2019年、東京大学の入学式で上野千鶴子氏が贈った祝辞は、努力の成果を自分だけのものとせず、周囲の環境や他者への感謝と責任を説いています。ここではその核心部分を原文のまま紹介し、現代語訳とともに整理します。
「頑張ったら報われる」と思えること自体が環境のおかげ
頑張ったら報われるとあなた方が思えることそのこと自体があなた方の努力の成果ではなく環境のおかげだったことを忘れないようにしてください。
上野千鶴子(2019年東京大学入学式祝辞)
現代語訳
「努力すれば報われる」と信じられること自体が、これまであなたを支え、励まし、評価してくれた周囲の環境によるものだという意味です。
解説
上野氏は、成功体験の裏には必ず他者の支援があることを指摘し、その事実を忘れないよう呼びかけています。
恵まれた力を、恵まれない人々を助けるために使う
あなたたちの頑張りをどうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力と恵まれない人々を貶しめるためではなく、そういう人々を助けるために使ってください。
上野千鶴子(2019年東京大学入学式祝辞)
現代語訳
自分の努力や才能を自己の勝利のみに費やすのではなく、社会的弱者を支える方向へ向けてほしいという願いです。
解説
世の中には努力しても報われない人、努力すらできない人、過度な努力で心身を壊す人が存在することを前提に、優位性を共有の資源として捉え直しています。
弱さを認め、支え合って生きる
そして強がらず自分の弱さを認め支え合って生きてください。
上野千鶴子(2019年東京大学入学式祝辞)
現代語訳
自分が完璧でないことを素直に受け入れ、互いに助け合う関係を築くことの大切さを説いています。
解説
強さを装うのではなく、脆さを共有することで真の連帯が生まれるとのメッセージです。
上野氏の言葉は、個人の成功を社会全体の文脈に置き直し、謙虚さと思いやりを持って生きる指針を示しています。