洗面所が毎朝混み合うのは、家族の人数や部屋の広さだけが理由ではありません。鏡の裏、洗面台の縁、引き出し、下の扉。そのあちこちに、今の暮らしでは使っていない物が入り込み、毎日使う物の居場所を押しのけています。下の扉を開けるたびに何かが倒れてくるのは、物が多すぎるからではなく、置かなくていい物まで同じ場所に詰め込んでいるからです。
ここでは、洗面所で特によく場所を取っている8つの物を、置き場所ごとに見直します。捨てる作業を増やすのではなく、毎朝の動線から外すことだけを考えます。
鏡の裏:試供品と使いかけ化粧品
鏡の裏の棚は、目の高さにある一番使いやすい収納です。そこに、化粧品売り場でもらった試供品や、旅館から持ち帰った小さな歯ブラシとシャンプーの小瓶が並んでいませんか。1つずつは指先ほどの大きさでも、3年分集まると1段が丸ごと埋まります。旅行は年に1〜2回。そして旅行のときは、いつもの化粧水やシャンプーを小さな容器に詰め替えて持っていくことが多いものです。試供品はその間も棚に残り続けます。
試供品は使うためにもらった物です。取っておくためにもらった物ではありません。今週のうちに1つずつ使ってみて、1週間で使わなかった物は手放すと、鏡の裏の目の高さが毎朝使う物に戻ります。
同じ棚の奥には、色が合わなくなったファンデーションや、一度塗ってしっくりこなかった口紅、半分残った乳液がありませんか。高かったので手放せない気持ちは分かります。ただ、化粧品には使用期限が書かれていない物が多く、期限表示がないのは未開封で3年は品質が保たれるよう作られているという目安です。開封後は空気や指、筆、洗面所の湯気に触れて劣化が進みます。開けた時期を思い出せない物は、肌の役に立っているとは言えません。今使っている物だけを手前に残し、開封時期が分からない物から順に手放すのが現実的です。
洗面台の縁:並べる物を毎日全員が使う物だけに
洗面台の縁に、歯ブラシのコップ、歯磨き粉のチューブ、洗顔料、ハンドソープ、化粧水が並んでいると、そこはもう拭けません。1本ずつ持ち上げて拭くのは面倒なので、つい拭くのをやめてしまい、ボトルの底にぬめりの輪ができます。歯磨き粉が3本あることもあります。家族それぞれの好みの1本に、試しに買った1本が加わった結果です。
縁の上に残すのは、毎日家族全員が使う物だけにします。ハンドソープとコップが1つ。歯磨き粉は家族で1本にまとめられることが多いので、好みがはっきり違う場合だけそれぞれのコップに入れます。化粧水や洗顔料は、使う人の棚の段にその人の分としてまとめます。何もない縁は、歯を磨きながら片手でさっと拭けます。
引き出し:古い歯ブラシと美容器具の置き場所
洗面台の引き出しに、輪ゴムでまとめた古い歯ブラシの束がありませんか。掃除に使えるからと取っておいた物です。歯ブラシは月に1回の交換がすすめられており、家族3人なら1年で36本が古くなります。掃除で一度に使うのは1〜2本なのに、古くなる本数の方がずっと多いため、束は太くなる一方です。気づくと引き出しの手前の半分が使わない歯ブラシで埋まり、毎日使う爪切りや綿棒が奥に押し込まれます。
掃除用は2本と決め、古くなった1本を掃除用に回したら、それまでの掃除用の1本を手放す入れ替えにすると、束は増えません。
同じ引き出しの奥や棚の上の箱には、顔に当てる美容器具や、紙を巻くコテ、2代目のドライヤーなどが眠っていることもあります。最初の1か月だけ使って続かなかったのは、意思の弱さではなく、準備と片付けの手間が毎日使うには少し多すぎたからです。美容器具は本体より、充電台やコード、交換部品、元の箱の方が場所を取ります。修理の相談に必要なのは多くの場合、箱ではなく保証書と購入日が分かるものなので、それだけを封筒に入れて箱は手放せます。洗面所は湿気が多い場所なので、電気器具と紙の箱には向いていません。毎日使うドライヤーは洗面所に置いてかまいませんが、それ以外は月に1回でも使っているかを基準にし、使っていない物は乾いた部屋の棚へ移します。そこで1年手に取らなければ、それが答えです。
空ボトルと下の扉の買い置き
洗面台の横に、シャンプーやハンドソープ、ボディソープの空ボトルが並んでいませんか。詰め替え用を入れるために取ってある物です。以前使っていた製品と今使っている製品のボトルが混ざり、買う製品が変わるたびに1本ずつ増えていきます。同じ製品に戻ることはほとんどありません。詰め替えのとき、残った中身の上に継ぎ足すのはすすめられていません。ボトルの内側や口の周りで雑菌が増えることがあるからです。中身を使い切ってから容器の表示に従って洗い、よく乾かして詰めるのが基本です。必要なボトルは、使っている製品ごとに1本だけ。空で待っているボトルは1本もいりません。
空ボトルが並ぶ理由は、そのすぐ下の扉の中にあります。詰め替え用の袋がたくさん順番を待っているからです。洗面台の下は排水管が通っているため、見た目よりずっと狭く、奥の半分はほとんど使えません。そこにシャンプーやコンディショナー、洗濯洗剤、歯磨き粉、ボディソープの買い置きが斜めに立てかけてあると、1つ取ろうとするたびに3つが倒れてきます。安いときに買っておけば得だという判断や、切らしたら困るという不安は間違いではありません。ただ、シャンプーの詰め替えが1袋で家族1か月分だとすると、3袋あれば3か月先の分まで家にあることになります。3か月先のシャンプーのために、今日の洗面台の下が1段埋まっているのです。安く買った差額は、使い切るまで毎日かかる場所代で払っています。
災害への備えと買い置きは分けて考えます。経済産業省はトイレットペーパーを1か月分ほど家庭で備蓄するよう呼びかけています。備蓄は箱を1つ決めてまとめ、日付を書き、古いものから普段の暮らしで使って、使った分だけ買い足すものです。一方、買い置きは特売のたびに空いている隙間へ入り、決まった量も場所もありません。洗面台の下のルールは、今使っている1本と次の1袋だけにします。最後の1袋を開けた日が、次を買う日です。こうすると扉を開けても何も倒れてこず、上に並んでいた空ボトルも自然に1本ずつに戻ります。
タオル:一番いい物を一番使わない逆転
洗面所の棚に、毎日使っている色褪せて硬くなったタオルと、その上の段に袋に入ったままの新しいタオルが積まれていませんか。お店の名前が入った粗品や、お中元・お歳暮の箱から出てきたタオル、何かの記念品。新しい物はなんとなく惜しくて使えず、古いタオルを使い続けるうちに、新しいタオルは棚で待ち続けます。何年も袋の中にいたタオルは、使われないまま少しずつ古くなっていきます。一番いいタオルを一番使わない、逆さの状態です。
使っている古いタオルは水を吸わなくなり、新しいタオルは水をよく吸います。毎朝硬いタオルで顔を拭く理由はどこにもありません。今日、古いタオルを新しいタオルに入れ替えてみてください。古い方は切って台所や掃除の布にすれば、雑巾として最後にもう一度役に立ちます。
洗面所の収納を見直すとき、最初から全部を片付けようとすると負担が大きくなります。鏡の裏の一段、縁の上の3本、下の扉の買い置き。どこか一つから、置かなくていい物を外してみてください。毎朝の数分が、物をどかす時間から自分の支度の時間に変わります。