夜、疲れているのに「少しだけ」とスマホを開き、気づけば30分、1時間と過ぎてしまう。この状態は、意志が弱いからではなく、疲れた脳と部屋の環境が重なって起きています。対策は我慢ではなく、スマホに少し手間をかけ、代わりの行動を近くに置くこと。まずは「スマホを取るまで20秒かかる場所へ置く」ことから始められます。
疲れた脳は「今すぐ楽になるもの」を選びやすい
行動心理学の研究では、頭を使う課題で疲れた後、多くの人が後で大きな報酬を得るよりも、今すぐ小さな報酬を選びやすくなると報告されています。仕事や家事、人付き合いで消耗した夜は、考える力や我慢する力が弱まり、目先の刺激に流れやすくなります。
スマホは、指を少し動かすだけで新しい動画や情報が出てくるため、疲れた脳にとって非常に手軽な刺激です。しかも「次に面白いものが出るかもしれない」という期待を作り続ける仕組みがあり、これを報酬予測と呼びます。この仕組みがあるため、夜にスマホを閉じにくくなります。
部屋の中にある2つの原因
同じように疲れていても、スマホを見てしまう日とそうでない日の差を作るのは環境です。家の中に限ると、主に2つの原因があります。
スマホとの距離が近すぎる
テーブルの上、ソファの横、ベッドのそば。手の届く場所にスマホがあると、ほとんど考えずに手を伸ばしてしまいます。テキサス大学オースティン校の研究では、スマホを机の上に置いたグループは別の部屋に置いたグループより集中力の指標が15〜20%低下したという結果があります。触っていなくても、脳の一部がスマホに注意を向け続けるためです。
スマホ以外の回復行動が見えていない
特に何もすることがないと、脳は自然にスマホへ戻ります。本来、疲れている時に必要なのは強い刺激ではなく、心と頭の回復です。ペンシルベニア大学の研究では、スマホを減らしたい人にあらかじめ散歩やストレッチ、読書などの代わりの行動を決めてもらうと、スマホの使用時間が減り、運動や生活活動が約10%増えたとされています。スマホ以外の選択肢が見えているだけで、脳はそちらに流れやすくなります。