血液型という箱は、性格の差をほとんど説明しない
血液型で性格を4つに分ける説は、1927年に日本の教育者が出した論文に始まる。自分の親族11人から始まり、同僚や生徒へと調べを広げた。物事を苦にしない組と心配症の組の文章を読んで、自分が入ると思う方に丸をつける方法だった。この説は学問としては支持されなかったが、1970年代にある作家の本をきっかけに日本中に広がった。
では、血液型ごとに性格は違うのか。2014年、日本の心理学者が日本とアメリカの大きな調査を調べ直した。合わせて1万人ほどの回答を血液型で分けて比べると、ほとんどの質問で差は出なかった。人による答えの違いのうち、血液型で説明できるのは0.3%に足りなかった。この調査の質問は性格検査のために作られたものではないが、1万人の答えに血液型の差はほとんど見えなかった。
さらに奇妙な記録がある。1978年から1988年まで日本で毎年行われた世論調査を年ごとに並べた研究では、血液型の話が広まっていった10年の間に、A型の人の答えが「A型らしい」と言われる性格へ少しずつ寄っていったという報告がある。別の調査では、血液型の話を信じている人の中でだけ型ごとの違いが見られ、信じていない人の中ではほとんど見られなかった。血液型が性格を決めている証拠は見つかっていないが、「あなたはA型だから」という言葉が、人の答え方を少しずつ変えていた可能性はある。
16タイプは、ものさしを真ん中で切ったもの
就職活動中の学生200人に聞いたある調査では、16タイプの診断を受けたことがある人は73%だった。その原型は、アメリカの母と娘が精神医学の本を読み込んで作った検査で、2人とも心理学の専門家ではなかった。最初の形ができたのは1943年で、後にMBTIという名前で世界に広がる。ただし、日本で多くの人が受けている無料の16タイプ診断は、公式のMBTIそのものではない。公式のMBTIを扱う協会は、まったくの別物だと書いている。広く使われている無料の診断サイトは、現在の心理学の5つのものさしを元にしていると説明し、そのものさしを文字の型に分けている。
受け直すと同じ結果になるか。MBTIを出している会社が公開している記録では、4つの文字がすべて同じになった人はおよそ半分、3つ以上が同じだった人は9割だった。会社は偶然よりずっと安定していると説明する。変わった文字は、たいていその人の中で一番はっきりしなかった文字だった。1万2000人の点数を並べた研究では、点数は2つの山に分かれず、真ん中に集まっていた。その山を真ん中で切れば、線の近くにいる人は少しの答えの違いでどちらの側にも入る。型に分けると、真ん中にいる人ほど揺れるのだ。
型ではなく、ものさしで見ると何が変わるか
1936年、アメリカの2人の心理学者が分厚い英語の辞書から、人の性格や振る舞いを言い表す言葉を拾い出した。その数1万7953語。「人にとって大事な違いなら、きっと言葉になっているはずだ」という考えからだった。その後、何十年もかけて言葉同士の近さが調べられ、5つのまとまりが繰り返し現れた。
- 人付き合いにどれだけ向かうか
- 不安をどれだけ感じやすいか
- 人にどれだけ優しいか
- 新しいことにどれだけ開かれているか
- どれだけきちんとしているか
これがビッグファイブと呼ばれる、現在の心理学で最も広く使われている5つのものさしだ。型ではなくものさしで見ると、「外交的か内向的か」とは言わずに、「人付き合いのものさしで100人のうち下から30番目あたり」と表す。このものさしは、人生の何かと結びついているのだろうか。1922年、アメリカで知能検査によって選ばれた1500人余りの子どもたちの性格を、親と先生が細かく評価していた。70年ほど後、研究者たちがそのうち1178人の一生を調べると、子どもの頃にきちんとしていると評価された子ほど長く生きる傾向があった。性格のものさしと寿命、離婚、仕事の地位との結びつきの強さは、家の豊かさや知能の点数と同じくらいだったというまとめもある。ただし、きちんとした性格が寿命を伸ばすとまでは言えない。結びつきが見えるのは、たくさんの人を並べたときの話だ。
ものさしの位置も、一生のうちに動く
1960年、アメリカの高校生たちが性格の質問に答えた。50年後、そのうち1795人が同じ質問にもう一度答えている。並び順は少しだけ残っていたが、特性ごとに2割から6割の人のものさしの位置がはっきり動いていた。全体としては、年とともに穏やかに、きちんとした向きへ動く傾向があった。92の長い記録をまとめた研究でも、特に20歳から40歳の間に、人は落ち着き、きちんとしていく傾向がある。心の治療を受けた人たちの207の研究をまとめると、平均24週で不安の感じやすさなどのものさしが動いていた。ただし、気分が楽になったことが答えに出ただけかもしれないという指摘もある。
性格は、一度決まった型に閉じ込められるものではない。ものさしの上を、ゆっくりと動いていく。診断結果を読んで「当たっている」と思ったとき、その文章は他の誰にも当てはまらない文章だっただろうか。型の名前は自分を語るための便利な言葉だが、人の性格は箱の中ではなく、ものさしの上を一生かけて動いていく。診断結果を絶対視せず、いまの位置を知る手がかりとして受け取ることもできる。