コウテイペンギンの知られざるコロニーが南極大陸で続々と発見される。うんちっちを人工衛星で追跡

lifestyle

コウテイペンギンのフンを人工衛星で追跡調査

コウテイペンギンは、体長1.3メートル、体重45キロに達し、現生のペンギンとしては最大の種である。

それだけ大きいのだ。きっと発見もたやすいと思うかもしれない。ところが、南極はそう甘くない。

地球上でもっとも過酷な地形と気象で知られ、年間の大部分が暗闇におおわれている大陸だ。気温がマイナス50度にも下がるその環境では、思うように調査を進めることができない。

そこで研究グループはESAの地球観測衛星「センチネル-2」を利用して、地球の軌道上からまだ知られていないコウテイペンギンのコロニーを捜索することにした。

センチネル-2は、従来利用されていたNASAのランドサットよりも優れた観測能力を誇る。搭載されている観測機器の解像度はピクセルあたり10メートル。ただし、これではペンギンを直接見ることができない。

そこで「グアノ」というペンギンのフンが堆積した巨大な茶色いシミが観測された。

コウテイペンギンのコロニーの位置。赤い丸は新発見/再発見されたもの。青い三角は、既知のコロニーの場所を示す

11の新コロニーを発見

その結果、新しいコロニーが11か所発見され、南極にある既知のコロニーの総数は61か所になった。また、これによってコウテイペンギンの生息数は50万羽以上に上方修正された。つがいの数は26万5500〜27万8500組だ。

すごい数に思われるかもしれないが、各コロニーは小さいために、従来の推定から5〜10%程度増えただけに過ぎないという。

新発見/再発見された11のコロニーの画像

温暖化に脆弱な地域にあるコロニー

英国南極観測局によると、新しくコロニーが発見されこと自体は歓迎すべきことであるそうだ。

ただ、ペンギンの一部が温暖化で脆くなっている氷盤の上で暮らしていることが、相変わらず懸念されるという。コロニーの中には、大陸の海岸から180キロも離れた場所で営まれているものもあるのだ。

新たにコロニーが発見されたのは朗報ですが、そうした営巣地はいずれも、今後コウテイペンギンが死滅するだろうと予測された地域にあります。そのため、そうした地域のペンギンは”炭坑のカナリア”のようなものでしょう。

温暖化が与える影響を注意深く見守る必要があります(英国南極観測局保全生物学部 フィリップ・トラセン氏)

「炭坑のカナリア」とは何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆を示す。

これはかつて炭鉱労働者がカナリアを籠にいれて坑道に入ったことに由来する。カナリヤは常にさえずっているが、有毒ガスが発生するとそれをいち早く察知して鳴くのを止めるため、毒ガス検知として使用していたのだ。

新たなコロニーの発見により、コウテイペンギンの生息数は5〜10%程度増えたが、気候変動の影響で、今世紀末までには全体の約8割が死滅するとも予測されている。

海氷が解けだしているコロニーに住んでいるのペンギンは、危険を知らせるカナリヤのようなものだ。コロニーがなくなってしまえば、ペンギンを救う手立てはない。

この研究は『Remote Sensing in Ecology and Conservation』(8月4日付)に掲載された。

Discovery of new colonies by Sentinel2 reveals good and bad news for emperor penguins
https://zslpublications.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/rse2.176
タグ: カラパイア

関連記事

最新ニュース20件