普通の石鹸では落ちにくい理由と洗浄料の選び方
2-ノネナールは皮膚表面のタンパク質と結びつき、そこに残りやすい性質があります。そのため、普通の石鹸やボディソープで何度洗っても、十分に落ちないことがあります。ドラッグストアには柿渋を使った石鹸と、銀イオンを配合したボディソープが並んでいます。柿渋は2-ノネナールそのものを分解する働きが、銀イオンは匂いの原因を作る菌を減らす働きが期待されています。どちらも目的は同じですが、今使っている洗浄料とは働き方が異なります。
柿渋石鹸か銀イオン配合のボディソープを用意し、先ほどの4か所に使います。流す前に30秒ほど肌に置いてから洗い流すと、成分が行き渡りやすくなります。価格は数百円程度で数週間使えるものが多く、試しやすい選択肢です。ただし、肌に合わない場合や刺激を感じる場合は使用を中止し、別の製品に切り替えてください。
匂いを戻しているのは布かもしれない
体をきちんと洗っているのに夕方になると匂いが戻る場合、原因は肌ではなく布にあるかもしれません。枕カバー、シャツの襟、毎年着ている上着の裏地、車の座席の頭が当たる部分、ソファの背もたれなどは、皮膚から2-ノネナールを吸い取り、次に肌が触れたときに洗ったばかりの皮膚へ塗り戻す役割をしてしまいます。特に枕カバーは、洗った頭皮や首の後ろに毎晩触れるため、匂いを保持しやすい場所です。
枕カバーは週に1回ではなく、2〜3日ごとに交換するのがおすすめです。上着の襟や車のヘッドレストは、週に1回程度、濡らして固く絞った布で拭きます。シャツの襟は洗濯機に入れる前に部分洗いをしておくと、蓄積を減らせます。洗濯表示を確認しながら、無理のない範囲で続けてください。
頭皮から出る別の匂いと洗い方
会話の距離で感じる匂いには、体から出るものとは別に、頭皮から出るものもあります。化粧品メーカーの研究では、30代から40代の男性に目立ち始める重く油っぽい匂いの原因として、ジアセチルという物質が報告されています。これは頭皮にいる菌が、汗に含まれる乳酸を変化させることで生まれます。匂いの強さは比較的強く、近い距離での会話では頭皮が大きな発生源になります。
頭皮は皮脂腺の密度が高く、髪の下で熱と湿気を抱えやすい場所です。髪を洗うことと頭皮を洗うことは別の手順として考えます。指の腹を使い、頭皮そのものを90秒ほど動かすように洗います。最後に後頭部と首の後ろを意識して洗い、洗い残しを防ぎます。爪を立てず、指の腹で優しく動かしてください。髪は夜のうちに洗い、頭皮を完全に乾かしてから寝ることも大切です。濡れた頭皮と枕は、菌が増えやすい条件を一か所に集めてしまいます。ドライシャンプーは皮脂の上に粉を重ねるだけで根本的な除去にはならないため、連日使うのは避けたほうが無難です。
香りで隠すより、材料を減らす
加齢臭を香水や制汗剤で覆おうとすると、かえって匂いが混ざり、強く感じられることがあります。特にウッディ系やパウダリー系の香りは、隠したい匂いと同じ嗅覚の系統に入り、増幅する場合があります。香りを使うならレモンやライム、オレンジ、グレープフルーツなどの柑橘系を軽くまとうほうが、混ざり方としては穏やかです。ただし、香りはあくまで補助であり、発生源を減らすことの代わりにはなりません。
2-ノネナールは皮脂の酸化によって生まれるため、食事も対策の一部になります。緑茶を毎日飲む、野菜や発酵食品を増やす、揚げ物や重い動物性の油を減らす、水を十分に飲むといった習慣は、体内の酸化ストレスを和らげる方向に働きます。また、汗の質も関係します。激しい運動で一気に大量の汗をかくと、汗の中の乳酸濃度が高くなり、匂いの材料が増えることがあります。一方、歩くような緩やかな有酸素運動を続けると、汗の中の乳酸濃度は時間とともに下がりやすくなります。まったく汗をかかない生活も、いざ汗をかいたときに成分が濃くなりやすいため、毎日軽く歩く習慣が役立ちます。
今日からできることは、首の後ろ・耳の後ろ・背中の上部・胸元を毎日摩擦で洗うこと、柿渋か銀イオンの洗浄料を30秒置いて使うこと、枕カバーを2〜3日ごとに替えること、頭皮を指の腹で90秒洗って乾かすことです。効果の現れ方には個人差がありますが、まずは洗う場所と方法を変えてみてください。体が新しく作り始めた匂いに、対処法を知らないまま悩む必要はありません。