頭で考えてることが文章化される。脳波を文章に変換するAIが登場(米研究)

lifestyle

現時点でそのAIが神経活動パターンを検出するには、変換したい文章を声に出して読んでもらわねばならない。だが、いずれは口や指先が不自由な人たちのコミュニケーションを支援する――いわば”義肢の声バージョン”になると期待できるそうだ。

『Nature Neuroscience』(3月30日付)に掲載されたカリフォルニア大学サンフランシスコ校(アメリカ)のグループによる研究では、脳に移植された電極を介した文章出力AIシステムが紹介されている。

実験に参加した4人の患者は、てんかん発作をモニタリングするために脳に電極を移植された人たちだ。

研究では、彼らに「ティナ・ターナーはポップシンガー」「その盗賊団は宝石を30個盗んだ」といった、50本の短文を何度か声に出して読んでもらい、電極を通じてそのときの神経活動を記録した。

次に機械学習によって、こうして得られた脳活動データを各文章に対応するよう数値化。さらに、この数値を発声された内容と確実に紐づけるために、神経活動パターンから予測される音と実際に録音された音声と比較させて、AIシステムを学習させた。

こうしてAIシステムを学習させたら、参加者にこれまでと同じように文章を読んでもらう。

sudok1/iStock

脳の神経活動パターンを検出し文章を出力

するとシステムは、脳の神経活動のパターンを検出して、正確に読み上げている文章を出力できたとのこと。

最初のうちは、意味不明な文章ばかりが表示されたそうだが、実際に声に出された音声との比較を行い学習を続けるうちに、数値と単語の関係性や、ある単語に続くことが多い単語の傾向が理解され、徐々に改善が進んだそうだ。

精度は被験者によってバラツキがあり、最終的なエラー率はわずか3〜5パーセントだった。これは従来のシステムに比べれば、かなり正確な結果であるらしい。

Gerd Altmann from Pixabay

まだ完璧ではないが実用化は可能

とは言っても、まだ完璧なわけではなく、誤変換されることもあった。

たとえば、「Those musicians harmonise marvellously(その音楽家たちのハーモニーは素晴らしい)」が「The spinach was a famous singer(ほうれん草は有名な歌手だった)」になったり、「A roll of wire lay near the wall(ワイヤーが壁のそばにある)」が「Will robin wear a yellow lily(ロビンは黄色いユリを身につけるだろうか)」になったりするミスだ。

また実験で使われたように50本の短文ではなく、それよりさらに多くの文で試したなら、さらにミスは多くなるだろうとのことだ。

どうやらAIシステムは、「特定の文章の学習」「神経活動に基づく単語の特定」「英語の一般的パターンの認識」を組み合わせることで文章を生成しているらしい。

metamorworks/iStock

なお今回の研究では、AIの訓練に使われるデータを記録するために、何百万時間という膨大な時間をかけたわけではなく、各患者につき40分もかかっていない。

それにもかかわらず、これまでにないほど高い精度を実現できたことが素晴らしいのだと、マーストリヒト大学の専門家(研究には不参加)は評している。

また、1人の患者データでAIを訓練しておけば、他のユーザーはより少ないデータ入力でシステムを利用できるようになるという。これを実用化する場合、AIを訓練する負担は意外と軽いものかもしれないということだ。

タグ: カラパイア

関連記事

関連コンテンツ

最新ニュース20件