同じ家で育った兄弟の性格が違う理由——親ガチャでも育て方でもない「個性」の正体
行動遺伝学

同じ家で育った兄弟の性格が違う理由——親ガチャでも育て方でもない「個性」の正体

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たとえば、同じ家で育った兄と弟がいるとする。夕食が終わると兄はすぐに外へ飛び出し、弟は自分の部屋で静かに本を開く。同じ親から生まれ、同じ食卓を囲んで育ったのに、性格はまるで違う。親はときどき考える。同じように育てたはずなのに、どこでこんなに違ってしまったのだろう、と。

この問いに対して、「育て方が悪かったから」でも「親ガチャで決まったから」でもない、行動遺伝学の記録が示す別の答えがある。

同じ家で育っても、性格は似ない

生まれてすぐに別れ、別々の家で育った一卵性双生児を調べた研究がある。大人になって初めて会った二人は、顔も背の高さもそっくりだった。アメリカでは1979年からそうした双子を集め、1週間かけて心と体を調べた。性格を測る14の物差しのうち12で、同じ家で育ったことの影響はほとんど見つからなかった。一緒に育った一卵性双生児と、別々に育った一卵性双生児は、ほとんど同じくらい性格が似ていたのである。

日本でも15歳から27歳の双子251組で性格の5つの軸が調べられ、欧米とほぼ同じ結果が出ている。血のつながらない兄弟を比べた養子研究でも、性格が似ている度合いは0.04、育ての親と養子の間でも0.05で、見知らぬ二人とほとんど変わらなかった。同じ家で育つことの影響は、思われているよりずっと小さい。

50年にわたる2748本の双子研究をまとめると、調べられた性質の平均で遺伝で説明できる割合は49%、性格ではおよそ40%だった。ただし、これはたくさんの人を並べたときのばらつきを分けた数字で、あなたという一人を遺伝4割・環境6割に切り分けられるわけではない。

親の育て方は、子どもの性格にどこまで響くのか

大きな声で叱る親の子どもほど、乱暴な振る舞いやルールを破ることが多い。1435の研究をまとめても、その結びつきははっきり出る。だが、矢印は逆にも引ける。元々手のかかる子どもが、親を厳しくさせているのかもしれない。

生まれてすぐ養子に出された子どもたちの家を調べた研究では、生みの母親が過去のルールを破る振る舞いについて答えた記録から、子どもを「荒れやすさを受け継いでいるかもしれない38人」と「そうでない50人」に分けた。育ての親はこの子たちと遺伝子を全く分け合っていない。それでも、受け継いでいる組の子どもの方が、7歳から12歳まで一貫して厳しく叱られていた。子どもが持って生まれたものが、親の振る舞いを引き出していたのである。

双子を育てる親を調べた32の研究では、親の振る舞いの違いのうち23%が子どもの遺伝で説明され、34%は同じ親が兄弟で違う振る舞いをしていたためだった。同じ親でも、兄と弟に同じようには接していない。兄弟のいる人なら、心当たりがあるかもしれない。

遺伝でも家庭でもない、残りの大きな部分

この分野では「三つの法則」と呼ばれる整理がある。人の行動の性質にはどれも遺伝の影響がある。同じ家で育った影響は遺伝子の影響より小さい。そして、違いの大きな部分は遺伝子でも家でも説明できない。ただし、この法則を名付けた本人も、家の環境は大事でないと考えるのは間違いだと釘を刺している。

1962年に全米の奨学金試験を受けた高校生から集められた双子850組を調べた研究では、環境は性格のばらつきの少なくとも半分を占めるが、心理学者たちが大切だと考えてきた要因ではほとんど説明できず、まるでランダムに働いているように見えるという結果が出た。遺伝子が全く同じネズミを遊び場の多い囲いで飼うと、よく歩き回るネズミとあまり動かないネズミの差が3か月で広がった。同じ遺伝子、同じ水槽で育った魚でも、よく泳ぐ魚とじっとしている魚に分かれた。なお、この魚の研究は後に体の大きさのデータの取り違いが見つかって訂正されたが、調べ直しても主な結果は変わっていない。個性は、育つこと自体の避けられない結果なのかもしれない。

それでも環境が決定的に効くとき

ルーマニアの国の施設で生まれてすぐから暮らした子どもたちが、1990年代の初めにイギリスの家庭へ引き取られていった。施設にいた期間が6か月より短かった子たちは、施設を知らないイギリスの養子とほとんど変わらなかった。一方、6か月を超えた子たちには、誰にでも慣れ慣れしく近づいたり、落ち着いていられなかったりする問題が大人になっても多く残った。それでも、6歳の頃に多かった知能の遅れは、大人になる頃には他の子と変わらなくなっていた。最も長く施設にいた群でも、およそ5人に1人はどの年齢でも問題が見られなかった。

これは極端に乏しい環境と家庭を比べた結果で、普通の家庭同士の育て方の違いとは別の話だ。普通に足りる親であれば、子どもは持って生まれたものに沿ってそれぞれ違う人に育つという見方もあるが、「普通に足りる」では足りないという反論もある。より良い子育てはどの子の育ちもより良くする、と。

性格は親ガチャでも育て方でも決めきれない。遺伝の影響は確かにあるが、同じ家で育ったことの影響は思ったより小さく、むしろ一人ひとりの経験の積み重ねが大きい。親のせいでも、自分のせいでもない部分があることを知ると、兄弟の違いを少し違った目で見られるかもしれない。

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