「株式市場は終わった」と言われるたびに、株価は不死鳥のように蘇り、最高値を更新してきた。1985年から投資を始めたと仮定すると、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、パンデミック、戦争と、何度も大きな暴落に直面することになる。それでも市場は回復してきた。この歴史から、投資初心者が学べることは何だろうか。
暴落と回復は繰り返されてきた
仮に1985年に投資を始めたとする。最初の数年は資産が順調に増え、周囲から「投資の天才」と言われるかもしれない。しかし1987年のブラックマンデーで、ウォール街は史上最大級の1日下落を記録する。その後、市場はゆっくり回復し、やがてインターネットが世界を変えると期待された。ところが2000年頃にITバブルが崩れ、多くの投資家が損失を抱えた。
その後も2008年のリーマン・ショック、2020年のパンデミックによる世界経済の縮小、さらには戦争の勃発と、市場が終わったと思われる出来事は繰り返されてきた。しかし、そのたびに株価は回復し、最高値を更新してきた。
利益を得た人は「暴落を避けた」のではなく「暴落を超えた」
ここで誤解しやすいのは、成功した投資家は暴落を予測して事前に売却したから儲かった、という見方である。しかし実際には、どんなに優秀な投資家でも暴落を完全に避けることは難しい。むしろ、暴落を経験しても売らずに持ち続けた人、あるいは暴落時に買い増しできた人が、その後の回復で利益を得てきた。
投資の利益は、きれいな右肩上がりの給料のように毎月一定額がもらえるものではない。暴落という苦しい時期を経て、ようやく果実を拾える世界だと言われる。暴落時に次の富裕層が生まれるという言葉もあるが、それは暴落を「乗り越えられる人」にとっての話である。
暴落を「富の入り口」と捉える前に確認したいこと
ただし、暴落を乗り越えることが誰にでも適しているわけではない。生活に必要なお金や短期で使う予定のお金を投資に回していると、暴落時に売らざるを得なくなり、回復を待てないことがある。また、精神的な負担が大きすぎると、冷静な判断ができなくなる。
- 投資に回すのは、当面使う予定のない余裕資金か
- 暴落が起きても、生活費を数か月から数年分は確保できるか
- 価格が一時的に大きく下がっても、夜眠れる程度の金額か
これらを確認したうえで、自分が耐えられる範囲で投資を続けることが、長期的な利益につながりやすい。無理に持ち続けることが正解ではなく、売却して生活を守ることも選択肢の一つである。
市場が復活してきた背景をどう捉えるか
インターネットは本物だったが、ITバブルで多くの投資家が退出した、という指摘がある。技術や経済の長期的な成長は本物でも、短期的な価格変動に耐えられずに市場を去る人は多い。株式市場は、企業の利益や経済活動を反映して長期的に上昇してきた歴史がある。ただし、過去のパターンが将来も必ず繰り返されるとは限らない。
それでも、暴落のたびに「今回は違う」と言われながら、市場は回復してきた。投資初心者がこの歴史から得られるのは、暴落を完全に避けようとするよりも、暴落が起きることを前提に、自分の生活と心を守る仕組みを作っておくことではないだろうか。
株式市場は、何度も終わりを宣告されながら蘇ってきた。投資で利益を得るには、暴落を避ける技術よりも、暴落を経験しても続けられる態勢が重要になる。そのためには、余裕資金の範囲で、自分が耐えられる金額だけを投資に回すこと。暴落は怖いが、正しく準備していれば、回復を待つ時間を味方につけられるかもしれない。