「彼女いない歴=年齢」は努力不足なのか? 数字が示す“独身の歴史”の別の見方
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「彼女いない歴=年齢」は努力不足なのか? 数字が示す“独身の歴史”の別の見方

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「恋人がいないのは、自分が努力していないからだ」——そう思わされる場面は少なくありません。飲み会で冗談の的にされ、結婚式の招待状が続けて届き、気づけば「自分だけが取り残されている」ような感覚になる。

けれど、公的機関の調査として挙げられている数字を並べていくと、話は少し違う形で見えてきます。恋人がいない人の割合は、40年前とほとんど変わっていない。大きく変わったのは、結婚する人の割合のほうです。つまり「努力不足」という説明は、少なくとも半分は現実を説明できていません。

恋人がいない人は、昔も今も同じくらいいた

国の研究機関が数年ごとに実施している調査では、18歳から34歳の未婚男性のうち、交際経験がない人は約4割とされています。内閣府の別の調査でも、20歳から39歳の独身男性の37.6%が「これまでの恋人は0人」と答えています。独身男性が10人いれば4人。決して珍しい立場ではありません。

一方で、同じ年頃の未婚男性のうち恋人がいる人の割合は、1982年が21.9%、2021年が21.1%。ほぼ横ばいです。恋愛している人自体は、昔も今も同じくらいの割合で存在していることになります。

ただし注意点があります。調査ごとに年齢の区切り方や「恋人」の定義は異なるため、数字をそのまま足したり引いたりはできません。それでも「恋人がいる人」が急に減ったわけではない、という傾向は複数の数字から見えてきます。

減ったのは「モテる人」ではなく「結婚する人」

30〜34歳の男性で比べてみると

  • 恋人がいる独身:2.5%(1987年)→ 7.8%(2015年)
  • 結婚している人:68.8% → 50.8%
  • 結婚もしておらず、付き合っている人もいない人:18.0% → 32.8%

恋人がいる独身は増え、結婚している人は減り、誰とも付き合っていない独身が増えている。50歳時点で一度も結婚したことがない男性の割合も、1970年は1.7%、2020年は28.3%と大きく変わっています。

ここから読み取れるのは、恋愛が下手になった人が増えたという話ではなく、恋愛から結婚へ進む道が細くなったという話です。

昔は「付き合わなくても結婚できた」

その背景としてよく挙げられるのが、お見合いと職場の紹介という二つの経路の縮小です。2005年に発表された研究として紹介されている推計では、1970年代からの30年間で結婚が減った分のうち、約5割がお見合いの減少、4割近くが職場での出会いの減少で説明できるとされています。学校や友人、街中での出会いの確率は、この40年間ほとんど変わっていません。

お見合い結婚の件数は、1960年代には未婚女性1000人あたり年に30件ありましたが、2000年代には3件まで減りました。また、既婚男性の6〜8%が「これまでの恋人は0人」と答えています。恋愛経験がないまま結婚するという道は、かつては現実に存在していたわけです。

仮の例として、上司が食事の席を設け、店も会計も段取りも引き受け、本人は2回電話をかけただけで数か月後に結婚が決まる——そういう流れが珍しくなかった時代、恋愛経験の有無は結婚の必須条件ではありませんでした。恋人がいないことと、家庭を持てないことは、同じ問題ではなかったのです。

「世話焼き」が消えたあとに残ったもの

職場や仕事で知り合った夫婦の割合は、2015年の調査で28.2%、2018年から2021年に結婚した夫婦では21.4%に減っています。この期間には感染症の影響で人と会う機会が減った時期も含まれます。

上司が部下の私生活に踏み込むことがハラスメントとして扱われるようになったのは、良い変化です。ただ、それと引き換えに「出会いの装置」も一緒に失われました。誰かが席を用意してくれる時代から、自分で動く時代へ。負担は個人に移りました。

婚活の場では、その負担の偏りが条件として可視化されることがあります。ある日の婚活パーティーの募集一覧では、男性に年収条件や写真審査が課され、料金も男性のほうが高い企画が並んでいたと紹介されていました。マッチングアプリでも、男性は2通目から有料になる仕組みが一般的です。初めて会う日の費用について、婚活サイト会員897人を対象とした調査では、6割近くが「男性が全額または多めに負担すべき」と答えています。これは全国平均ではなく、特定のサービスの会員に限った数字です。

こうした条件がすべての婚活に当てはまるわけではありません。ただ、自分で動くしかない時代に、費用や条件の負担が一方に寄る場面があることは、知っておいて損はありません。

では、どう考えればいいのか

数字が示しているのは、恋人がいないことが個人の欠陥だという説明ではない、ということです。同時に、構造のせいだから何もしなくていい、という話でもありません。判断材料として使えるのは、次のような点です。

  • 恋人がいない立場は、統計の上では珍しくない。自分だけだという思い込みは、実態とずれている
  • かつては、恋愛を経ずに結婚へ進む経路が制度的に用意されていた
  • その経路が細くなった分、自分で動く必要が生まれている

試せる行動としては、友人や同僚に「紹介してほしい」と一度伝えてみる、自治体や民間の婚活支援を調べてみる、趣味や関心のある集まりに定期的に参加してみる、といった方法があります。効果を保証できるものではありませんが、経路を一つ増やすという意味はあります。

一方で、こうした動きが合わない人もいます。婚活の場が強い苦痛になる人、そもそも結婚を望んでいない人、経済的な事情で動きにくい人、今は仕事や健康のほうが優先という人。無理に同じ行動を取る必要はありません。つらさが続く場合には、公的な相談窓口やカウンセリングなど、専門の支援を頼る選択もあります。

まとめ

「彼女いない歴=年齢」という言葉は、個人の努力を採点するように使われることがあります。けれど数字を並べてみると、そこに映るのは時代の変化のほうです。自分の何が足りないのかを探す前に、何が変わったのかを確かめておく。それだけで、抱えている恥の重さは少し変わります。

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