70代以上の貯蓄額「シニア格差」はココにある

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現役を引退してのんびり生活を送られている人が多い70代以上のシルバー世代。

時間的な余裕も生まれ、コロナ禍がおちついたら趣味の旅行を思う存分楽しみたい、など期待を持ちながら過ごされている人も多いかと思います。

その一方、お仕事による定期的な収入がなくなり、少しづつ健康面に不安が出てくる人が増える時期といってもよいかもしれませんね。

そんな70代以上のみなさんにとっての貯蓄額は、安心した老後生活を支える命綱的なものであるといえるでしょう。

さて、終身雇用・年功序列の制度が機能し、景気がよい時期に現役世代を送られた人が多い日本のシルバーエイジ。

若い頃の蓄えや退職金、年金収入などの面で、イマドキの若者よりも「豊かな」イメージを持たれることもあるかと思います。とはいえ高齢者層に生活保護受給者が増えている、という事実もあります。

そこで、今回は、「70代以上のお金事情」と題して、この世代の貯蓄事情をながめつつ、シニア世代の中での格差についても触れていきます。

さいしょに「貯蓄」とは?

総務省の家計調査報告(貯蓄・負債編)の用語の解説によると、貯蓄とは、

ゆうちょ銀行,郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構,銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価,債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。

なお,貯蓄は世帯全体の貯蓄であり,また,個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める。

とあります。

「貯蓄額」とは、「預貯金以外の金融資産」も含まれているわけです

次では、70代以上「シニア世代」がどのくらい金融資産を持っているかについて、深掘りしていきます。

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参考記事

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還暦60代以上世帯の貯蓄事情

最初に「60歳以上・無職高齢者」というくくりで、シルバー世代の貯蓄事情をながめていきます。

60歳以上・無職世帯の貯蓄額

先述の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、高齢(60歳以上)無職世帯の貯蓄現在高は以下のように、4年連続減少しています。

  • 2014年・・・2372万円
  • 2015年・・・2430万円
  • 2016年・・・2363万円
  • 2017年・・・2348万円
  • 2018年・・・2280万円
  • 2019年・・・2244万円

2019年の貯蓄現在高である「2244万円」の内訳は以下の通りです。

高齢無職世帯の貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯)

金融機関

  • 通貨性預貯金・・・552万円(24.6%)
  • 定期性預貯金・・・948万円(42.2%)
  • 生命保険など・・・374万円(16.7%)
  • 有価証券・・・361万円(16.1%)

金融機関外・・・8万円(0.4%)

【解説】貯蓄の種類について

  • 「通貨性預貯金」…自由に入出金可能な普通預金など
  • 「定期性預貯金」…金融機関に一定期間預ける定期預金など
  • 「生命保険など」…生命保険会社の養老保険やこども保険などで、掛け捨ての保険は含まない

「シニア格差」の貯蓄額

さきほどは貯蓄内容と平均額に触れましたが、「どのくらいの額」を「どのくらいの人が持っているのか」の割合分布を見ていきたいと思います。

二人以上の世帯のうち、世帯主が60歳以上の世帯における、貯蓄額の分布は以下の通りです。

  • 4000万円以上・・・17.3%
  • 3000万~4000万円・・・8.5%
  • 2500万~3000万円・・・6.2%
  • 2000万~2500万円・・・7.5%⇐70代以上の平均貯蓄額(2252万円)(※後述)
  • 1800万~2000万円・・・3.3%
  • 1600万~1800万円・・・3.8%
  • 1400万~1600万円・・・4.0%
  • 1200万~1400万円・・・4.8%
  • 1000万~1200万円・・・6.0%
  • 900万~1000万円・・・2.3%
  • 800万~900万円・・・3.1%
  • 700万~800万円・・・2.8%
  • 600万~700万円・・・3.5%
  • 500万~600万円・・・4.1%
  • 400万~500万円・・・3.2%
  • 300万~400万円・・・3.7%
  • 200万~300万円・・・3.4%
  • 100万~200万円・・・3.9%
  • 100万円未満・・・8.5%

なお、貯蓄保有世帯の中央値は1506万円、平均値は2285万円です。

就労による定期的な収入が減少する人が多いシルバー世代。60代をピークに貯蓄額が目減りしていく世帯が多いかと思いきや、「案外しっかり貯蓄を残している人が多い」と感じた人もいらっしゃるかもしれませんね。

ただ、こちらのデータで着目していただきたいのは、70代以上の平均貯蓄額である「2252万円」を超えているのは約4割であるという点。さらに、100万円未満の世帯が8.5%いるという点でしょう。

平均額は一部の「富裕層」や「高収入の人」によって上に引き上げられます。よって、平均値だけに着目すると「日本のシルバー世代70代以上って、結構お金を持っているのかも?かも?」と思えてきますが、世帯による差はかなりあるだろう、というのが現状といえるでしょう。

【解説】中央値について

「貯蓄保有世帯の中央値」は「貯蓄ゼロ世帯以外の世帯」を貯蓄現在高の低い方から順番に並べ、ちょうど中央にある世帯の貯蓄現在高のこと。平均値は極端に高い数字の影響を受けやすいため、「中央値」を目安に捉えるといいでしょう。

70歳以上の「貯蓄額」はどのくらい?

では、今回のお話のメインである「70代以上のシニア世帯」の貯蓄について、先述の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」より確認していきます。

さきほどの貯蓄額分布のデータの中で、「70代以上の平均貯蓄額が2252万円)である、と触れました。ここでは、その貯蓄の中身を確認していきます。

70代以上の「貯蓄の種類別貯蓄現在高」(二人以上の世帯、2019年)

  • 通貨性預貯金・・・580万円(25.8%)
  • 定期性預貯金・・・962万円(42.7%)
  • 生命保険など・・・352万円(15.6%)
  • 有価証券・・・347万円(15.4%)

金融機関外・・・11万円(0.0%)

※四捨五入の関係で合計100%になっていません

これらをあわせると、70代以上の平均貯蓄額は約2252万円となるのです。

冒頭でご紹介した「無職高齢者」の平均「2244万円」とほぼ同じです。

「老後破産」はヒトゴトではない

今回ご紹介したデータでは、60歳以上の高齢無職世帯の2019年の貯蓄現在高は「2244万円」。そのなかでも70代以上の平均貯蓄額は「2252万円」。どちらも2000万円を超えています。

老後受け取る年金受給額は、現役時代の働き方などにより、人それぞれです。そして、老後は、老朽化した住まいの修繕、ご自身やご家族の介護費用など、シルバー世代ならではの突発的な出費が発生する可能性も高まります。

老後の早い段階で預貯金に手を付けて、いわゆる「老後破産」まっしぐらとなることはできれば避けたいものです。

冒頭でも少し触れましたが、厚生労働省の資料では、生活保護を受ける人が65歳以上に多いという結果も。先述の、無職高齢者世帯の貯蓄額の分布は、そんな「老老格差」を端的に示しているといえるでしょう。

ご自身が年金をどのくらい受給できるのか、お勤め先には退職金制度があるのか、など、老後資金を支える収入がどのくらい見込めそうかは、できるだけ早めに把握しておく必要がありそうです。

これを読んでくださっている現役世代のみなさんの中には、「老後のお金といわれても、遠い先の話でピンとこない」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

とはいえ、はたらきざかりで忙しい時期はあっという間に過ぎ、気がついたときには老後の生活が目の前にやってきます。

お金の話は、親しい友人にも相談しづらいもの。さらにいうとお金のプロではない人の口コミや噂で金融商品を選ぶ、というのはあまり安心できないといってよいでしょう。

人生100年時代。長い老後を見据えたお金のこと、一度「資産運用のプロ」に相談されることもオススメです。

ご自身とご家族のニーズに合った、無理のないお金の育て方が見つかるきっかけになるかもしれません。

参考資料

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」「報道資料」「Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」

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