1. 「新しい仕事」と「今すぐ止める必要」を分ける
最初にできるのは、新しい依頼が来たときに、その仕事を今の作業の後ろへ置けないかを確認することです。新しい仕事が発生したことと、今の仕事を止める必要があることは同じではありません。急ぎでない依頼は、区切りの良いタイミングや、1つの作業を続けすぎて集中力が落ちたときに移れば十分な場合が多いです。
具体的には、チャットが届いたら、まず「今すぐ答える必要があるか」を判断します。数分で答えられる内容でも、資料の途中なら一度頭を切り替えるコストがかかります。返信が必要なら、今の作業の切れ目にまとめて返すと、切り替えの回数を減らせます。
注意点として、すべての依頼を後回しにできるわけではありません。顧客対応や、相手の作業が止まっている場合は、待たせられないこともあります。その場合は、次の「対応する人を分ける」方法を組み合わせます。
2. 対応する人と集中する人を時間帯で分ける
チームで同じ問い合わせを全員が確認していると、1件の連絡が複数人の作業を止めてしまいます。たとえば5人のチームで、全員に通知が届き、誰が返すか決まっていなければ、5人とも内容を確認し、自分が対応すべきか考えます。これでは割り込みが増える一方です。
そこで、時間帯ごとに一次対応の担当を決めます。担当者がまず内容を確認し、その場で答えられるものは処理する。急がないものはまとめ、専門的な判断が必要なときだけ他の人へ引き継ぐ。この形なら、問い合わせへの対応を続けながら、全員が毎回確認する必要を減らせます。
この分け方で重要なのは、対応担当の通常業務も減らすことです。問い合わせを全部引き受けてもらいながら普段通りの成果まで求めると、負担を1人に集めただけになります。担当する時間には対応のための時間を渡し、量が多ければ担当を増やして交代できるようにします。
あわせて、担当者がどこまで自分で答えてよいか、どの条件なら相談するかを決めておきます。判断できる範囲を渡さないと、担当者を経由して割り込みが届くだけになるからです。
3. 同時に進める仕事の数を減らし、完成を先に決める
1人で取り組む1時間の仕事が3つあるとします。重要度に差がなく、途中の確認待ちもない場合、1つずつ終えれば1時間後に最初の成果を渡せます。3つを少しずつ進めると、どれも進んでいるのに渡せるものがない時間が続きます。切り替えのロスを無視しても、全部が終わる時刻は同じでも、成果を使い始められる時刻は変わります。
実際の仕事では、最初の成果を渡すことで、それを使う人が次へ進めるかもしれません。だから、全部を少しずつ動かすことより、何を先に完成させるかを見る必要があります。もちろん確認待ちの間に別の仕事を進めることはありますが、進められる仕事を何度も中断してまで全てに手をつける必要はないはずです。
ただし、「優先順位をつけましょう」と伝えるだけでは解決しない場合があります。本人が順番を決めても、依頼元の締め切りまで変えられないからです。たとえば営業から急ぎの確認を頼まれ、開発の資料を午後に仕上げる約束もしている場合、どちらを先にしても相手との約束が衝突したままになります。
ここで必要なのが、管理職など権限を持つ人による調整です。営業への回答を先にするなら、開発側へ事情を説明して資料を渡す時刻を変更する。締め切りを動かせないなら、資料の範囲を縮めるか、担当を分けるか、新しい依頼を待たせるかを決めます。優先順位を決めるとは、後回しになる仕事について関係者と合意することでもあります。
新しい仕事を追加するときも同じです。「これもお願いします」と伝える前に、今の仕事をどう変更するかを決め、その変更を依頼元にも伝えます。担当者の細かい作業順まで管理する必要はありませんが、部署間の締め切りや仕事量の衝突は、必要な権限を持つ人が調整する必要があります。
まず試すなら、この3つから
職場の割り込みを減らすには、個人の意志ではなく、仕事の流れを変えることが欠かせません。最初は次の3つから試すのが現実的です。
- 新しい依頼が来たら、今すぐ止める必要があるかを確認し、急ぎでなければ今の作業の後ろへ置く。
- 問い合わせやチャットの一次対応を時間帯ごとに担当制にし、担当者の通常業務を減らす。
- 同時に進める仕事を減らし、何を先に完成させるかを関係者と合意する。
すべての職場に同じ方法が合うわけではありません。ただ、中断の多さを個人の集中力の問題にしないことは、働き方を変えるための最初の一歩になります。