仕事の振り方に困っているときの手順
上司から仕事を増やされる一方で、期限や分担の調整がない場合は、抱えている仕事と期限を一覧で示し、「これを追加するなら、どれを後ろに回しますか」と相談します。仕事を増やすなら、その分をどうするかまで決めてほしいと伝えます。全部は間に合わないと先に伝え、何を優先するかを判断してもらうのです。
それでも改善しない場合は、さらに上の役職者や人事へ相談します。どんな負担が生じているか、直属の上司に何を伝え、どう対応されたかを説明し、改善を求めます。上司の管理が悪いのに、なぜ部下がここまで整理しなければならないのかと思うかもしれません。ただ、上司が気づくのを待っている間にも次の依頼は来ます。これまで無理を自分の残業で吸収してきたなら、どこかで引き受け方を変える必要があります。
同僚との受け渡しがずれるとき
資料の受け渡しが遅れて、最後に自分が慌てて作業する。そんなことが続くと、相手との相性を疑いたくなります。ただ、最終的な提出日だけ共有して、途中の受け渡し日を決めていなければ、二人は違う段取りで働いています。相手は期限を守っているつもりでも、こちらは毎回待たされていると感じる。その食い違いが、互いの仕事への姿勢への不満になっていきます。
相性を疑う前に、何を約束した仕事だったかを確かめます。いつ、どこまで仕上げて渡すかを決めていたのに相手が守らなかったなら、その事実について対応を求めればいい。決めていなかったなら、先に決めることがあります。「普通は分かるだろう」と思っている部分を、相手も同じように考えているとは限りません。自分も嫌いだから返事を遅らせたり、説明を省いたりしていないかも確認します。担当範囲と受け渡しの期限を決め、二人で合意できない部分は上司に判断してもらいます。
聞きづらさの背景に情報の属人化がある
質問すると面倒そうな顔をする先輩がいる。忙しそうなので待っていたら、今度は早く確認するように言われる。こうした状況は、聞く側の勇気と教える側の優しさだけで何とかしようとすると、どちらも疲れます。手順書が古い、共有フォルダに資料が山ほどあるがどれが最新版か分からない、過去に決まった条件をその先輩だけが覚えている。これが情報の属人化です。
経験が必要な判断なら相談する意味はあります。ただ、同じ手順を何度も聞いているなら、その答えを共有できる形で残したい。先輩にドキュメントを作ってもらうか、自分が作るので必要な情報を渡してほしいと伝えます。作成すれば、その先輩と話す必要も減ります。「あの人に聞きづらい」の一部は、その人に聞かなくても分かるようにすれば減らせます。
ハラスメントは「相性」にしない
ハラスメントがあるなら、相手の行為そのものを扱う必要があります。これを「上司と相性が悪い」とまとめると、二人の組み合わせの問題に聞こえてしまい、こちらの接し方が悪いのか、もっと上手に受け流せばいいのかという話にすり替わりがちです。誰がいつどんな言葉を使ったのか、何をされ、仕事や生活にどんな影響が出たのか。相談するときに伝えたいのは、その出来事です。
本人に直接言えば済むとは限りません。その後の反応が怖いことや、社内の誰を頼ればいいか分からないこともあります。そういうときは、相手との話し合いに一人で臨むより、先に第三者へ相談します。安全を優先し、日時や言動を残せる範囲で記録し、信頼できる上司や人事、相談窓口へ伝えます。社内で相談することに不安がある場合や対応されない場合は、外部の相談先も頼っていい。相手と仲良くなる努力まで背負う必要はありません。
相談する前に「変えてほしいこと」を整理する
面談で「最近忙しくて」としか言えないと、大変だろうけどよろしく、と返されて何も決まらないまま席に戻ることになります。ここには、仕事を仕上げる能力とは別に、自分が何を抱えていて、このままだと何が終わらなくなるのか、期限を伸ばしてほしいのか担当を分けてほしいのかを整理して伝える技術が必要です。「忙しい」と伝えるのと、何を変えてほしいか伝えるのとでは、その後の展開が変わります。
困っている事実と変えてほしいことを短くメモに書きます。どう伝えるか分からなければ、そのメモを持って相談するところから始めればいい。整理して伝えても相手が対応を拒むことはあります。交渉が通らなかった結果だけで自分の能力を測る必要はありません。無理な仕事量を押し付けてくるなら、その対応を見て別の相談先へ進むか、この職場に見切りをつけるかを考えます。
改善が進まないなら、離れる準備も具体的に進める
会社がひどいことは十分に分かった。では、そこを離れる準備は進んでいるでしょうか。求人を調べるのは面倒ですし、経歴を書くのも、面接の予定を調整するのも手間がかかります。新しい職場の仕事を一から覚える負担もあります。ただ、今の会社に残る場合にどんな負担が続くのかも、同じように計算に入れたい。家庭や健康、勤務地、収入の事情で簡単には動けないこともありますが、手をつけられるのに後回しにしていることはないか確認します。
経歴を整理していないなら整理する。勤務地を変えられないなら、その範囲でどんな仕事があるかを調べる。必要な経験が足りないなら、どう補うかを考える。転職の手間を数える一方で、今の職場で消耗する時間を仕方のないものとして計算から外していないか。不誠実な会社が悪いのは間違いありませんが、不誠実な会社で耐えなければならない理由が、自分の準備不足であってはなりません。
仕事がつらいのは、人間関係という言葉で変えるべき問題を放置しているからかもしれません。相手の何が悪いかはもう十分に分かった。次は、自分が何をするかです。改善を求める、記録を残す、第三者に相談する、あるいは離れる準備を始める。その一歩を具体的に決めることが、つらさを「人間関係」のままにしない方法です。