ドローンの「使い手」が変える中国農業 進む効率化と脱汚染

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湖南省湘郷市育塅郷南水村の水田で農業用ドローンを操縦する農家。(5月14日撮影、長沙=新華社配信/陳振海)

【新華社長沙6月1日】中国南方地域の早稲米の産地の一つ、湖南省湘郷(しょうきょう)市の農村に足を踏み入れると、視界一面に青田がなびき、夏風が吹き抜け、水田の香りが漂う。上空には農業用小型無人機(ドローン)が、施肥や除草、防虫と忙しそうに飛び回る。

同市育塅(いくだん)郷南水村では、地元大規模農家の李立平(り・りつへい)さん(51)があぜ道に立ち、スマートフォンで遠くを飛ぶドローンを操縦していた。「ドローンはまさに空飛ぶ耕牛。1日間で200ムー(約13ヘクタール)近くの作業を終えることができる。人がやるより十数倍も効率が高く、働き者で経済的。環境にも優しい」と語る。ドローンを使い始めてから、重い肥料箱や噴霧器を背負い水田を歩き回る必要はなくなったという。

湖南省湘郷市育塅郷南水村の水田(5月14日撮影、小型無人機から、長沙=新華社配信/陳振海)

湖南省の農村では今年、国や地方の食糧生産安定政策を受け、米の二期作が一気に拡大した。湘郷市でも早稲米の作付面積が40万ムー(約2万6700ヘクタール)強と、昨年に比べ大幅に増加した。

李さんも「今年は早稲米を850ムー(約57ヘクタール)植えた。去年より300ムー(15ヘクタール)余り増えた」と語った。2014年に地元に戻り、穀物乾燥機1台だけで農業を始めた李さんだが、この3年でドローンを続けて3台購入。農作業の機械化がもたらす効率化に豊かさへの新たな希望を見出した。

李さんの家から数十キロ離れた湘郷市建良家庭農場の経営者、肖建良(しょう・けんりょう)さんは、近辺の農家の中でも「やり手」として知られ、ドローンの扱いにも長けている。

肖さんは「アブラナ栽培は手間とコストがかかることから、数年前まで多くの農家が敬遠していた。今では種まきや収穫の機械化が進み、栽培に取り組む農家も増えている。私も100ムー(約6・7ヘクタール)余りのアブラナを収穫したばかりだが、多くの臨時収入を得た」と笑顔で語り「今年は780ムー(約52ヘクタール)の農地を請け負った。二期作稲と再生稲(ひこばえ)で十数万元(1元=約15円)は稼げる」と意気込んだ。

湘郷市育塅郷南水村の水田で農薬を散布するドローン(5月14日撮影、長沙=新華社配信/陳振海)

同省に本拠を置き、深圳証券取引所の中小企業ボードにも上場する食品製造・販売企業、塩津舗子食品の張学武(ちょう・がくぶ)董事長は「農業用ドローンは工業分野の先端技術の異業種での実用化として、思いもしない効果を生み出した」と語る。張氏によると、ある農業用ドローン生産大手がここ数年で販売した農業用ドローン約5万台は、4億ムー(約2667万ヘクタール)余りの農地で利用されているという。

中国で李さんや肖さんのような「空から農作業をする」ドローンの使い手は非常に多く、今も増え続けている。彼らは操縦技術に長けているだけでなく、自動操縦のスキルも高い。状況に応じて飛行高度やルートを設定し、飛行経路から作業の抜けた箇所を分析するほか、肥料や農薬の量を正確に算出する。ドローンの活用は、農作業の効率を向上させただけでなく、農薬や肥料の過度の使用による農地と農作物の汚染も防いでいる。

農業分野の需要増大を受け、ドローン技術も日進月歩を続けているが、李さんと肖さんは、価格がより庶民的になり、バッテリーの駆動時間がさらに伸びることを望んでいる。送電線や無線通信、テレビ電波との混線解消も今後の課題に挙げる。

張氏は「中国の10億ムー(約6667万ヘクタール)余りの農地すべてに農業用ドローンを導入しても20万台余りでカバーできる。これだけで200億元余りの労働コストが節約できる」と語った。(記者/蘇暁洲、柳王敏)

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