芥川賞作家であり芸人でもある又吉直樹氏が、仕事や人間関係で追い込まれたときに陥りがちな「人のせい、環境のせいにする思考」について、自身の経験を交えて語っている。その言葉には、責任を引き受けることの難しさと、それに向き合うからこそ見えてくる景色がある。
瞬間の安らぎと、残された課題
「やっぱ人のせいにばっかりしてると、その瞬間心が少し楽になるかもしれんけど、課題はそのまんま残るから」
又吉直樹
他者や環境のせいにすることは、その瞬間、心の重荷を下ろすような安堵を与える。しかし、その思考がもたらすのは一時的な感情の緩和だけだ。解決すべき課題は、誰のせいにしても消えることはなく、その場に留まり続ける。仕事であれ人間関係であれ、この構造は変わらない。
追い込まれるほど加速する「外部への矢印」
又吉氏自身、「仕事が追い込まれると、人のせいだったり環境のせいにしやすくなる」と振り返る。追い詰められれば追い詰められるほど、思考の矢印は外側へ向き、周囲のせいにするサイクルに陥っていく。その時間を「すごく無駄」と表現する氏の言葉には、自戒の念が滲んでいる。
うまくいく人が持つ「引き受ける力」
「仕事楽しくやってんなとか、うまくやってんなっていう人は、それがすっごい上手いすね。みんな自分のこととして引き受けて解決しようと前向きにやってるから」
又吉直樹
物事をうまく進め、仕事を楽しんでいるように見える人々の共通項は、起きている出来事を「自分のこととして引き受け」、解決に向けて前向きに動いている点にある。責任を外部化せず、内部化する。その姿勢こそが、課題を前に進める原動力になっている。
完璧でなくていい、気づきを重ねること
又吉氏は「なかなか僕もうじうじ考えてしまったりする時」があるとも漏らす。常に責任を引き受け続けることは容易ではない。しかし、人のせいにしたくなる瞬間を自覚し、それでもなお「自分の課題として向き合う」選択を繰り返すこと。その積み重ねの先に、仕事も人間関係も、自分の手で切り開いていく道があるのかもしれない。