台所が狭い、作業台が足りないと感じるとき、収納用品を足す前に確認したいことがある。それは、置かなくていい道具が調理台や引き出しの面積を取っていないか、という点だ。海外の台所では一般的でも、日本の台所には元々なかった道具がいくつかある。それらは便利そうに見えても、置いた分だけ台所を狭くする。ここでは、特に場所を取りやすい道具の傾向と、手放すか置き場所を変えるための判断材料を整理する。
まず調理台の上を数える
調理台の上に常設しているものを一つずつ確認すると、作業スペースが減っている理由が見えやすい。たとえば、10本差しの包丁スタンドに日常的に使う包丁が4本だけという状態は珍しくない。使っていない包丁まで台の上に待たせていると、食材を置くはずの場所が常にふさがる。包丁は壁のマグネットバーや戸棚の側面に平らに付ける包丁差しへ移し、使う本数を3本ほどに絞ると、調理台の上から物が消える。
同じように、調理器具を立てておく入れ物も場所を取る。毎日使うのが同じ3本なら、菜箸と米用のしゃもじ程度に絞り、引き出しの中に平らに収める方法がある。菜箸は混ぜる、返す、盛り付ける、取り分けるをまとめてこなせる。無理にすべてを手放す必要はないが、調理台の上に置くものは「毎日使うかどうか」で判断すると片付きやすい。
調理台の上で特に面積を取りやすいのが小型家電の列だ。ワッフル型やホットサンド機、電気焼き器など、一つひとつは小さくても合計すると作業台の大部分を覆う。どれもフライパンで代用できる作業が多い。毎日使う炊飯器や電気ケトルまでしまう必要はないが、年に数回しか使わない家電は、別の場所へ移すか手放すかを検討したい。
引き出し一段分を開けてみる
次に、流しの横やコンロ下の引き出しを一段だけ開けてみる。保存容器の引き出しは、蓋と本体が揃わない容器が増えがちだ。製造元ごとに蓋の形が少しずつ違うため、複数の会社の容器を買い足すほど組み合わせが合わなくなる。同じ形の耐熱ガラス容器を少数に絞り、蓋の寸法が共通のものを選ぶと、引き出しの中が整う。四角く平らに重なる形なら、場所も取りにくい。
単機能のキッチンツールも引き出しを圧迫する。バナナの形をした道具、アボカド用、卵の黄身分け、さくらんぼの種抜きなど、一つひとつは便利に見えても、包丁と小さなおろし金で済む作業が多い。いい包丁が1本あれば、こうした道具の多くは自然に不要になる。引き出しの奥に眠っているものは、使う頻度を思い出せない時点で見直しの候補だ。
大型のスライサーや野菜水切り器も場所を取りやすい。部品が多いスライサーは洗う時間が切る時間より長くなりがちで、結局しまい込まれる。薄型で刃が本体に組み込まれたものに替えると、戸棚一段分が空く。野菜の水切りは、ざるに移して軽く押さえるだけでも十分なことが多い。ざるは他のボウルに重なり、食卓で盛り皿にもなる。
収納の形そのものを見直す
道具だけでなく、収納の仕方にも場所を取る原因がある。焦げつかない加工のフライパンは、重ねると傷が付くため大きさ違いで別々の段に置くことになり、戸棚を2段分使う。鉄やステンレスのフライパンなら2〜3枚を重ねられ、棚は1段で済む。重ねた高さは湯のみほどで、空いた場所は別の用途に回せる。
畳めることを理由に買った樹脂のざるも、実際には半分ほどの高さにしかならず、縁の枠が硬いままなので棚を1段使う。しかも元の金属ざるを手放せず、二重持ちになりがちだ。大きさ違いの金属ざるを3つ重ねれば、1つ分の高さに収まる。一番大きいものは盛り皿、中くらいは水切り、小さいものは薬味置きに使える。
台所の面積は、買い足すより先に、置かなくていいものを減らすことで戻る。すべてを一度に手放す必要はない。まず調理台の上と引き出し一段だけを点検し、使っていないもの、重複しているものを一つ外してみる。それだけで作業スペースの感覚は変わる。合わない場合は無理に捨てず、別の場所へ移すだけでも十分だ。