ゲームの面白さは、電源を入れてから始まるとは限りません。昔の家庭用ゲームには、買いに行く、箱を眺める、説明書を読む、友達と順番を待つ、攻略本を書き写すといった、プレイしていない時間の楽しみがありました。ダウンロード版が中心になり、攻略情報もすぐ手に入る今、そうした余白は少なくなっています。ただ、昔に戻らなくても、今の環境の中で似た時間を作ることはできます。
なぜ遊ぶ前の時間まで楽しかったのか
1980年代、家庭用ゲーム機が広がった頃、ソフトは鍵付きのガラスケースに並べられ、店員に出してもらう店もありました。目の前にあるのに触れないからこそ、選ぶ時間が特別に感じられたといいます。買えないソフトを眺め、どれを買うか悩むこと自体が遊びの一部でした。
また、説明書を読んでまだ見ぬゲームの世界を想像したり、友達から聞いた裏技を試したり、攻略本の地図を書き写したりする時間もありました。これらは「情報が少ない」「すぐ遊べない」という不便さから生まれた余白です。今はボタン一つで買えて、詰まれば検索できる。便利になった一方、待つ・選ぶ・想像する間は少なくなりました。
今のゲームでも作れる、遊ぶ前の小さな余白
買う前に一呼吸置く
ダウンロード版でも、購入ボタンを押す前にストアページの紹介文やスクリーンショットを読み、期待することをメモしてみるのは一案です。たとえば「最初にどこへ行きたいか」「どんな操作を試したいか」を書いてから買う。すぐ買うのが習慣なら、まず1日だけ待つ日を決めるのもいいでしょう。ただし、待つことがストレスになる場合は無理に続けなくて構いません。
説明書の代わりに「導入メモ」を作る
昔の説明書には操作方法だけでなく、物語の導入や世界観が載っていました。今はチュートリアルが丁寧ですが、自分用のメモに最初のあらすじや気になった言葉を書き留めると、次に遊ぶ前の想像の時間が生まれます。ノートやスマホのメモで十分です。
攻略情報をすぐ検索しない時間を決める
詰まったとき、すぐ攻略サイトを見るのではなく、まず自分で10分だけ試す、あるいは友人に「ここで詰まった」と聞いてみる。口コミのように人を介すと、答え以外の会話も生まれます。どうしても進めないときは、時間を区切って検索するほうが疲れません。
オフラインで集まる楽しさを部分的に取り戻す
昔は友達と同じ部屋で1台の画面を囲み、順番を待つ時間も遊びの一部でした。今はオンラインで離れた人と遊べますが、同じ空間で笑い合う体験は別の味わいがあります。家族や同居人と画面を共有して順番に遊ぶ、ローカル対戦のできる作品を選ぶ、あるいは通話をしながら同じゲームを進めて感想を言い合うだけでも、共有の余白は作れます。
ただし、集まる相手や時間が合わないこともあります。無理にオフラインを再現しなくても、オンラインでの交流も十分楽しいものです。自分に合う形で取り入れればいいでしょう。
合わない場合の代案
「買う前に待つ」「攻略を我慢する」といった工夫は、人によってはただ面倒に感じるかもしれません。ゲームは遊ぶためのものなので、すぐ買ってすぐ遊ぶ今の流れを否定する必要はありません。余白を作りたい気持ちがあるときだけ、一つ試すくらいで十分です。
また、待つ時間や情報を制限する時間が長すぎると、せっかくのゲームが進まず疲れてしまいます。時間を区切る、今日は検索してもいい日にするなど、自分で調整してください。
失われたのはパッケージではなく、間を楽しむ感覚
パッケージ版が減っても、ゲームそのものの面白さがなくなるわけではありません。昔のゲームが遊ぶ前から楽しかったのは、物や情報が手に入りにくい中で、選び、想像し、人と共有する間があったからです。その間は、今の環境でも小さく作れます。すべてを再現する必要はなく、自分のペースで一つだけ取り入れてみる。それだけで、ゲームを始める前の時間が少し変わるかもしれません。