性格診断が当たる理由:血液型・16タイプ・ビッグファイブから考える性格の測り方
心理学

性格診断が当たる理由:血液型・16タイプ・ビッグファイブから考える性格の測り方

1940年代の終わり、アメリカの心理学の授業で、学生たちが性格検査を受けた。1週間後、先生は一人ひとりに結果の紙を渡す。「あなたは人から好かれたい、認められたいと強く願っている」「自分に厳しいところがある」「まだ使っていない力をたくさん持っている」。0から5で当たっている度合いを答えてもらうと、平均は4を超えた。39人全員が、ほとんどぴったりだと答えた。ところが、その文章は先生が売店の星占いの本から拾い集めたもので、全員に同じ文が渡されていた。この場面は、性格診断が「当たる」と感じる仕組みを考える入口になる。

私たちは、自分のための文章だと言われるほど、そこに自分を見つけやすくなる。性格をいくつかの箱に分けて言い当てようとする道具は多いが、本当に性格は測れるのか。測れるとしたら、どんな方法なのか。血液型や16タイプ、そして心理学で使われる「ものさし」を手がかりに考えてみたい。

誰にでも当てはまる文が「自分のため」に変わるまで

1974年の実験では、63人の女性にまったく同じ星占いの文章を渡した。変えたのは渡すときの一言だけだった。「これは誰にでも当てはまる文です」「あなたの生まれた年と月から出しました」「あなたの生まれた年と月と日から出しました」。当たっていると感じた度合いは、5段階で3.2、3.8、4.4。文章は一文字も変わっていないのに、自分のために出したと言われるほど、自分のことに思えた。自分に向けた結果ほど当たっていると感じる傾向は、他の研究でも繰り返し出ている。

この現象はバーナム効果と呼ばれる。誰にでも当てはまる文には、両方の性質が書かれていることが多い。「時には人懐っこく、時には用心深い」とあれば、どちらかには当てはまる。多くは褒め言葉か、褒め言葉に近い弱点だ。文が人を言い当てたのではなく、読む人が文の中から自分に合うところを拾っていたと研究者は考えている。

続きを読む 続きの表示を閉じる 次の章:血液型という箱は、性格の差をほとんど説明しない

血液型という箱は、性格の差をほとんど説明しない

血液型で性格を4つに分ける説は、1927年に日本の教育者が出した論文に始まる。自分の親族11人から始まり、同僚や生徒へと調べを広げた。物事を苦にしない組と心配症の組の文章を読んで、自分が入ると思う方に丸をつける方法だった。この説は学問としては支持されなかったが、1970年代にある作家の本をきっかけに日本中に広がった。

では、血液型ごとに性格は違うのか。2014年、日本の心理学者が日本とアメリカの大きな調査を調べ直した。合わせて1万人ほどの回答を血液型で分けて比べると、ほとんどの質問で差は出なかった。人による答えの違いのうち、血液型で説明できるのは0.3%に足りなかった。この調査の質問は性格検査のために作られたものではないが、1万人の答えに血液型の差はほとんど見えなかった。

さらに奇妙な記録がある。1978年から1988年まで日本で毎年行われた世論調査を年ごとに並べた研究では、血液型の話が広まっていった10年の間に、A型の人の答えが「A型らしい」と言われる性格へ少しずつ寄っていったという報告がある。別の調査では、血液型の話を信じている人の中でだけ型ごとの違いが見られ、信じていない人の中ではほとんど見られなかった。血液型が性格を決めている証拠は見つかっていないが、「あなたはA型だから」という言葉が、人の答え方を少しずつ変えていた可能性はある。

16タイプは、ものさしを真ん中で切ったもの

就職活動中の学生200人に聞いたある調査では、16タイプの診断を受けたことがある人は73%だった。その原型は、アメリカの母と娘が精神医学の本を読み込んで作った検査で、2人とも心理学の専門家ではなかった。最初の形ができたのは1943年で、後にMBTIという名前で世界に広がる。ただし、日本で多くの人が受けている無料の16タイプ診断は、公式のMBTIそのものではない。公式のMBTIを扱う協会は、まったくの別物だと書いている。広く使われている無料の診断サイトは、現在の心理学の5つのものさしを元にしていると説明し、そのものさしを文字の型に分けている。

受け直すと同じ結果になるか。MBTIを出している会社が公開している記録では、4つの文字がすべて同じになった人はおよそ半分、3つ以上が同じだった人は9割だった。会社は偶然よりずっと安定していると説明する。変わった文字は、たいていその人の中で一番はっきりしなかった文字だった。1万2000人の点数を並べた研究では、点数は2つの山に分かれず、真ん中に集まっていた。その山を真ん中で切れば、線の近くにいる人は少しの答えの違いでどちらの側にも入る。型に分けると、真ん中にいる人ほど揺れるのだ。

型ではなく、ものさしで見ると何が変わるか

1936年、アメリカの2人の心理学者が分厚い英語の辞書から、人の性格や振る舞いを言い表す言葉を拾い出した。その数1万7953語。「人にとって大事な違いなら、きっと言葉になっているはずだ」という考えからだった。その後、何十年もかけて言葉同士の近さが調べられ、5つのまとまりが繰り返し現れた。

  • 人付き合いにどれだけ向かうか
  • 不安をどれだけ感じやすいか
  • 人にどれだけ優しいか
  • 新しいことにどれだけ開かれているか
  • どれだけきちんとしているか

これがビッグファイブと呼ばれる、現在の心理学で最も広く使われている5つのものさしだ。型ではなくものさしで見ると、「外交的か内向的か」とは言わずに、「人付き合いのものさしで100人のうち下から30番目あたり」と表す。このものさしは、人生の何かと結びついているのだろうか。1922年、アメリカで知能検査によって選ばれた1500人余りの子どもたちの性格を、親と先生が細かく評価していた。70年ほど後、研究者たちがそのうち1178人の一生を調べると、子どもの頃にきちんとしていると評価された子ほど長く生きる傾向があった。性格のものさしと寿命、離婚、仕事の地位との結びつきの強さは、家の豊かさや知能の点数と同じくらいだったというまとめもある。ただし、きちんとした性格が寿命を伸ばすとまでは言えない。結びつきが見えるのは、たくさんの人を並べたときの話だ。

ものさしの位置も、一生のうちに動く

1960年、アメリカの高校生たちが性格の質問に答えた。50年後、そのうち1795人が同じ質問にもう一度答えている。並び順は少しだけ残っていたが、特性ごとに2割から6割の人のものさしの位置がはっきり動いていた。全体としては、年とともに穏やかに、きちんとした向きへ動く傾向があった。92の長い記録をまとめた研究でも、特に20歳から40歳の間に、人は落ち着き、きちんとしていく傾向がある。心の治療を受けた人たちの207の研究をまとめると、平均24週で不安の感じやすさなどのものさしが動いていた。ただし、気分が楽になったことが答えに出ただけかもしれないという指摘もある。

性格は、一度決まった型に閉じ込められるものではない。ものさしの上を、ゆっくりと動いていく。診断結果を読んで「当たっている」と思ったとき、その文章は他の誰にも当てはまらない文章だっただろうか。型の名前は自分を語るための便利な言葉だが、人の性格は箱の中ではなく、ものさしの上を一生かけて動いていく。診断結果を絶対視せず、いまの位置を知る手がかりとして受け取ることもできる。

シェアする

気になる記事から、別の視点も見つけてみませんか。

好きな人に誘われるほど返事ができない理由——回避の距離感を6つの段階で考える
恋愛心理2026年10月16日

好きな人に誘われるほど返事ができない理由——回避の距離感を6つの段階で考える

たとえば、気になっている人から「今度一緒に遊びに行きませんか」とメッセージが届いた場面を想像してみる。嬉しいはずなのに、返信の指が止まる。既読をつけたまま、数日が過ぎる。こうした反応は、相手を嫌いになったからではなく、距離の取り方の癖として説明できることがある。愛着スタイルという考え方では、人との距...

記事を読む
家族の前でだけ小さくなるのはなぜ?「距離を置く」こととユング心理学の「個性化」をやさしく考える
心理学2026年10月16日

家族の前でだけ小さくなるのはなぜ?「距離を置く」こととユング心理学の「個性化」をやさしく考える

家族の集まりから帰ったあと、体が重い。電話が鳴るだけで胸が縮む。それは気の持ちようや弱さではなく、体が覚えている反応かもしれません。一方で「家族から離れるほど人生は好転する」という言い切りは、誰にでも当てはまる法則ではありません。距離はあくまで選択肢のひとつで、ユング心理学でいう「個性化」も、家族を...

記事を読む
「可愛いね」が5分で忘れられる理由——褒め方の差は才能ではなく、相手のどこを見るかにある
コミュニケーション2026年10月16日

「可愛いね」が5分で忘れられる理由——褒め方の差は才能ではなく、相手のどこを見るかにある

久しぶりに会った相手が髪を切っていた。その変化に気づいたとき、あなたはどんな言葉をかけるだろうか。多くの人が「可愛いね」と反射的に言ってしまう。けれど、その一言は相手の記憶にほとんど残らない。褒め方の差は、語彙でも才能でもなく、相手のどこを見ているかという習慣の差にある。褒め方には段階がある。沈黙か...

記事を読む
夜、嫌な記憶が何度も戻るのはなぜ? 考えないほど浮かぶ脳の仕組み
心理学2026年10月16日

夜、嫌な記憶が何度も戻るのはなぜ? 考えないほど浮かぶ脳の仕組み

明かりを消して布団に入ると、昼間のたった一言が頭の中で再生され始める。言わなければよかった言葉、言い返せなかった言葉。とっくに終わったはずの場面が、何度も何度も戻ってくる。忘れようとすると、むしろ鮮明になる。こうした夜の繰り返しは、意志の弱さではなく、脳が未解決の問題へ戻ろうとする仕組みと関係してい...

記事を読む
「趣味は何ですか」と詰まる人へ——無趣味を欠点にしないための考え方
心理・人間関係2026年10月16日

「趣味は何ですか」と詰まる人へ——無趣味を欠点にしないための考え方

「趣味は何ですか」と聞かれて、言葉に詰まる。とくにないんですよね、と答えると、少し気まずい空気が流れる。そんな経験がある人は少なくないでしょう。 先に結論を書くと、趣味の有無は、人としての充実度や優劣を示すものではありません。無趣味という状態には、予定の身軽さや出費の少なさなど、生活の組み立て方とし...

記事を読む
IQ135以上の1528人からノーベル賞は0人。知能検査は何を測ってきたのか
心理学2026年10月16日

IQ135以上の1528人からノーベル賞は0人。知能検査は何を測ってきたのか

1920年代の初め、アメリカ・カリフォルニアの小学校で、子どもたちが一斉に知能検査を受けていました。ある心理学者が「飛び切り頭のいい子」を探して学校を回り、IQ135以上の子どもを選び出したのです。やがて対象は1528人に達し、研究者はその子たちの一生を記録し続けました。 大人になった彼らの中から、博士号を取った...

記事を読む