定年前50代に知るべき退職金の運用のツボ

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iDeCoやNISAが話題となって久しい昨今。老後2000万円問題とも相まって、運用に興味が高まっている方も多いのではないでしょうか。

運用は始めたいけど、何から始めたらいいのか。また始めたとしても、増える可能性はあるのだろうか。定年を間近に控えた世代にとっては、切実な問題です。

そこで本日は定年前の50代が知っておくべき、退職金運用のコツについてお話ししたいと思います。さっそく見ていきましょう。

退職金の平均はいくらか

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まずは、運用の原資となる退職金について調べてみました。実際にいくらもらえるのでしょうか。

厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査」より、学歴・職種別、勤続年数別で定年まで勤務した方の退職金額は下記の通りとなっています。

大学・大学院卒(管理・事務・技術職)

  • 平均・・・1,983万円
  • 35年以上・・・2,173万円

高卒(管理・事務・技術職)

  • 平均・・・1,618万円
  • 35年以上・・・1,954万円

高卒(現業職)

  • 平均・・・1,159万円
  • 35年以上・・・1,629万円

※現業職とは、管理、事務、技術職、硏究職以外の職種を指す。

大学や高校を卒業し35年以上勤務をしている方は、概ね1,600〜2200万円を受け取っていることがわかります。

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参考記事

ニュースレター

年金2,000万円問題を考慮し、退職金を老後の資金として活用する場合、上述の退職金額ですと、ギリギリ足りるか、場合によっては不足する事態にもなりそうです。

どのように退職金を運用すべきか

では、退職金はどのように運用していけば良いのでしょうか。

実際に守っていただきたいことは、2つあります。それは退職金を「複利で運用すること」、 「長期運用をすること」、この2つです。

これは退職金の運用だからというわけではなく、運用を始める若い方も実践すべき鉄則です。

世の中に出回っているおすすめ運用商品は、必ずしも、この2つのルールを念頭に置いて販売されているわけではありません。

例えば、投資信託の場合ですと、毎月分配金を受けとる商品が人気ですが、分配金を定期引き出ししてしまうと、複利の効果を十分に得ることができません。定年前の世代の方には、あまりお勧めできない運用方法です。

複利の効果を得るためには、長期運用を行うことも大事です。長期運用することでリターンが安定してきます。20年、30年、40年と運用期間が長くなるにつれ、リスクが分散されるからです。

これらは、いずれも運用をする際に守るべき最低限のルールです。

資産を増やしていくためには、上記に加え、運用手法に工夫が必要となります。それが次章の4%ルールです。

4%ルールとは

4%ルールとは、1998年に米国のトリニティ大学で発表したされた、資産運用に関する論文(Trinity Study)で提唱されたルールのことを指します。

ルールを考慮に入れた投資のアプローチ詳細は下記の通りです。

  • 定年後(老後)は年間生活費の25倍の資産を持っておく。
  • 資産は株式と債券の組み合わせで保有する。
  • 資産の4%を毎年生活費として引き出す。

約20年前の論文ではありますが、現在でも通用する資産運用の手法として、米国はもとより、日本でも注目されています。

年間生活費の25倍の資産を老後までに蓄えることは、日本の平均貯蓄額からするとなかなか難しそうです。

しかし「株式と債券を保有すること」、「資産の数%を毎年生活費として引き出すこと」はできそうです。次章で運用の際の注意点を見ていきましょう。

運用する際の注意点

株式と債券を保有する際に気を付けたいのは、何の銘柄を、どのように保有するかということです。株式だからといって、よく調べていない個別株や新興国の債券を、闇雲に保有するのは避けましょう。

株式は世界株式、米国株式を保有するのをお勧めします。これらのセクターは、右肩上がりで上昇を続けており、将来も有望です。世界経済は、人口の増加に伴い、上昇することが見込まれているからです。

特に投資信託で保有すると、面倒な個別株の選定が済んでおり、複数の銘柄を保有することができます。

個人で個別株を保有して失敗するよりも、投資信託を保有して、リスクを分散させた方が損失を減らすことができます。

日本株への投資は難しいところです。少子化に伴い、消費や産業が右肩上がりに上昇するとは言えず、また新しい社会のあり方に対して、政策や制度が大きく転換していないからです。

そのため、今のところ、日本株は一定のレンジ内で値動きを繰り返しています。この状況が続くと、長期で保有しても増える可能性がなく、投資する意味が無くなってしまうのです。

一方、債券ですが、昨今は世界的な低金利政策により、債券の利回りの魅力が薄れています。

選ぶ商品によっては1から数%程度を期待できる商品もあります。時期をみて、発行体が安定していて、ある程度の利回りが期待できる新発や既発のドル建て債券を購入するのもよいかもしれません。

いずれにしても、債券を活用した商品は数多くありますので、専門家に相談して商品を選択することをおすすめします。

これらの商品での運用を、できれば定年を迎えるまでにはスタートさせておきましょう。

定年を迎えたら、運用している資産に退職金の一部や、まとまったお金を、追加しておきます。

そして、毎月の生活費が足らなくなるようでしたら、少しずつ解約して、生活費に充当していきます。

定年後の運用はできるだけ長く継続し、全額解約はしないのが無難です。退職金のようなまとまった資産を運用して、使いながら増やすのがコツなのです。

まとめにかえて

定年までに10〜15年しかないと捉えるのか、10〜15年もあると捉えるかで、退職金の活用の仕方も変わってきます。

実際、日本人の平均寿命は男女とも80歳台にまで上昇しています。60歳からの人生が80歳までと考えても、20年以上は退職金を運用する時間があるわけです。

前章でも述べましたが、退職金のようなまとまった資産を将来性のある市場に投資しておけば、その資産自体は時間をかけて成長していきます。

50歳からでも十分間に合いますので、老後の生活の計画を立てて、一日も早く運用に向けた準備を行うことが大切です。

参考資料

  • e-Stat/厚生労働省「平成30年_就労条件総合調査/学歴・職種、勤続年数階級、企業規模別定年退職者1人平均退職給付額」
  • Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz, “Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable”
  • 公益財団法人生命保険文化センター「日本人の平均寿命はどれくらい?」

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