「日本は117位」は何を意味する? ジェンダーギャップ指数の読み方
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「日本は117位」は何を意味する? ジェンダーギャップ指数の読み方

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「日本はジェンダーギャップ指数で117位」という見出しを見て、モヤッとした人もいるのではないでしょうか。この指数が測っているのは、男女のあいだにある「差」の大きさです。暮らしの豊かさや安全、一人ひとりの満足度を直接測ったものではありません。だから順位が低いことと、女性の暮らしが一律に苦しいことは同じ意味にはなりませんし、順位が高い国がすべての人にとって暮らしやすいとも限りません。ここでは、指数の採点ルールと内訳をたどりながら、この数字をどう読めばいいのかを整理します。

指数が数えているのは「差」で、「水準」ではない

世界経済フォーラムが毎年公表しているジェンダーギャップ指数は、4つの分野、14の項目で男女の差を点数にします。分野は、経済参画と機会、教育、健康、政治参画です。

経済には、働いている人の割合、推定収入、管理職の割合、専門職の割合、同じ仕事の賃金の比較が入ります。教育では読み書きや就学率、健康では出生時の男女比と健康寿命、政治では国会議員や大臣の女性割合、女性が元首や政府の長を務めた年数が含まれます。

ここで押さえておきたいのは、どの項目も「女性の数値を男性の数値で割る」形で計算されるという点です。同じなら1.0、これが満点になります。

1.0で止まる採点ルール

この指数の解説では、平等の基準で打ち止めにする、と説明されています。つまり、女性の数値が男性を上回っていても満点は1.0のままです。逆向きの差があっても、その国の点数を上げることも下げることもない、というルールになっています。

仮の例で考えてみます。ある国の大学進学率で、女性が男性の2倍だったとします。それでもこの項目は満点の1.0で止まります。女性が大きく上回っていても、それ以上は加点されない仕組みです。

裏返すと、男性の側が不利になっている差は、この指数の点数には表れません。女性が不利になっている数字だけを集めて、不平等かどうかを判定する物差しになっている、という指摘があります。

日本の内訳を見ると、順位を動かしているのは政治と経済

日本の内訳を見ると、分野ごとの性格がはっきり分かれます。教育は100点満点でいえば99点相当ですが、それでも順位は60位台です。健康も97点相当で、順位は40位台になります。満点に近い国がそれだけ多い、ということです。

一方で政治は10点台、経済は60点台にとどまります。国会議員に占める女性の割合は15%前後、管理職の女性割合も15%前後、女性の収入は男性の6割程度、という数字が紹介されています。

つまり「117位」という数字の大半は、政治と管理職の少なさが占めていることになります。教育や健康で大きく遅れているわけではありません。ここを見ずに順位だけを受け取ると、日本の何が課題なのかを見誤ります。

上位の国が、そのまま暮らしやすい国とは限らない

1位のアイスランドでも、大学などに通う人は女性が男性の約2倍で、それでも満点扱いです。元首や政府の長を女性が務めた年数も、過去50年で女性が男性を上回っていますが、これも満点で止まります。

4位のナミビアは、大臣の6割以上が女性、国会議員も4割前後という数字が紹介されています。健康の項目も満点ですが、健康寿命そのものは男女とも日本より20年以上短い、という指摘があります。差が大きいかどうかだけを見て、長く元気に生きられるかどうかは見ていない、ということです。

この指数には、治安や安全、医療の水準、暮らしの豊かさは含まれていません。外務省の海外安全情報のような別の情報と合わせて見ないと、「上位の国=暮らしやすい国」と単純に結びつけることはできません。

男性側の負担が入らない、という限界

この指数に対してよく挙がるのが、男性が受けている不利が数えられていない、という指摘です。長時間労働、転勤、深夜の対応などが男性に偏っている場合、それは指数の点数には表れません。

ただし、測る範囲が違うからといって、その負担が存在しないことになるわけではありません。指数に入っていないというだけで、別の指標や別の場面では問題として扱われます。逆に、指数で低い点数が出ている分野は、実際に数字として差が表れている分野です。どちらかがどちらかを打ち消す関係にはありません。

数字と付き合うときの見方

順位を見かけたときにできることは、いくつかあります。

  • 順位だけでなく、4分野の内訳を確認する。どの分野が低いのかで意味は変わります。
  • 「差」と「水準」を分けて読む。差が小さいことは、暮らしが良いことを自動的に意味しません。
  • 発表された年と対象国数を確かめる。同じ指数でも、年によって順位は動きます。

健康の項目のように、女性が長く生きること自体がそのまま加点になるわけではなく、一定の調整が入るという説明が添えられている場合もあります。細かい計算方法まで追うのは大変ですが、少なくとも「順位=暮らしやすさの順位」ではないことは覚えておいて損はありません。

なお、ここで扱った数字は、公表されている報告書やその解説として紹介されているものです。実際の数値は毎年更新されるため、判断するときは最新の報告書で確認してください。ジェンダーをめぐる問題でつらさや不安が続く場合は、一人で抱えず、相談できる窓口や専門家を頼ることも選択肢に入れてください。

数字は、誰かの暮らしをそのまま映す鏡ではありません。何を数えて、何を数えていないのか。そこまで見て初めて、順位は判断の材料になります。

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