収納用品を買い足しても、数週間で部屋が元の散らかった状態に戻る。それは根気が足りなかったからではなく、長続きしない前提で作られた商品と、場所を割り当てずに箱で隠す習慣に原因があることが多い。ここでは、特に注意したい収納用品と、日本の家の考え方を手がかりに、買う前に確認したいことを整理する。
まず疑いたいのは「組み立て式の収納家具」と「仕切り系グッズ」
樹脂製の引き出しワゴンは、3〜4段で車輪が付いていて3000円台から買えます。しかし引き出しが十分に開かず、まともな物が入りません。中に収まるのは、他に居場所のない小さなものばかり。上段に少しでも重いものを入れると数か月で本体が歪み、下段が開かなくなります。引き出しが抜けないため、中でこぼれたものは底に残ったままです。
ワイヤーラックも同じです。組み立てた直後からぐらつき、編み目が粗いので小さいものは下に落ちます。少し動かそうとすると分解しそうになり、触れると揺れる収納は、やがて収納ではなくなります。信用できない場所には物をしまわなくなるからです。天板に郵便物が積み上がり、棚に途中の作業が溜まるのは、その結果です。
靴下や下着の引き出しに入れる布の仕切りセットも、入れ始めは整って見えますが、衣類の重みで仕切りが潰れ、2か月ほどで機能しなくなります。仕切りは、仕切りが要らないほど整った引き出しでしか働きません。散らかった引き出しでは、仕切りの方が負けてしまいます。
折りたたみ式の洗濯かごは、使わないときに平らになるのが利点に見えますが、実際には勝手に畳まれ、持ち手は数か月でちぎれ、縫い目もすり切れます。安いものを半年ごとに買い直すより、最初から丈夫な竹かごや厚手の布製かごを一つ選ぶ方が、10年単位では負担が少なく済みます。
子ども部屋と台所の「かわいい収納」が場所を奪う
キャラクターが描かれた収納ボックスは、4000円ほどしますが、入るのはぬいぐるみ12個ほど。子どもの好みは2年ごとに変わり、3歳で夢中だったキャラクターの箱は、5歳で急にダサくなり、7歳では恥ずかしいものになります。箱は押し入れの奥へ行くか、捨てられます。長期の収納ではなく、1年半分の収納だったことになります。
大きなおもちゃ箱も、分類や仕切りがないため、目当ての一つを取り出すには他の全部を床に出すしかありません。片付けはいつも、床のおもちゃを両腕でかき集めて箱に投げ戻すだけ。おもちゃに場所は与えても、居場所は与えていません。日本の家では、開いた棚の上に名前を書いた小さな入れ物を置き、一つひとつに決まった場所を与えます。元の場所に戻すという行為が、穴に投げ込むのとは全く違う経験になります。
台所の出来合いのスパイスラックも、24本の瓶が並んで見栄えはしますが、日常的に使うのは6本ほどです。残りの18本は香りを失いながら調理台の一角を占め続け、本当に欲しくなった調味料を足す場所がありません。今の季節に実際に作るものに合った調味料だけを置く「旬」の考え方に立てば、見た目が欲しいなら自分で瓶に詰めて、本当に使う6本を小さなかごにまとめる方が理にかなっています。
散らかりを「入れ物」で解決しようとする発想が根本にある
布製のボックスは、形が崩れ、その場で決められなかったものが詰め込まれます。古い充電ケーブル、子どもの昔の絵、いつか片付けるつもりだった書類の束。収納用品への支出が家庭あたり年間で15万円ほどになるという調査もありますが、翌年になっても片付いた実感は前年と同じか、むしろ悪化しているという結果も伝えられています。
これは、1つ目の仕組みの失敗を補うために2つ目の仕組みを入れ、その2つ目を補うために3つ目を入れるという連鎖です。回転式の筆記用具立ては、机の面を30cm四方ほど占領し、区画の大きさが手持ちの道具と噛み合いません。開いた区画を埋めるために、必要のないクリップや画鋲を買うことにもなります。作業に合わせて道具を少数だけ置く「簡素」の考え方なら、小さな器をいくつかと木の盆で足ります。
玄関のポールハンガーは、冬の上着を3着かけた瞬間に床を1足分ほど食い、片側に傾き、取りたい一着が他の2着の下に埋まります。樹脂製の靴箱は、6個か8個積むと2週間ほどで扉が閉まらなくなり、下の方から何かを引き出すと全体が不安定になります。特定の一足が欲しくなるたびに積み直すことになり、仕組みそのものを整理し続けなければいけない収納は、もはや収納ではありません。
買う前に確認したい、日本の家の考え方
日本の家では、日常の道具は本物の材料で作られ、一世代持ち、よく働くからこそ美しいという「民芸」の考え方があります。木の棚や厚手の布製かごは、安い組み立て式の家具より初期費用は高くても、買い直す手間と時間を含めると負担が少なくなることがあります。
引き出しの中には、衣類そのものとその周りの空だけが入っていることがよくあります。物と物の間の意味のある空白を「間(ま)」と呼びます。この空白があるから、一つひとつが見えて、力を入れずに手が届きます。布の仕切りで隙間を埋めるより、まず靴下の枚数そのものを見直す方が先です。
「もったいない」は、安物が半年ごとに壊れ、捨ててまた店に行ってほとんど同じものを買う一連の感覚への心残りを指します。外側に何も描かれず、持ち主と一緒に静かに年を取る「渋い」箱は、子どもの好みが変わっても中身だけを入れ替えて使い続けられます。20年後、その子の下宿の部屋にまだ置いてあってもおかしくないか、という基準で選ぶと、買い替え前提の収納用品は自然と候補から外れます。
散らかりを入れ物で解決しようとする発想は、家の中に居場所を割り当てられないものは持ち続けるべきではなかった、という前提を飛ばしてしまいます。箱に落として蓋を閉めると、持ち続けるかどうかという難しい判断が、来週末の買い物という簡単な用事にすり替わります。収納用品の本当の働きは、持ちすぎることへの許可を出すことだったのかもしれません。
今日からできる見直し
買う前に、次の3つを確認してみてください。
- 20年後も使える材料と作りか
- 家の中に、その物の決まった居場所を割り当てられるか
- 仕組み自体を整理し続けなくても済むか
どれか一つでも「いいえ」なら、その収納用品は散らかりを先送りにするだけかもしれません。木の棚、壁面のフック、小さな器、自分で詰めた瓶など、用途を決めた控えめな入れ物に置き換えると、部屋も気持ちも軽くなります。