男脳と女脳の違いは存在するのか?明確に分類することは難しく、あえて言えば頭の大きさが違う(イスラエル研究)

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脳の性別はモザイク状となっており2つには分類できないとする説

モザイク仮説は、テルアビブ大学の研究者による2015年の研究によって提唱されたものだ。

この研究では、1400名以上の脳を検査して、男性と女性で大きさが特に異なる10領域を特定。その上で、それぞれの領域を「男性的」「女性的」「中性的」のいずれかに分類した。

すると、ほとんどの脳は、男性的特徴と女性的特徴がない混ぜになった”モザイク”であることが判明したのだ。このことから、「男脳と女脳という別個の2つのタイプに分類することはできない」と結論づけられた。

AIが判別する男脳、女脳

この仮説に反論する研究者は、脳のスキャンデータから個人の性別を予測できる機械学習アルゴリズムの存在を指摘する。

こうしたAIは、80〜90%の正解率でその脳が男性のものか女性のものか予測することができる。もしAIが脳の性別をやすやすと区別できるのならば、それはいくつかの基本的な性差を認識しているに違いない。

この点について、「男脳」と「女脳」という用語の意味についてある程度の見解の不一致がある。

テルアビブ大学のグループは、その分類を用いることが正当化されるのは、たとえば、もしある人が女脳(あるいは男脳)を持っていると分かっていた場合、その脳の特徴に関するそれ以外の事柄について予測できる場合のみであるとしている。

これを批判する人たちは、重要なのは個人の性別を予測できていることだと主張する。誰かの脳の性別を分類するかどうかで、その構造についてより多くの情報を得られるかどうかは問題ではないというのだ。

だが、じつのところ、ほとんどの機械学習分類アルゴリズムはブラックボックスで、AIがどのように脳の特徴を組み合わせて、その性別を定義しているかさっぱり分からない。

高い正解率で脳の持ち主の性別を予測できるにもかかわらず、AIの定義には一貫性すらないかもしれないのだ。

実際、男女のさまざまな部分母集団を分類する際に、AIが異なる脳の特徴を用いているらしきことを示唆する証拠もある。

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しかも今では、AIの正解率の高さすら疑われている。スペイン、ジャウメ1世大学のグループによる研究では、ある無視されていた厄介な問題について考察している。それは女性の体と頭と脳は、男性よりも小さいということだ。

初期の脳科学では、体と脳の大きさの違いは、(白人)男性の知的優位性を示す証拠であると誤って解釈されていた。

しかし近年では、頭の大きさの差異は、性差に関心を抱く神経科学者にある難問を突きつけるものとして認識されている。

脳のある領域の大きさに男女差があった場合、それが性別に特有なものだとなぜ言えるのだろうか? 単純に大きな脳(男性に多い)と小さな脳(女性に多い)の違いに起因するのかもしれないではないか。

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頭の大きさを考慮すると、AIの正解率は偶然と大して変わらない

そこでジャウメ1世大学の研究者は、これまでに発見された性差を、似たような頭の大きさでまとめられた男女グループのデータと比較して検証してみることにした。

すると、これまでに用いられてきた分析方法は、すべてが効果的でも、信頼できるものでもないことが判明。さらに、分析法によって、推定された性差の数、サイズ、さらには影響のベクトルにまで大きな影響が出ていることも分かった。

こうした検証を通じて、ある重要な疑問についても判明したことがある。それは、AIの正解率が頭の大きさの差異に依存する程度だ。

頭の大きさの差異を考慮して適切に調整したデータとされていないデータを使って、12種のAIを検証してみたところ、それらは生データやほとんど調整されていないデータを与えられれば高い正解率で性別を予測できることが分かった。

しかし適切に調整したデータを使った場合、正解率が60%にまで低下したのだ。つまり、頭の大きさを考慮した上で脳からその持ち主の性別を予測しようとすると、偶然よりもたかだか10%高い正解率でしか当てられないということだ。

男脳と女脳の唯一の違いは頭の大きさ

性別は確かに脳に影響するし、性別の影響は重要な研究テーマだ。

しかし現在行われている機械学習アルゴリズムによって脳を「男脳」と「女脳」に分類する試みは、とっくの昔から常識だったこと以外、大した知見をもたらしたりはしないようだ。

――すなわち、男性の頭は平均するとより大きいということだ。

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