若いうちは投資と経験、どちらを優先すべきか
お金と生き方

若いうちは投資と経験、どちらを優先すべきか

読了目安:約5分
文字サイズ

毎月3万円を投資に回すか、それとも行きたい場所や会いたい人との時間に使うか。若い世代のお金の使い方には「投資を始めなさい」と「経験に使え」という正反対の助言が並び、どちらを選んでも取り残されるような気持ちになることがあります。

結論を先に言えば、投資そのものを後悔する声は少なく、むしろ「節約のしすぎ」を後悔する声が目立ちます。この記事では、ある70代の投資家の振り返りと、SNSで語られる先人たちの声を手がかりに、無理なく両立する配分を考えます。

70代の投資家が後悔したのは「投資」ではなく「我慢」だった

株主優待だけで生活することで知られる70代の投資家が、がんの診断を受けた後に「もっと現金を使っておけばよかった」と振り返ったという話があります。ただし、その言葉をよく見ると、投資をやめておけばよかったとは言っていません。後悔の中心は、数百円や数千円の出費を我慢し続けたことでした。

この投資家は、テレビで「株主優待だけで暮らす人」として取り上げられてから、その姿を守るために現金をほとんど使わない生活を続けていたといいます。好きな店にも行かず、観光もせず、仕事のとき以外は現金を使わない。そうした小さな我慢が積み重なり、病気をきっかけに「人生には限りがある」と気づいたとき、使わなかったお金がそのまま残ったのだそうです。

ここで重要なのは、この人が後悔した金額が大きな買い物ではなく、日々の数百円、数千円だった点です。投資額を減らすべきだったという話ではなく、生活の彩りを削ってまで節約する必要はなかったという話です。

「若いうちに経験に使え」と言われる理由

SNSでは、年齢を重ねた人から「若いうちに遊べ」「行きたい場所には一人で行け」という助言が繰り返し投稿されています。その理由は、単に「経験が人生を豊かにする」という精神論だけではなく、体力や関心の変化にあります。

たとえば、20代の頃は夜更かししてゲームをしたり、知らない街を歩いたりすることに強い興味を持てても、30代、40代になると同じことへの関心や体力が落ちてくることがあります。これはすべての人に同じように起きるわけではありませんが、年齢とともに「あのとき行っておけばよかった」と思う場面は増えやすいようです。

また、若い頃に触れた本や映画、音楽、旅先での出来事が、その後の考え方や選択を支えることがある、という声もあります。同じ1万円でも、感受性が柔らかい時期の経験は、後から振り返ると「消費」ではなく「投資」に近い意味を持っていたと感じる人が少なくありません。

ただし、これは「20代でなければ意味がない」という話ではありません。40代でも50代でも、初めての経験はその人なりの影響を与えます。若いうちにしかできないことに焦点を当てつつ、年齢を理由に新しいことを諦める必要はないのです。

投資を続けながら後悔しないための現実的な配分

投資をしている20代は3割近く、30代では2人に1人とも言われ、関心の高さがうかがえます。投資については、長期的な分散投資を続けてきた人の多くが「やってよかった」と感じているという声があります。インデックス投資のように、S&P500やオールカントリー型の指数に毎月一定額を積み立てる方法は、値動きを毎日確認せずに続けやすい仕組みです。

とはいえ、将来の値上がりは保証されていません。過去の傾向として世界経済が成長してきたとしても、元本割れの可能性は残ります。そのため、投資に回す金額は、生活費や急な出費に影響しない範囲に抑えることが前提になります。

具体的には、毎月2〜3万円の自動積立を設定し、そのお金は「ないもの」として扱う方法があります。投資していること自体を忘れるくらいの金額にしておくと、日々の出費を削ってまで投資額を増やそうとする必要がなくなります。

一方で、経験に使うお金もあらかじめ決めておくと、罪悪感なく使えます。たとえば、毎月5,000円から1万円を「経験費」として分けておき、行きたい場所や会いたい人との時間に使う。この金額は収入によって変えてかまいません。大切なのは、投資と経験のどちらかを全否定しないことです。

もし収入が不安定な時期なら、まず生活費の確保を優先し、投資は少額から始めるのが現実的です。借金の返済が重い場合も、無理に投資を増やすより返済を優先したほうが安心できることがあります。

小さな我慢を減らすことが、結果的に長く続ける力になる

節約や投資は、続けること自体に価値があります。しかし、「100円高いからやめておく」「行きたいけど我慢する」という小さな制限を積み重ねると、ある日突然、何のために我慢しているのか分からなくなることがあります。

先の投資家が後悔したのも、投資や資産形成そのものではなく、自分の楽しみに許可を出せなかった期間でした。もし同じように、毎日の小さな出費を削ってまで投資に回しているなら、一度その金額が本当に必要なのかを見直してみてもいいかもしれません。

投資は自動化し、経験には少しずつお金を使う。この二つを分けて考えると、「若いうちは投資」「若いうちは経験」という二択から抜け出しやすくなります。完璧な配分は人によって違いますが、どちらかに極端に寄りすぎないことが、後悔を減らす現実的な道ではないでしょうか。

シェアする

気になる記事から、別の視点も見つけてみませんか。

お金を使うたびに罪悪感がわく理由。残高より「支払う瞬間の気持ち」を変える朝と昼の習慣
お金とメンタル2026年10月20日

お金を使うたびに罪悪感がわく理由。残高より「支払う瞬間の気持ち」を変える朝と昼の習慣

支払いのたびに胸がざわつく。通帳を開くのがこわい。そんな感覚があるとき、足りないのは金額の管理だけではないのかもしれません。ここで紹介するのは、1円も使わずに「お金を受け取る器」をゆるめる、朝と昼の小さな習慣です。 ただし、先に断っておきます。これをやれば金運が上がる、と保証する話ではありません。不安...

記事を読む
お金に困らない人が手放している11の習慣──「増やす」より「しない」を選ぶ暮らし
お金の習慣2026年10月20日

お金に困らない人が手放している11の習慣──「増やす」より「しない」を選ぶ暮らし

給料日からまだ半月なのに、財布の中身が心もとない。特別な贅沢をした記憶はないのに、口座の残高だけが静かに減っている。そんな夜、レシートを並べてみると、どれも「必要だったか」と聞かれると答えに詰まるものばかりだった。一方で、同じような収入でも、いつも心に余裕のある人がいる。その人たちは特別な節約術や投...

記事を読む
60代から幸せを感じる人の5つの習慣——他人と比べず、今日を味わう生き方
60代の生き方2026年10月19日

60代から幸せを感じる人の5つの習慣——他人と比べず、今日を味わう生き方

60代になると、同窓会や親戚の集まりで「あの人は孫がいる」「あの人は家を建てた」という話を聞く機会が増えます。そのたびに自分の人生と照らして、何か足りない気持ちになる人もいるでしょう。でも、同じ60代でも、日々を穏やかに過ごしている人にはいくつか共通した考え方があります。特別な財産や運ではなく、身近な場...

記事を読む
「また失敗した」と自分を責め続けてしまうあなたへ。心を今に戻す仏教の考え方
メンタルケア2026年10月19日

「また失敗した」と自分を責め続けてしまうあなたへ。心を今に戻す仏教の考え方

仕事でのちょっとしたミスや、誰かに言われた何気ない一言。時間が経っても頭から離れず、何度もその場面を思い出しては「どうしてあんなことをしたのだろう」と自分を責めてしまうことはありませんか。 考えれば考えるほど後悔が深まり、今の時間まで奪われてしまう。そんな心のループから抜け出すためのヒントを、仏教の...

記事を読む

気になるテーマを、次も。

フォローしたテーマの新着記事をホームに表示します。登録は不要です。