サッカー元日本代表・本田圭佑氏の言葉には、挫折を経験した人への具体的な処方箋と、夢を実現するための思考法が込められている。どんなに悩み泣いても状況は変わらず、自ら前を向き一歩踏み出すことでしか切り開けない――その厳しくも温かなメッセージを整理する。
挫折したとき、どう立ち直るか
「どんだけ悩んでどんだけ泣いてどんだけ考え続けててもその状況っていうのは変わりません。その状況変えられるのは自分が前を向いて自分が一歩踏み出して何か状況を切り開いていくということが必ず必要になるわけです」
諦めること自体は一つの選択肢だと語る。ただし、その道を諦めたなら別の道へ進む一歩を踏み出さなければならない。諦めずに再挑戦するのもまた一歩だ。どちらにせよ「自分が行動に移すことが一番大事」という原則は変わらない。
人より大変な思いをし、涙し、苦痛を味わい、心が傷ついた経験を持つ人ほど、将来必ず強くなる。辛い経験を「誰よりも強くなるチャンス」と捉え直せるかどうかが分岐点になる。
習慣化が才能を生む理由
「才能ではないんですよ。本当に習慣化が才能とみんなさんが言われるいわゆる能力を身につけさせるんですよね」
人間は「明日の利益より今日の利益」を優先してしまう生き物だ。将来の大きな報酬(夢の実現)と目の前の小さな報酬(楽なこと・誘惑)を比較したとき、後者に勝てないのが普通だという。しかし、大人になって「1年後の報酬が目の前の報酬と比較にならないほど大きい」と解釈できるようになったとき、初めて誘惑に打ち勝つ原動力が生まれる。
大きな目標を立てず、人に言わないのは「できなかったときの人の目」や「社会の評価」が気になるからだ。身内にだけでも宣言し、適度なプレッシャーをかけて習慣を定着させる――それが本田氏の実践してきた方法だ。
諦めない人が最後に勝つ
「サッカー選手で成功しているのはうまい子が成功してるんじゃなくて、最後まで諦めなかった人が成功してるんです」
途中で誰もが失敗し、負ける。自分よりうまい相手に必ず出会う。そこで「無理だ」と思えば努力は止まるが、「無理じゃない」と積み重ねた人がプロになり、先に諦めた人が負けていく。夢を叶える過程では家族を含め邪魔をする人が現れるが、それに屈しては夢は叶わない。
挫折するたびに周りは「ほらね」「やめとけよ」と言う。それに屈するならさっさと諦めたほうがいい。自分の胸に「夢を叶える覚悟がまだあるか」を問い、イエスなら反論すべきだ。自信がないなら、やめる選択も悪くない。サッカーだけが道ではなく、いろんな世界を見てほしい――それが大人の責任だとも語る。
環境にこだわることが最短ルート
「目標が決まり夢を持てばそのために必要なことっていうのは皆さん分かってるんです。分かってるけど成果が出せない人とか夢を叶えられない人の多くはその環境にこだわっていないから」
世界一を目指すなら、サッカーのレベルが上がる環境に身を置くのがベストだ。当たり前のことを当たり前にやるだけだが、その「環境へのこだわり」が甘いために伸び悩んでいるケースが多い。生まれた場所や親は選べなかったが、大人になってからは環境を自分で選べる。毎日何を見て、誰と過ごし、どんな練習をするか――最高の環境が最高の習慣を作る。
環境が整い習慣ができれば、周りから「すごいですね、どうやってるんですか」と聞かれる存在になれる。本人にとってはその環境が「当たり前」になっているからだ。
追い込まれたとき、自分に言い聞かせる言葉
「いつかは死ぬ。生きたいように生きろと」
どんなに追い込まれても「まあなんとかなるやろう」と一般的にポジティブに捉え直せる、今日この日までなんとか楽しく生きてこられたという事実こそが、最も大事な考え方だと語る。
挫折を力に変え、習慣を積み上げ、環境を選び、最後まで諦めない。その先にあるのは、自分で選んだ人生を生ききったという確信だけだ。