「不倫しやすい人」をデータから考える——夫婦の会話より収入と学歴が関係する理由
夫婦関係

「不倫しやすい人」をデータから考える——夫婦の会話より収入と学歴が関係する理由

読了目安:約4分
文字サイズ

夫婦の会話が減ったり、性生活の頻度が下がったりすると、不倫のリスクが高まる。そんな話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、複数の調査データを分析したある論文では、少し違う傾向が示されました。不倫と強く関連していたのは、夫婦の親密さよりも、収入や学歴といった「環境と条件」だったのです。

ここで紹介するのは、あくまで統計上の関連です。「この条件があれば必ず不倫をする」という話ではありません。ただ、パートナーとの関係に悩んだとき、何を変えられるのかを考える材料にはなるはずです。

夫婦の親密さは、不倫とほとんど関係していなかった

分析では、不倫をした人としていない人を、会話時間、性生活の頻度、子どもの人数などで比較しました。すると、これらの要素は男女とも、不倫との明確な関連が見られなかったと報告されています。

たとえば、夫婦の会話時間が短いから不倫しやすい、あるいは性生活が少ないから不倫しやすい、といった単純な因果は見いだせなかったのです。仲が良いから安心、という考え方だけでは説明しきれない部分があります。

一方で、収入と学歴には、男女で異なる関連が見られました。

男性は収入が上がるほど、女性は夫と同程度の収入で不倫が減る

男性の場合、収入が上がるほど不倫の経験率が高くなる傾向が示されました。報告された数値では、年収カテゴリーが一つ上がるごとに関連が強まり、最も高い層では低い層に比べて統計上の関連が13倍近くになることもあったといいます。

さらに、妻の収入が夫より高い場合、夫の不倫との関連が非常に強く出たという結果もあります。ただし、これは「妻の収入が高いと夫が不倫する」と決めつけるものではありません。収入差がもたらす夫婦間の力関係や、夫側の自尊心、あるいは報告の偏りなど、複数の解釈が考えられます。

女性では、夫と同じくらいの収入があると不倫率が下がり、最終学歴が大学卒だとさらに下がる傾向が見られました。男性と異なり、夫の収入や会話時間、性生活の頻度などは、女性の不倫とほとんど関連していなかったとされています。

学歴が高いほど不倫しにくい、という傾向の読み方

男女共通で、最終学歴が高いほど不倫の経験率が低いという結果が出ています。分析では、大卒や専門学校卒で不倫率が下がる傾向が示されました。

この理由として、論文では二つの仮説が挙げられていました。一つは、学歴が上がると道徳的規範を重視する傾向が強まるというもの。もう一つは、社会的地位や職業上の信用を失うリスクを考え、合理的に抑止が働くというものです。

ただし、これは「学歴が高い人は人間的に優れている」という意味ではありません。あくまで集団としての傾向であり、個人を判断する材料にはなりません。

不倫を「愛情の問題」だけで考えない

このデータから言えるのは、不倫は個人の気持ちや夫婦の愛情だけの問題ではなく、出会いの機会や社会的な条件に左右されやすい面がある、ということです。

たとえば、仕事で異性と接する機会が多い、出張が多い、飲み会が多いといった環境は、それだけで不倫の機会を増やします。逆に、愛情が冷めていても、出会いの機会がなければ不倫は起こりにくい。これは仮定の話ですが、環境要因の大きさを示しています。

だからといって、「環境のせいで仕方ない」と開き直ることはできません。最終的に行動を選ぶのは本人です。データはあくまで傾向を示すもので、個人の意思や責任を消すものではないのです。

パートナーとの関係でできること、できないこと

もしパートナーの不倫が心配な場合、会話を増やすことだけに集中しても、データ上は効果が限定的かもしれません。それよりも、次のような点を話し合う余地があります。

  • お互いにとって「許容できる関係」と「許容できない行動」を具体的に確認する
  • 仕事や交友関係のなかで、不倫につながりやすい環境があるかどうかを率直に話す
  • 収入差や家事・育児の分担など、夫婦間の力関係に不満がないか点検する
  • 必要であれば、カップルカウンセリングなど第三者を交えて話す

ただし、相手がすでに不倫をしている、あるいは話し合いが暴力や支配につながる場合は、無理に二人だけで解決しようとしないでください。安全を優先し、信頼できる人や専門機関に相談することも選択肢です。

データを自分の関係にそのまま当てはめない

今回の分析は、日本の不倫研究が少ないなかで出てきた一つの報告です。自己申告に基づくため、特に女性の不倫率は実際より低く出ている可能性もあります。また、相関関係は因果関係を意味しません。

収入が高い男性が全員不倫をするわけでも、学歴が低い人が不倫しやすいわけでもありません。数字はあくまで集団の傾向であり、あなたやパートナー個人を決めつける材料にはなりません。

それでも、「夫婦の親密さだけを高めれば不倫は防げる」という思い込みから少し距離を取れると、関係の見え方は変わります。愛情を確かめ合うことと、環境や条件を整えることは、別の作業として考えてみる価値があるでしょう。

シェアする

気になる記事から、別の視点も見つけてみませんか。

父親の威厳が消えた理由と、これからの家庭での居場所づくり
家族関係2026年10月22日

父親の威厳が消えた理由と、これからの家庭での居場所づくり

「昔は一家の主だったのに、なぜ父親の威厳は消えたのか」。そう感じる背景には、個人の力不足ではなく、家族を支える仕組みそのものの変化があります。江戸時代の「地震雷火事親父」から、明治の家制度、昭和の大黒柱、そして共働きが当たり前になった現代まで、父親の立場は法律と経済の変化に合わせて移り変わってきまし...

記事を読む
「恋は盲目」は悪いこと? 長続きする二人が持つ「少しだけの錯覚」
恋愛と人間関係2026年10月21日

「恋は盲目」は悪いこと? 長続きする二人が持つ「少しだけの錯覚」

待ち合わせに遅れてきた相手を、あなたはどう見るだろう。友達なら「だらしない」と感じる場面でも、恋人が相手だと「道が混んでいたのかな」と思えてしまう。同じ出来事なのに、見え方がまるで違う。このずれは、恋をすると誰にでも起こる心の働きだ。昔から「恋は盲目」と戒められるが、心理学の研究では、相手を少しだけ...

記事を読む
「性欲のない男性」を求める前に考えたい、自分の“できない”との向き合い方
恋愛と性の悩み2026年10月21日

「性欲のない男性」を求める前に考えたい、自分の“できない”との向き合い方

SNSで「性欲のない男性はいないのか」という声を目にすることがあります。そこには、男性に傷つけられた経験や、性行為そのものへの苦手意識がにじんでいることも少なくありません。ただ、この言葉が指している相手と、実際に自分が望んでいる関係は、必ずしも一致していない場合があります。「性欲のない男性」を求める声...

記事を読む
感謝を先にすると職場と家庭の空気はどう変わる?無理なく試す「ありがとう」の使い方
仕事と人間関係2026年10月21日

感謝を先にすると職場と家庭の空気はどう変わる?無理なく試す「ありがとう」の使い方

「挨拶をしても返事がない。会議で意見を流される。家に帰っても会話が続かない。」こうした場面では、感謝の言葉は後回しになりがちです。しかし、ジョセフ・マーフィーの教えでは、感謝は良い出来事が起きた後の反応ではなく、まだ起きていない望ましい状態を先に言葉にする「想像の行為」とされます。この考え方を、仕事...

記事を読む

気になるテーマを、次も。

フォローしたテーマの新着記事をホームに表示します。登録は不要です。