【青山尚暉のわんダフルカーライフ】小は大を兼ねる!? プチバンが大型犬&多頭乗車に適している理由

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大型犬や多頭飼いの飼い主のクルマ選びでは、どうしても大きな車種に目がいくものだ。しかし、自宅の駐車場事情、大きなクルマを運転するのが苦手といったドライバーの事情から、大きなクルマに抵抗感を持つこともあるだろう。

そこで、今回のわんダフルカーライフでは、小さく運転のしやすさ抜群のプチバンでも、実は大型犬や多頭飼いの愛犬家に適しているという事実を紹介したい。

まず、ここで言うプチバンとは、3列シートのコンパクトミニバンや、その派生車となる2列シートモデルを指すのではない。もっと小さく廉価な、スズキ『ソリオ』やトヨタ『ルーミー』のことである。どちらも5ナンバーサイズ、ハイトワゴンのパッケージ、両側スライドドア、後席スライド機構、多彩なシートアレンジ性、想像を絶する後席の広さ…などで共通する。

愛犬の特等席が後席であることを考えれば、リヤドアからの愛犬自身の乗り降りのしやすさ、後席空間のゆとり、シート座面の広さが重要なドッグフレンドリーポイントになったりするのだが、それらを意外なほどしっかりと満たしてくれ、大型犬でも(1頭なら)ゆったりとくつろげ、中小型犬2~3頭、あるいは大型犬と小型犬の組み合わせなら無理なく乗車できるのがプチバンというわけだ。

◆プチバン検証…大きなスライドドアに低いステップ、大型シートが決め手

では、実際のリヤドアからの乗り降りのしやすさ、後席の犬の居住性について、最新のプチバン、スズキ ソリオで検証してみたい。

まず、大型犬が自身で後席に乗り降りする場合だ。スライドドアの開口部は幅640×高さ1220mm。むしろ重要なステップ高は365mmと、ノンステップバス並みの低さである。もちろん、専門用語では掃き出しフロアと呼ばれる、ステップとフロアに段差がないため、小型犬でさえ乗り降りは楽々だ。

プチバンは後席にスライド機構を持っているのが通例で、トヨタ ルーミー、スズキ ソリオも同様。そのスライド機構を生かして後席を最後端位置にセットすれば、中央にトンネルのないフルフラットなフロア(ここもポイント)には実測で幅1250×奥行500mmものスペースが出現。そのおかげでフロアから約360mmの高さにあるシートに乗るための助走がしやすくなり、小型犬から大型犬まで、自身でシートに飛び乗り、飛び降りることが容易になるのである。

後席での愛犬の居心地に影響するシート座面の長さは、中大型SUVクラスでも480~490mm程度。しかしソリオの場合、後席の寸法はシート幅1240mm、座面長500mmと、コンパクトなプチバンらしからぬ大型シートなのである。しかも座面はフラット(愛犬乗車ではここが重要)で、愛犬をそのまま座らせても、ソフトキャリーなどに入れて乗せても、安定した姿勢でくつろげるというわけだ。

ただし、愛犬ファースト!? で後席を最後端位置までスライドさせると、ラゲッジスペースの奥行きが狭まる理屈。トヨタ ルーミーなら最小500mm(最大740mm)、スズキ・ソリオなら550mm(最大715mm)だ。つまり、愛犬連れのドライブ旅行などでキャリーケースなどの大きな荷物が収納しにくくなりそうなのだが、そもそもソリオは機内持ち込みサイズのキャリーケースを定員分の5個、積み込めるラゲッジ容量がある。なおかつ、ラゲッジの床下にも、機内持ち込みサイズのキャリーケースが余裕で入るサブトランクスペースを備えているから、荷物の収納力は、後席のスライド位置にかかわらず、文句なしと言っていい。どうしてもラゲッジの奥行きが足りない…というなら、愛犬を後席に乗車させたあと、後席を前方にスライドさせればよい(後席側、ラゲッジ側のどちらからでもOK)。

◆ソリオがプチバン界で最高のドッグフレンドリーカーと言えるワケ

トヨタ ルーミー、スズキ ソリオの両車には、ドッグフレンドリーな装備として、スライドドア部分のサイドウインドーにロールサンシェードが備わり、直射日光をやわらげ、車内の温度上昇を低減してくれるとともに、犬が嫌がる車外からの干渉もある程度、防いでくれる効果がある。ロールサンシェードを上げていても、メッシュ地だから車内から外がまったく見えないわけではなく、外の景色を眺めながらドライブを楽しむことができる。

そして、プチバン界で最高のドッグフレンドリーカーと言えるスズキ ソリオのドッグフレンドリーポイントの切り札の一つが、トヨタ ルーミーにないスリムサーキュレーター(HYBRID MZのみに装備)だ。サーキュレーターは家庭用でもおなじみだが、エアコンによる前後席の温度差を解消してくれる、後席に座った、1年中毛皮を着ている暑がりの犬の快適さを高めてくれるアイテムなのである。

それに加え、スズキ ソリオにはスズキグリーンテクノロジーの一つとして、ガソリン車の多くの場合、エアコンの冷風が停まってしまうアイドリングストップ中でもエコクール機能(蓄冷式エアコン HYBRID MZ/MXに装備)によって、一定時間、冷風をキープしてくれるのだから、スリムサーキュレーターとの合わせ技で、暑がりの犬の真夏のドライブも快適そのものに違いない。

また、5:5分割の後席を片側だけ倒せば、愛犬用の縦長スペースが出現(3人乗車可能)。さらにプチバンの前席セパレートシートなら、車外に出ることなく運転席から後席へ移動し、愛犬のケアをすることも可能だから便利すぎる。

◆機動性ヨシ!電源ヨシ!プチバンはオフィスとしても活躍できる

そんな、大型犬から多頭の乗車までを可能にしてくれる”意外なる”ドッグフレンドリーカーのプチバンたちは、アウトドア、車中泊、そして災害時も大活躍してくれそうだ。純正アクセサリーにアウトドア&車中泊用のアイテムが揃っているし、1-2列目席フラットアレンジによって、大人2人と愛犬がゆっくりと休むことさえできるからである。

そんなときに必須なのが、車外からの干渉を防いでくれる車内用カーテン。ここだけの話、純正アクセサリーはけっこう高価で、フロント~両サイド~リヤまで覆うとなると、ぴったりサイズというメリットは絶大なものの、装着費用は5万円オーバーになる。そこで、廉価に車内全周をカーテンで覆いたいなら、市販の遮光カーテンがお薦めだ。車内用カーテンには吸盤式とマグネット式があるのだが、装着のしやすさ、フレキシビリティ、そしてウインドーに跡を残さずに済む…という点で、マグネット式が優位だと思える。

実際にソリオの車内のウインドー全周にマグネット式の遮光カーテンを取り付けてみたが、費用は7000円ちょっと。付けるのも外すのも、カーテン上部のマグネットで車体の金属部分にペタペタと張り付けるだけなので、脱着は実に簡単便利。これなら車外からの干渉を気にせず、アウトドア、災害時に車内でゆっくりできるではないか(シートアレンジで足を延ばして仮眠も可能)。

そこでふと思いついたのが、コロナ禍でのステイホーム、ホームワークでの車内利用である(自宅に仕事部屋を確保できない場合)。今のクルマにはUSBソケットの装備が常識だから、パソコンやタブレットなどの電源確保が容易。プチバンのように後席折り畳みテーブルが付いていれば、もう最高のサテライトオフィス環境になるではないか!

このように、プチバンは大型犬、多頭飼いを含む愛犬家のドライブにぴったりなドッグフレンドリーカーであり、さまざまな用途に使える、経済的かつ扱いやすさも抜群な万能車と言っていい。

大型犬を飼っているから、多頭飼いだから、コンパクトなクルマでは役に立たなそう…と諦めず、愛犬の大小、頭数にかかわらず、とくに大きなクルマを運転するのが苦手! という愛犬家は、ぜひ愛車購入候補の1台として、”小は大を兼ねる”プチバンをチェックしていだきたい。

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー

自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、ラジオ番組の出演、イベントも手がけ、愛犬との安心快適な自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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