

会談後、首相は森氏からこう声をかけられ、握手を交わし、小池氏とグータッチした。〉

そう、安倍首相は自分の在任中に五輪が開催できるようになったことに大はしゃぎ。なんと小池知事と「グータッチ」していたというのだ。足元で新型コロナの感染が急拡大し、感染爆発寸前と言われているなかで、グータッチって、いったいどういう神経をしているのか。

しかも、読売は批判的にこのエピソードは取り上げていたわけではない。読売の記事は、安倍首相がいかに五輪を中止でなく延期にしようと奮闘したかをレポートした大ヨイショ解説記事で、そのなかの“いい話”として紹介されていたのだ。

「読売だけが内幕を書いたということは、あの記事、今井尚哉首相補佐官のリークと考えて間違いない。実際は、英『ガーディアン』に指摘されていたように、今年秋の開催を主張したり延期を決断しない日本に対し、中止でなく延期はとっくにIOCが外堀を埋めていたんだが、今井がそれをまるで安倍首相の手柄のように話して、レポートさせたんだろう。ただ、唖然としたのは、安倍首相のはしゃぎぶりをそのまま読売に書かせたことだ。たしかに、在任中に五輪を開催することにこだわっていた安倍首相が「遅くても来年夏」をバッハ会長から引きだし、大喜びしていたのは事実だろうが、まさかそれを微笑ましいエピソードとしてそのまま流すとは……」(全国紙官邸担当記者)

ようするに、安倍首相も官邸側近も、そして応援団メディアも、一番大事なのは安倍政権下で五輪を開催するということだけ。それに比べたら、国民が何人新型コロナに感染しようが、何人命を落とそうが知ったこっちゃないのである。

実際、この“グータッチ”をいい話として報じたのは読売だけではない。同じ日、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも、あの政権御用ジャーナリストの田崎史郎氏が「遅くとも来年夏の延期合意」をわがことのように大喜びし、こう解説したのだ。

「電話会談が終わった後で、安倍総理と小池さんもそうなんですけれども、小池さんと森さん、そこにいらっしゃったみなさんで、グータッチしたんですよ、それくらい喜んで高揚したという」

ちなみに、田崎氏は「グータッチ」と言ったところで、わざわざ両手の拳をあわせるグータッチの仕草を実演するどの熱の入れようだった(笑)。

●『モーニングショー』では浜田敬子が「問題山積のなかグータッチに違和感」「もっと粛々と」

もっとも、『モーニングショー』では、この田崎氏の解説に対し、反論も飛び出した。

水曜コメンテーターの浜田敬子・元『AERA』編集長が安倍首相の“グータッチ”とその報道ぶりにこう違和感を表明したのだ。

「今日の読売新聞でもグータッチのことが書いてあって、私はすごく違和感を覚えました。やっぱり、もちろん中止っていうことは、みんな楽しみにしている人もいるし、中止はいちばん最悪の結果だったと思うので、延期はよかったと判断されると思うんですけれども。それでも今、感染の拡大がどうするかってことがすごく思っていて、ニューヨークの様子などを見ていると。これで一年延期で、ここでグータッチしてしまうというのが。しかもそれが表に出てしまうというのが。市民感覚とすごく乖離があるんだって思いましたね。 私たちは、延期はしょうがないかなとは思っていましたけど、これからものすごく追加の費用がかかって、もともとオリンピクをやることに関しても多額の税金が使われることに対して、批判的な意見もあったなかで、さらにここで数千億円といわれるような費用が出ることに対して、これ、どっから出るの?と思っているわけです。そのなかで感染拡大防止とオリンピックと、両方ハンドリングしていて、これでやっと感染拡大のほうに集中してくれるかなとは思えるんですけれども、もうちょっと粛々と受け止めてもらいたかったと思います」

何から何まで、真っ当な指摘と言っていいだろう。世界的に感染が急拡大している状況で、一国の総理が自分の任期中の延期に収めたことを手放しで喜ぶということ自体信じがたいが、この延期には、来年夏に開催を強行して感染を拡大させる可能性や、日本が巨額の費用を払わされる問題も指摘されている。

それをメディアやジャーナリストまでが“グータッチした”などと、いっしょになって大はしゃぎするというのはどう考えてもおかしい。

ところが、田崎氏は反省するどころか、浜田氏に向かって「(浜田さんは)オリンピックに反対されているわけではないんですよね?」と食ってかかったのである。

番組はそのままCMに入り、グータッチをめぐる議論は一旦そこで終わったのだが、田崎氏はCM明けにまた「やらなきゃいけないことはいっぱいありますよ。でも、じゃあ中止がよかったのか、延期がよかったのかとなれば、僕は国民の大多数が、中止でなくてよかったね、という反応を示されるんじゃないかと思います」など執拗に強弁していた。

ようするに田崎氏は「五輪批判はタブー」「五輪に反対するのは非国民」というメディアや日本社会の空気を使って、安倍首相や応援団の軽薄な“グータッチ”批判まで封じ込もうとしたのだ。

いや、田崎だけではない。ネットでは安倍応援団やネトウヨもこの浜田発言に「なぜ素直に喜べないのか」といっせいに攻撃を浴びせかけた。

おそらく、安倍首相や官邸は応援団メディアに号令をかけて、この「安倍首相が五輪中止でなく延期を勝ちとった」という全く嘘の手柄話をふりまき、そのことで政権の新型コロナ対応の問題点を覆い隠してしまおうと考えているのだろう。

しかし、恐ろしいのはこんな小学生みたいな手口が、通用してしまいそうなことだ。実際、検査を抑え込み、自治体まかせで検査体制や治療体制をきちんと整えてこなかった結果、いよいよ危険な状況が現出しているというのに、安倍政権への批判は一向に聞こえて来ず、逆に「よくやっている」などというような意見まである。日本国民は安倍首相と心中でもするつもりなのだろうか。 (編集部)

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