ネタニヤフ首相のホワイトハウス訪問とイラン攻撃計画――米意思決定の内幕と同盟関係の構造的変化
国際政治

ネタニヤフ首相のホワイトハウス訪問とイラン攻撃計画――米意思決定の内幕と同盟関係の構造的変化

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2025年2月11日、ベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相がホワイトハウスを訪問し、ドナルド・トランプ大統領と会談した。通常の首脳会談とは異なり、ネタニヤフ首相は報道陣との接触を避け、大統領執務室(オーバル・オフィス)での短時間の滞在の後、地下の作戦指揮室(シチュエーション・ルーム)へ移動した。同盟国首脳がこの部屋に入ることは極めて異例とされる。複数の関係者の証言をもとに構成されたある報道によれば、この場でネタニヤフ首相は、イランに対する大規模な軍事攻撃をアメリカが主導すべきだと提案したという。

提案の骨子とネタニヤフ首相の論理

ネタニヤフ首相のプレゼンテーションは約1時間に及んだとされる。その核心は、1ヶ月前に発生したイラン国内の大規模抗議運動(報道では「ここ数十年で最大規模」とされる)を契機に、イスラエルとアメリカが協調して空爆を実施すれば、イラン政権を短期間で崩壊させられるというものだった。モサド(イスラエル対外情報機関)の分析として、抗議運動の機運は依然として高く、工作員の活動で再燃させられると判断されていた。その上で、イスラエルがイランの弾道ミサイル拠点を把握しており、数週間で破壊可能であること、イランが弱体化すればホルムズ海峡封鎖も不能となり、戦争は2週間程度で終結し、アメリカの損害は最小限で済むと説いた。

トランプ大統領はこの説明に「満足した」と伝えられる。ソ連崩壊時のような高揚感を抱き、自らが歴史的立役者になれるとの期待を持ったとされる。しかし、同席した複数の高官からは即座に懸念が示された。

CIAの評価と「茶番」と断じられたシナリオ

翌2月12日、CIAはネタニヤフ首相の提案を4つの段階に分解して精査した。
1. 残虐作戦(最高指導者を含む要人の殺害)
2. 脅威排除(ミサイル・ドローン等の軍事能力無力化)
3. 民衆蜂起(空爆を契機に内部から体制を揺さぶる)
4. 政権転覆(親米政権の樹立)

CIAのラトクリフ長官(当時)は、前半2つについては「達成可能」としたものの、後半2つについては「かなり非現実的」と評価した。クルド勢力はアメリカと共同作戦が可能な関係になく、有力な後継者も不在であるため、政権崩壊後の空白を誰が埋めるのか見通せないからだ。ラトクリフ長官は「茶番だ」と結論づけ、ルビオ国務長官(当時)も「つまり出鱈目だな」と同意したとされる。バンス副大統領(当時)もアゼルバイジャン訪問から戻った後、「かなり疑わしい」との見解を示した。

大統領を取り巻く「助言」と「従順」の構造

報道によれば、トランプ大統領の側近たちは、大統領に真正面から反対すると解任されるリスクを熟知していたため、強い異論をぶつけることは避け、「助言」に留めた。ミリー統合参謀本部議長(当時)は、パトリオットやTHAAD等の迎撃ミサイル備蓄がウクライナ・イスラエル支援で枯渇気味であり、対中備蓄も確保しなければならない中で、イラン攻撃に消費すれば在庫が尽きると警告した。ホルムズ海峡封鎖のリスクも指摘したが、トランプ大統領は「イランはその前に屈服する」「半年前のように報復らしい報復もなく2週間で終わる」と楽観していたという。

バンス副大統領は「アメリカ・ファースト」の立場から、新たな戦争は支持基盤の裏切りになると懸念し、タッカー・カールソン氏(保守系論客)もホワイトハウスを訪れ支持基盤喪失を警告したが、大統領の意思は変わらなかった。

最終会議と「エピック・フューリー」承認

2月26日、イラン攻撃に関する最終会議が開かれた。財務長官とエネルギー長官(ホルムズ海峡封鎖による原油高の第一責任者)は招かれていなかった。「短期で終わるなら検討する必要のないことだ」との判断だったと推測される。出席者の意見は割れた。バンス副大統領は「正直あまり良い考えとは思わないが、やるなら助ける」、ヘグセス国防長官は「いずれ攻撃するなら今が一番良い」と賛成、ミリー議長は備蓄消費と封鎖リスクを説明しつつ「大統領が決断すれば忠実に実行する」、ルビオ長官は「政権転覆目的ならやるべきではないが、ミサイル計画破壊が目的なら達成可能」とした。トランプ大統領は最終的に「やるべきだと思う。この機会に徹底的に攻撃を加えれば核開発も弾道ミサイルの脅威もなくなり、アメリカの損害は小さい」との直感に頼り、作戦名「エピック・フューリー」を承認した。

浮かび上がる構造的問題:同盟国が主導するアメリカ外交

この一連の流れが事実とすれば、アメリカの対外政策が同盟国(イスラエル)の主導で動かされた事例として記録されることになる。報道の結びでは、現在の米イスラエル関係を「第一次世界大戦前のドイツとオーストリア=ハンガリー帝国の関係」に例え、小国が大国を戦争へ引きずり込む「尾が犬を振るう」構造の危うさを指摘している。制度的なチェック・アンド・バランス(CIAの分析、軍の資源制約、副大統領の政治的警告)が機能し、大統領の直感的判断のみが残った点も、意思決定プロセスの脆弱性を示唆する。

未確認事項と今後の焦点

本稿の記述は、特定の動画トランスクリプトに基づく単一の情報源によるものであり、公式記録や複数の独立した取材による裏付けは現時点では確認されていない。会議の正確な日時、出席者、発言内容、作戦名「エピック・フューリー」の実在性、およびその後の実行有無については、引き続き検証が必要である。また、イラン国内の抗議運動の実態、モサドの工作能力、クルド勢力との連携可能性など、前提とされた情報の信頼性も未確定だ。

今後注目されるのは、アメリカ議会や情報機関、同盟国(欧州・湾岸諸国)がこの意思決定プロセスをどう評価し、対イラン政策・対イスラエル関係にどのような修正を迫るかである。同盟国の要請をどこまで自国の戦略的自律性と両立させられるか、という問いは、中東情勢のみならず、アメリカ外交の根幹に関わる課題として残り続ける。

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