「純保険料が保険の原価」「付加保険料は安いほど良い」は本当か 生命保険会社がもうかる仕組みも解説

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生命保険の保険料は、「純保険料」と「付加保険料」に分かれています。

純保険料と付加保険料の内訳を開示している保険会社もあり、なんとなく名前を聞いたことがある人もいるでしょう。

「純保険料が保険の原価」

「付加保険料は安いほど良い」

と考える人もいますが、本当にそうなのでしょうか。

そこで今回は、純保険料と付加保険料の仕組みだけでなく、生命保険会社が利益を得る仕組みについても、解説していきます。

純保険料とは

純保険料とは、保険料のうち、将来の保険金を支払う財源としている部分です。

以下のように、「死亡保険料」と「生存保険料」に分かれています。

・ 死亡保険料:死亡保険金を支払うための財源となる部分

・ 生存保険料:満期保険金を支払うための財源となる部分

また純保険料は、予定死亡率や予定利率によって計算される仕組みです。

予定死亡率

予定死亡率は、簡単にいうと年間でどれだけの人が亡くなるかを予測し、保険料を計算するときに用いる指標です。

つまり保険会社は、年間でどれだけの人が亡くなり、いくらの保険金を支払うかを予測したうえで、保険料を決めています

この予定死亡率に対する「利益」と「損失」のことを、

・ 死差益(危険差益):予定死亡率を元に予測した死亡者数よりも、実際の死亡者が少なかった場合に発生する利益

・ 死差損(危険差損):実際の死亡者数が多く、予定よりもたくさんの保険金を支払った場合の損失

といいます。

予定利率

予定利率とは、保険会社が予定している運用利回りのことです。

保険会社は、契約者から預かった保険料を運用して増やしており、「年間でこれだけ運用によって増やせるだろう」と予測し、その分だけ保険料を割り引いているのです。

この予定利率に対する「利益」と「損失」のことを、

・ 利差益:予定利率よりも高い利回りで運用できた場合に発生する利益

・ 利差損:実際の運用利回りが低かった場合の損失

といいます。

付加保険料

付加保険料は、従業員の人件費や広告費、物件費といった、運営経費の財源としている部分で予定事業費率を元に計算される仕組みです。

そのため支社や営業所、職員の数などが多い保険会社ほど、付加保険料の割合が高くなります。

一方で、インターネットを通じて契約できるような保険会社は、付加保険料の金額が低くなります

予定事業費率

予定事業費率とは、保険会社の契約の管理や維持、保険料の収納など、事業を運営してくために必要な費用を算出する際に用いる指標です。

この予定事業費率に対する「利益」と「損失」のことを、

・ 費差益:予定していた事業経費よりも実際の事業経費が少なかった場合に発生する利益

・ 費差損:実際の事業経費が予定よりも多かった場合に発生する損失

といいます。

純保険料は生命保険の原価ではない

「純保険料は生命保険の原価だ」と考える人もいますが、実際は違います

なぜなら、純保険料からも損益が発生するからです。

一般の商品とは売値を設定する仕組みが異なる

原価といえば、スマートフォンでいうパーツを調達する費用のこととです。

そしてスマートフォンが実際に販売される価格は、原価に製造や販売にかかるコスト、そして利益などが加えられる決まるため、原価からは損益が発生しません

一方で生命保険の場合、純保険料からは死差益(損)や利差益(損)、付加保険料からは費差益(損)と、それぞれに損益が発生する仕組みです。

確かに、保険料のうち保障の財源となるのは純保険料です。

しかし生命保険と、一般に販売されている商品とは、売値を設定する仕組みが異なるため、一概に比べられるものではないといえるでしょう。

付加保険料が安いほど良いとは限らない

「当社は付加保険料が安い」と宣伝している保険会社があっても、その会社が優れているとは限りません

例えば、付加保険料を安く設定していても、実際は事業経費が多くかかって費差損を計上しており、純保険料の設定を高めにして死差益で補っている可能性があります。

また、付加保険料が高いということは、手厚いアフターフォローが受けられたり、対応が柔軟であったりとメリットもあります。

もちろん、付加保険料が低い保険は、保険料負担を抑えられて家計を圧迫するリスクが低くなる点で優れていると考えられます。

そのため、純保険料や付加保険料の割合、それぞれの金額だけでは、保険会社や保険商品の良し悪しを判断する指標にはならないため注意しましょう。(執筆者:品木 彰)

タグ: マネー 達人

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