キャンピングカーを住まいにすると、家賃がかからず、気に入った場所にそのまま滞在できる。一方で、毎日の生活を続けると、旅行では気にならなかった「水」「電気」「トイレ」「通信」の管理が負担になる。2人でバンコンに住み替えた例をもとに、始める前に知っておきたい現実と対策を整理する。
家賃がなくなっても、毎月の支出は続く
家賃10万円のアパートを引き払い、450万円の中古バンコンを15年ローンで購入した場合、月々の返済は約3万円になる。家賃との差額は大きいが、税金・保険・車検、RVパークやキャンプ場の駐泊費は別にかかる。電源付きRVパークは1泊3500円、電源なしのキャンプ場でも1泊3000円程度の例がある。
「家賃0円」だけを見て判断せず、車両の維持費と滞在費を含めた月額を試算しておくと、生活の見通しが立ちやすい。
水は補給と排水をセットで考える
20Lの水タンクは、2人で料理・食器洗い・洗顔をすると、思ったより早く空になる。使った水をためる排水タンクもすぐ満タンになる。水は1Lで約1kg、20Lなら約20kg。給水と排水は同じ施設でできるとは限らず、水道があってもタンクへの給水を断られる場所もある。
対策は、洗い物の前に紙で汚れを拭き取る、飲み水はペットボトルで用意する、水をあまり使わないメニューにする、給排水できるRVパークを事前に調べる、の4つ。給水できるときにこまめに入れておく習慣も必要になる。
タンクを大きくすれば補給の回数は減るが、水の重さと設置スペースが増える。車内の広さや予算との兼ね合いで、自分たちがどこまで運べるかを考えると選びやすい。
電気は残量より「同時に使える量」を意識する
生活用バッテリーが残っていても、インバーターには一度に使える電力の上限がある。たとえば上限1500Wの車で、消費電力1200Wのドライヤーと電子レンジを同時に使うと、電気が止まることがある。バッテリー残量が80%あっても、同時使用が上限を超えれば同じことが起きる。
家と同じ感覚で複数の家電を使わず、消費電力の大きいものは順番に使う。タオルが乾かない時期はコインランドリーの乾燥機を利用する手もある。外電源のあるRVパークなら余裕はあるが、1泊3500円程度かかるため、電源なし区画を選ぶなら電力管理が欠かせない。
夜間トイレは場所と処理方法を先に決める
トイレのないバンコンでは、夜中に外のトイレまで歩くのが負担になる。雨の日や暗い道では特に難しい。選択肢は、タンク式ポータブルトイレか緊急用携帯トイレが現実的だ。
タンク式は排泄物を車内のタンクにため、後で処理する。ただし処理できる場所は限られ、本体と水と薬剤で約30kg近くになるものもある。19Lのカセットトイレを夫婦2人で使った場合、外のトイレを使わず3日が限界だった例もある。
緊急用携帯トイレは場所を取らず、吸収剤で固めて袋に入れて持ち帰れる。ただし使用後の袋は自治体や施設のルールに従って処分する必要があり、勝手にゴミ箱へ入れない。日本RV協会も、道の駅などのゴミ箱に生活ゴミを捨てないよう呼びかけている。車内に置いておくことへの抵抗感も人によってある。
どちらを選ぶにしても、夜間トイレの回数や処理設備の有無を考えて決めておくと、実際の暮らしで困りにくい。
通信環境は「町の近く」が前提になる
パソコンとネットで仕事をする場合、山間部や電波の弱い場所ではルーターが不安定になり、会議や作業に支障が出る。町の近くにいるときは問題なくても、山の中では電波が1本しか入らないこともある。
仕事がある日は、電波が入るエリアを確認してから滞在場所を決める。時間貸しのRVパークを利用する方法もあり、1時間300円、最大2500円程度で電源と安定した通信環境を確保できる場合がある。
通信手段を複数持つことは、この例では触れられていないため、必要に応じて検討する余地がある。ただし、山奥での長期滞在と仕事の両立は、通信環境の制約を前提に計画したほうが安全だ。
キャンピングカー生活は、家賃を浮かせて自由に移動できる一方で、水・電気・トイレ・通信を自分で管理する暮らしでもある。旅行の延長で始める前に、給排水できる場所、電力の上限、夜間トイレの方法、仕事に必要な通信環境を具体的に確認しておくと、毎日の負担を減らせる。