長く待ち望んだ計画が、自分の力ではどうにもならない事情で止まってしまう。仕事でも暮らしでも、そうした場面は突然やってきます。そんなとき、まず必要なのは「自分のせいだ」と決めつけることではなく、自分で変えられることと変えられないことを分ける作業です。韓国で2007年に発表されたユニバーサル・スタジオの建設計画も、期待の大きさと現実のずれを考える材料になります。
計画が止まったとき、最初に切り分けたいこと
大きな計画が頓挫すると、つい「もっと早く動いていれば」「自分の判断が甘かった」と考えがちです。しかし、計画には自分でコントロールできる要素と、景気や事故、相手企業の方針など、どうにもならない要素が混ざっています。まずは紙に書き出して、どちらに当たるかを仕分けると、必要のない自己否定を減らせます。
韓国ユニバーサル計画の場合も、担当者個人の努力だけで乗り越えられない変化が何度も重なりました。その流れを追うと、期待を手放すタイミングの見極め方が見えてきます。
韓国ユニバーサル計画がたどった7年
発表から候補地決定まで
2007年5月、韓国でユニバーサル・スタジオのテーマパークを建設する計画が発表されました。詳細は後日とされながらも、複数の自治体が誘致に名乗りを上げ、同年11月には京畿道華城市が建設予定地に決まりました。国際空港に近く、ソウルからのアクセスも良い点が評価されたとされています。
この段階では、韓国国内の期待は非常に高く、年間の来場者数や雇用効果など、明るい数字が並びました。計画が動き出すと、自分でも気持ちが前のめりになります。ただ、この時点で「決まった」と思える材料と、まだ確定していない材料を分けておくことが、後々の落ち込みを小さくします。
リーマン・ショックと延期
ところが2008年、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに、世界規模の金融危機が起きました。韓国でも資金繰りが厳しくなり、計画はいったん休止状態になります。2010年には開業予定を2014年に延期する発表が出ました。
このように、計画の外側で起きた経済の変化は、個人の工夫ではどうにもできません。延期や縮小は「失敗」ではなく、状況に合わせた修正と捉えるほうが、次の判断に進みやすくなります。
政権の後押しと本社の温度差
2012年には新政権がユニバーサル計画の実現を公約に掲げ、韓国国内では再び機運が高まりました。大手企業を含む複数の企業が参加する形も報じられ、資金面でも前進したように見えました。
しかし、ユニバーサル本社側は同じ時期、より大きな市場として中国・北京での展開に注目していました。韓国国内の熱量と、本社の優先順位にはずれがあったのです。相手がある計画では、こちらの熱意だけでは埋まらない温度差があります。その差を早めに確認しておくことが、期待のしすぎを防ぎます。
事故と資金難、そして撤退
2014年には韓国で旅客船セウォル号の沈没事故が起き、政府の対応もそちらに集中しました。資金援助は滞り、参加企業の一部も事業を見直しました。最終的にユニバーサル側は韓国での建設を現実的ではないと判断し、計画は消えることになります。
ここでも、事故という予測できない出来事と、資金調達の難しさが重なりました。誰か一人の努力不足というより、複数の外部要因が同時に働いた結果です。