たとえば、友人との会話で、40代の知人男性が20代後半の女性と結婚したという話題になったとする。友人が「また若い子か。同世代の私たちは何だったんだろう」とため息をついたとき、どう返せばいいか迷うことはないだろうか。SNSでは、こうした年齢差のある結婚に対して、同世代の女性から強い不快感が寄せられることがある。ここでは、そのモヤモヤの背景を、統計と感情のズレという観点から整理する。
この場面で選べる対応はいくつかある。
- まず「たしかにモヤッとするね」と相手の感情を認める。
- そのうえで、統計の話をするか、自分の感じ方を話すか、話題を変えるかを選ぶ。
- 相手が深く傷ついているなら、理屈より聞くことを優先する。
統計が示す実際の景色と、SNSで見える景色
婚姻に関する統計の一つでは、夫婦の年齢差は多くの場合、同世代に近い。夫が10歳以上年上という夫婦は全体の3%程度とされ、5歳以上年上でも17%程度、プラスマイナス3歳以内が約75%を占める。つまり、40代男性が20代女性と結婚するケースは、全体から見ればかなり少数だ。
にもかかわらず、SNSではそうした事例が大きく取り上げられ、あたかも「男は皆、若い女性を選ぶ」という印象が作られやすい。極端な話ほど注目を集め、拡散されるため、現実の比率以上に目に入る。さらに、40代を過ぎても結婚相手を若い世代から選べるように見える男性は、収入や社会的地位の面で限られた層に偏る傾向がある。すべての40代男性に同じ選択肢があるわけではない。
なぜ「平等じゃない」と感じるのか
同世代の女性が感じる不満の中心には、「同じように年齢を重ねてきたのに、男性だけ時間的な猶予があるように見える」という理不尽さがある。特に、仕事や出産などのライフイベントで年齢を意識してきた人ほど、その差を強く感じるかもしれない。
一部の見方では、男性が若さを重視し、女性が収入を重視する傾向があるとされる。しかし、これは傾向にすぎず、個人の価値観は多様だ。生物学的な違いを理由にすべてを説明することはできない。SNSで目にする「一部の成功した40代男性が若い女性と結婚する」という構図は、女性が自分に重ねて「自分たちの選択肢が狭められている」と感じさせる材料になりやすい。
モヤモヤをどう扱うか——判断材料と伝え方
まず、自分が怒っている対象を分けてみる。目の前の知人男性の話なのか、SNSで見た有名人の話なのか。知人の場合、その人の事情や関係性は外からは見えない。年齢差だけを取り出して非難しても、問題は解決しないことが多い。一方、SNSの話題なら、それは現実の自分の生活と直接関係がない場合も多い。感情を否定する必要はないが、その感情がどこから来ているかを知ると、次の行動が変わる。
仮の例として、友人に「また若い子か」と言われたとき、「たしかにモヤッとするよね。でも、実際に私たちの周りでどれくらい起きているかは、また別の話かもしれない」と返す方法がある。ただし、相手が深く傷ついている場合は、まず話を聞くことが先になる。理屈で返すと、かえって距離ができることもある。意見が合わないからといって、すぐに距離を置く必要はない。話題を変える、自分の感じ方を短く伝える、別の共通の話題に移るなど、選択肢は複数ある。
それでも残る理不尽さと、個人の選択
年齢差のある結婚を選ぶ個人を非難しても、社会の構造や自分の選択肢が変わるわけではない。むしろ、自分がどんな相手と、どんな条件で関係を築きたいかを考えるほうが現実的かもしれない。同世代の男性が若い女性を選ぶように見えることへの怒りは、自分の選択肢が狭まっているように感じる不安とつながっている場合がある。その不安に目を向けると、相手の年齢差よりも、自分がこれからどうしたいかが見えてくる。
感情は消そうとしなくていい。ただ、SNSで見える景色と、実際に自分の周りで起きていることは分けて考えると、必要以上に傷つかずに済む。同世代の女性が感じるモヤモヤは、理不尽さへの反応として理解できる。そのうえで、誰を責めるでもなく、自分の基準で次の一歩を選ぶ余白を持ちたい。