1日1食と16時間断食、40代・50代の内臓にやさしいのは?胃・血糖・肝臓から考える
断食と内臓負担

1日1食と16時間断食、40代・50代の内臓にやさしいのは?胃・血糖・肝臓から考える

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夕方6時半。朝と昼を食べずに過ごした日、目の前にはご飯、魚、肉、野菜、味噌汁が並んでいる。空腹はかなり強い。この一食で一日分をまとめて食べるのが、いわゆる1日1食の形だ。一方で、同じ量を昼前と夕方の2回に分けて食べる16時間断食もある。食べない時間だけを比べれば、1日1食のほうが23時間も体を休ませているように見える。けれど、胃や肝臓の負担は空腹の長さだけで決まるのだろうか。

胃が休まる長さより、一度に入る量

1日1食の日を想像すると、空腹が強くなった状態で一気に食事をとることになる。健康的な料理を選んでいても、一度に食べる量は大きくなりやすい。胃は食べ物が入ると広がり、混ぜながら少しずつ小腸へ送る。よくある考えに「23時間食べなければ、その分胃を長く休められるから、一度にたくさん食べても問題ない」というものがある。

しかし、胃が受ける刺激は休んだ時間の長さだけでは決まらない。一度にどれだけ入ってくるかも大きく関係する。胃食道逆流のある人を調べた研究では、大きな食事のほうが小さく分けた食事より逆流が多くなったという報告がある。これは1日1食そのものを調べた研究ではないが、一度に大量に入れるほど胃が大きく広がりやすいことを示している。胸焼けや胃もたれが出やすい人には無視できない点だ。

16時間断食なら、たとえば午前10時半に1食目、夕方6時に2食目と分けることで、一回の量を小さくしやすくなる。胃の負担だけを見れば、調整しやすいのは16時間断食のほうだ。ただし、これは胃の症状がない人まで大きな食事を禁止するという意味ではない。

血糖は「食べない長さ」だけでは決まらない

長く食べないほど血糖に良い、と思いたくなる。実際、食べない時間が長くなるとインスリンは食後より低い状態になり、体は蓄えたエネルギーを使う割合を増やす。ここだけを見れば1日1食が有利に見える。

ところが、次の一食まで考えると話が変わる。健康な中年男女を対象にした研究では、一日の必要量を3食で食べる期間と1食だけで食べる期間を比べたところ、1食の期間では朝の空腹時血糖が高くなり、糖をとった後の血糖上昇も大きく長く続いた。インスリンの反応も遅れる方向が見られた。つまり、23時間食べないだけで血糖処理が必ず良くなるわけではない。

一方で、反対の結果を示す研究もある。夕方の一食にまとめたとき、体重と体脂肪が減り、運動中に脂肪を使う割合が増えたという短期研究もあり、血糖が明確に悪化したわけでもなかった。このように結果は一方向ではない。長く食べないことと、血糖が良くなることは同じではないと理解しておきたい。

40代・50代で注目したいのは、長い断食のあとの最初の一食がどれだけ大きくなるかだ。「16時間我慢したから」「23時間食べなかったから」と考えると、量も速さも上がりやすい。大盛りのご飯に揚げ物、甘いものまで続けば、食後の血糖は大きく動く。断食時間が長くても、その一食をなかったことにはできない。

肝臓は空腹でも休んでいない

1日1食のほうが食べない時間が長いから、肝臓も長く休める。そんなイメージを持つ人もいる。しかし肝臓は、食べていない間も休んでいるわけではなく、仕事の内容を変えている。食後は入ってきた糖や脂質の処理に関わり、食べない時間には蓄えていたグリコーゲンを使い、必要に応じて新しくブドウ糖も作る。断食が長くなると脂肪酸やケトン体の利用も増えてくる。休日というより、仕入れの仕事から在庫を取り出す仕事へ変わるようなものだ。

では、23時間食べなければ肝臓の脂肪は16時間より減りやすいのか。今の研究ではそこまで言えない。肝脂肪のある人を1年間追った研究では、時間制限食でも普通のカロリー制限でも肝脂肪は減ったが、時間制限食のほうが明確に大きく減ったわけではなかった。肝脂肪を減らす鍵は断食時間だけではなく、一日の摂取量にもある。長く空腹でいるほど自動的に肝臓がきれいになるわけではない。

肝臓にとって大切なのは、断食時間の長さだけではない。一日全体でどれだけ食べるか、体重が必要ならゆっくり改善できているか、夜遅くまで食べ続けていないか。こうした条件も一緒に効いてくる。

40代・50代が始めるなら、最初の一歩は12時間から

この年代は体脂肪だけを減らせばいいわけではなく、筋肉を保つことも大切だ。一日に必要なタンパク質や野菜、脂質を一食だけで十分にとるのは簡単ではない。一度にたくさん食べるのがつらくなる人もいる。8時間のなかで2食なら、タンパク質も2回に分けられる。魚、卵、豆腐、納豆、肉などを一度に全部詰め込まなくて済む。胃での食事量を調整しやすく、栄養も分けやすい点は16時間断食の強みだ。

さらに、平均年齢59歳のメタボリックシンドロームの人を対象にした試験では、食事時間を8時間から10時間にまとめると3か月後の血糖管理がわずかに改善した。これは16時間固定の試験ではないが、極端な1日1食まで進まなくても代謝指標が動く例だ。

もっとも、16時間そのものが目的ではない。40代・50代で初めて試すなら、まず12時間から14時間で十分だ。たとえば夜7時半に夕食を終え、その後は無糖のお茶だけにする。翌朝7時半に朝食をとれば、これで12時間になる。これを3日ほど続けて、朝の空腹、胃の調子、仕事中の集中力、夜の食欲を観察する。問題がなければ朝食を1時間遅らせて13時間にし、さらに楽なら14時間へ伸ばす。ここまでで十分に続けやすいなら、無理に16時間へ進まなくても構わない。

もし16時間を試すなら、夕方6時半に食事を終え、翌朝10時半に最初の食事をとり、夕方に2食目をとる形になる。大切なのは8時間のなかで食べ続けることではなく、普通量の食事を2回に分けることだ。最初の食事で反動の大盛りをしない。できれば魚、卵、豆腐などのタンパク質と野菜を先に用意し、炭水化物も抜く必要はない。食後に体調が悪くなければ、無理のない速さで10分ほど歩くと血糖の上昇を抑える助けになる。

逆に、朝から強いふらつきが出る、仕事に集中できない、夕食で毎回食べすぎるという場合は、断食時間が長すぎる可能性がある。12時間か14時間へ戻してほしい。数字を達成することより、体調が安定して続くことのほうが大切だ。糖尿病の薬やインスリンを使っている人は自己判断で始めず、治療中の病気がある人も食事時間を大きく変える前に医療機関へ相談してほしい。

1日1食は食べない時間を長くできる一方で、一回の食事が大きくなりやすく、血糖や栄養の確保という別の課題が出る。16時間断食は2食に分けることで一回の量を調整しやすい。40代・50代で初めて試すなら、16時間断食のほうが現実的な出発点だ。ただし、夜食をやめて食事の時間が整うなら、12時間でも十分意味がある。空腹時間を長く伸ばすこと自体を目的にしないことが、内臓と長く付き合うための分かれ目になる。

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