「自分亡き後」ヨメさんの年金はどうなるか

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Maya Kruchankova/shutterstock.com

人生100年時代。長いセカンドライフは、夫婦で仲良く送りたいものです。

とはいえ、いずれはどちらかが先立ちます。また男女の平均寿命を考慮したとき、多くの女性にとって「旦那さまに先立たれる」可能性は低くはない考えてよいでしょう。

世の旦那さまの中には、ご自身が亡き後、奥様やご家族の「お金のこと」が気にかかる、という方も多いはず。

とりわけ、既に旦那様の年金受給が始まっている場合は、奥様の収入がどう変わるかについて、事前に知っておけると安心に繋がりそうですね。

そこで、旦那様が亡くなった場合、その後の奥様の年金がどうなるかについてフォーカスしていきます。

「遺族年金」はどんな場合に受け取れるのか

配偶者が亡くなったとき、その人に生計を維持されていた遺族は一定の条件を満たす場合に遺族年金を受け取れます。「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」、それぞれの条件は以下の通りです。

遺族基礎年金

国民年金加入者や老齢基礎年金の受給者が亡くなったとき、一定の条件を満たすと遺族は遺族基礎年金の支給対象となります。

遺族基礎年金を受給できるのは、死亡した人に生計を維持されていた「子がいる配偶者」と「子」のみです。「子」とは、18歳になる年度の末日を経過していない子ども(または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子ども)を意味します。

そのため、「ご夫婦ともに年金暮らし」という場合、旦那様に先立たれた奥様は対象外になってしまいますので注意が必要でしょう。

【参考】

  • 日本年金機構「遺族基礎年金を受けられるとき」

遺族厚生年金

会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者で一定の条件を満たす人が亡くなったとき、遺族は遺族基礎年金および遺族厚生年金の支給対象となります。

遺族厚生年金が受給できる対象者は下記の通りです。

  • 妻(夫の死亡時に30歳未満でかつ子のいない妻は、5年間の有期給付)
  • 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の者)
  • 55歳以上の夫・父母・祖父母(支給開始は60歳から)

夫に生計を維持されていた(※)妻が夫を亡くした場合、夫が死亡したときから一生涯遺族厚生年金を受給できます。ただし、再婚などをすると支給停止となります。

※「生計を維持されている」とは、原則次の要件を満たす場合をいいます。

  • 同居していること(別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます。)。
  • 加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること。

ただし、遺族厚生年金の実際の金額は、夫がもらっていた年金額によって異なります。シミュレーションある「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」でシミュレーションしておくといいでしょう。

【参考】

  • 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」
  • 日本年金機構「遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき」
  • 公益財団法人生命保険文化センター「万一の場合に見込める社会保障「遺族年金」」
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参考記事

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自分の老齢年金と遺族年金、同時にもらえる?

「夫に先立たれた後は、夫と自分の2人分の年金がもらえる」と思われがちですが、実際はそうではありません。年金制度は「1人1年金」が原則とされ、自分自身の老齢基礎年金と遺族基礎年金は同時には受け取ることができないのです。

旦那さまが「厚生年金の受給者」だったケース

「遺族厚生年金」については、以下のように整理できます。

ケース①

一方、遺族厚生年金を受給していた人が、65歳になってご自身の老齢厚生年金を受ける権利が発生した場合、自分の老齢厚生年金が全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止となります。

ケース②

遺族厚生年金よりも自分の老齢厚生年金のほうが多い場合では、遺族厚生年金は全額支給 停止になります。自分の老齢厚生年金がなければ遺族厚生年金は減額されません。

ご自身の「老齢基礎年金」はそのままで、「遺族厚生年金」と「(自分の)老齢厚生年金」のどちらか多い方がもらえる、とお考えいただくとよいでしょう。

  • 日本年金機構「平成19年4月から改正された65歳以上の者に係る遺族厚生年金の見直しの内容について、具体的に教えてください。」

旦那さまが「国民年金の受給者」だったケース

さて、「ご夫婦ともに年金暮らしであり、国民年金の受給者である夫が先立った」という場合、奥様は「遺族基礎年金」を受け取ることができません。

受給額としてはかなり低くなりますので、「年金の繰り下げ受給をする」「働きながら年金を受け取る(在職老齢年金制度)」という選択肢も視野に入れておくとよいかもしれませんね。

  • 日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給」
  • 厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
  • 日本年金機構「在職中の年金(在職老齢年金制度)」

まとめにかえて

総務省統計局の「2019年(令和元年)平均結果の概要」では、単身世帯(平均年齢59.0歳)の消費支出額は16万4000円と示されています。

仮に旦那様に先立たれた場合、この目安となる生活費を奥様1人でやりくりしていく必要があるわけです。

年金受給額や貯蓄状況を把握する、長く働くためのスキルを身に付ける、健康維持に努める、など、できる部分から早めに備えておきたいものですね。

あなたの亡き後ご家族が受給できる遺族年金は、加入していた年金制度や家族構成などによって異なります。とはいえ、現役時代に「しっかり年金保険料を納めていた人」のご家族である、という点は共通である、ということは頭に入れておきましょう。

また、お金の心配事は親しい友人でも聞きにくいもの。ご夫婦にピッタリのマネープランを見つけるきっかけとして、資産運用のプロのアドバイスを受けてみる、という方法もおススメです。

参考資料

  • 厚生労働省「令和元年(2019年)簡易生命表の概況」
  • 厚生労働省「令和元年(2019年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
  • 日本年金機構「Q.年金を受けていた方が亡くなったとき。」
  • 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
  • 日本年金機構「遺族基礎年金を受けられるとき」
  • 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」
  • 日本年金機構「遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき」
  • 公益財団法人生命保険文化センター「万一の場合に見込める社会保障「遺族年金」」
  • 日本年金機構「平成19年4月から改正された65歳以上の者に係る遺族厚生年金の見直しの内容について、具体的に教えてください。」
  • 総務省統計局「労働力調査(基本集計)2019年(令和2年)平均(速報)結果の要約」
  • 日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給」
  • 厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
  • 日本年金機構「在職中の年金(在職老齢年金制度)」
  • 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2019年(令和元年)平均結果の概要」
  • 尾藤ちよ子(LIMO)「60歳以上の無職「夫婦」世帯と「おひとりさま」世帯、収入と支出はどれくらいか」

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