「運がいい人」と「運が悪い人」を分けるのは、目ではなく習慣と錯覚だった
社会心理学

「運がいい人」と「運が悪い人」を分けるのは、目ではなく習慣と錯覚だった

新聞の写真を数えるように頼まれたら、あなたは何に気づくだろう。一枚、二枚と指で追いながら、紙面の隅に書かれた大きな文字に目を向けられるか。イギリスの心理学者が行ったとされる実験の記録では、写真を数えることに集中した人の多くが、紙面の半分を使った「数えるのをやめてください。写真は43枚です」という文字を見落とした。そして、その文字に気づいて手を止めたのは、自分を運がいいと答えていた人たちに多かったという。

この実験は、運のよさが特別な力ではなく、注意の向け方に表れることを示している。ただし、この記録は学術論文として審査を受けたものではない。運にまつわる研究には、確かなことと、まだ確かめられていないことが混ざっている。その境界をたどりながら、運がいい人と呼ばれる人たちの習慣と、運の外側にあるものを考えてみたい。

数えることに夢中になると、偶然は見えなくなる

新聞の実験で、運がいいと答えた人と運が悪いと答えた人を分けたのは、目の良さではなかった。写真を数えることだけに意識を絞ると、紙面の大きな文字は視野の中にあっても見えなくなる。心理学者は、運が悪いと答えた人たちが緊張しやすく不安が強い傾向にあり、運がいいと答えた人たちが肩の力を抜いて新しいことに開いていたと記している。

別の研究者たちが144人の学生に運を信じる気持ちと気分の落ち込みや不安を尋ねた調査では、自分の運を信じている人ほど前向きで、落ち込みや不安が少ないというつながりが見えた。ただし、これは一つの調査で、どちらが先なのかは分からない。運を信じるから気分が安定するのか、気分が安定しているから運を信じやすいのかは、まだはっきりしていない。

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運がいいと答えた人たちの習慣

心理学者は、自分を運が悪いと答えた人たちに、運がいい人の振る舞いを一ヶ月間取り入れてもらった。偶然の出会いに目を向ける、良いことを期待する、悪いことがあっても立ち直る。すると、一ヶ月後に8割の人が以前より運が良くなったと答えたという。ただし、良くなったと答えたのは本人であり、実際に運が変わったのか、物事の見え方が変わったのかは、この記録からは分からない。

ここで見えてくるのは、運がいいとされる人の特徴が、偶然に気づく目と、気づいたものを試す回数、そして外れたときに立ち直る習慣だということだ。彼らは知らない人と話し、いつもの道を変え、偶然に出会う回数そのものを増やしていた。回数が増えれば、気づける偶然も増える。

お守りや「選んだくじ」に感じる運は錯覚かもしれない

お守りが腕を上げるかどうかは、まだ確かめられていない。2010年にドイツの研究者が発表した実験では、「幸運のボール」と告げられたゴルフボールを使った学生の方が、普通のボールを使った学生よりカップに入る割合が高かった。しかし、2014年にアメリカの研究者が人数を増やして同じ実験を二回やり直すと、幸運のボールと普通のボールの成績はほとんど同じだった。お守りそのものに効果があるという証拠は、今のところ見つかっていない。

それでも人は運を感じる。1975年にアメリカの心理学者が行った実験では、自分で選んだくじと、実験者から渡されただけのくじで、買い戻し価格に大きな差が出た。渡されただけの人は平均1ドル96セント、自分で選んだ人は平均8ドル67セントをつけた。当たる確率は同じなのに、選ぶという行為が偶然の場面に手応えを入り込ませる。研究者はこれを「コントロールの錯覚」と名付けた。

バスケットボールのファン100人に、連続でシュートを決めた選手は次も決めやすいと思うか尋ねると、91%がそう思うと答えた。ところが、プロの一チームの一シーズンの記録を調べると、直前のシュートを決めた後の成功率は51%、外した後は54%で、手が熱い状態は見つからなかった。ただし、この分析には数え方の偏りが指摘され、計算を直すと続けて入る可能性があるという結果も出ている。今も議論が続いている。

本人の外側で決まる運——生まれた月と最初の偶然

運の多くは、本人の手の届かないところで静かに決まっていることがある。カナダの研究者がプロのアイスホッケー選手の誕生日を調べると、1月から6月生まれが6割を超えていた。子供の競技は生まれた年で組を分けるため、区切りの直後に生まれた子は同じ組の中でほぼ一年上になる。体が大きく動きも速い子は選ばれやすく、選ばれると試合に出て良い指導を受け、本当にうまくなる。最初の小さな差が、年を重ねるごとに本物の差に育つ。

日本では区切りが4月1日だ。2010年のプロ野球選手731人を調べると、4月から6月生まれが32.8%、1月から3月生まれが14.2%だった。日本全体ではどの3ヶ月もほぼ25%ずつだから、はっきりした偏りがある。日本の研究者が12の競技4318人を調べても、野球、サッカー、バレーボール、駅伝、バスケットボール、相撲、競馬で同じ偏りが見つかった。生まれた月は本人が選べない運だが、その運は空から降ってきたのではなく、人が決めた区切りの線が作っていた。

成功のうちどこまでが運なのかを図ろうとした計算もある。2018年にイタリアの研究者が、才能を平均0.6を中心にした山の形で1000人に配り、40年間、幸運と不運の出来事が同じ数だけ漂う世界を計算した。幸運に出会うと才能が高いほど成功が2倍になり、不運に出会うと才能に関わりなく半分になる。計算を終えると、成功は一部の人に集まり、上位2割が全体の8割を持っていた。そして、最も成功した人の才能は0.61で、平均とほとんど同じだった。最も才能があった人は、成功の目盛りが1にも届かなかった。これは計算の中の話で現実そのものではないが、才能の山の形と富の偏りの形のずれを、偶然だけで説明できることを示している。

運がいい人を支えるのは、特別な力ではなく「気づく目」と「立ち直る習慣」

運がいいと答えた人たちは、確かに偶然に気づきやすかった。けれど、その人たちが持っていたのは特別な力ではなく、通りすぎる偶然に気づく目と、気づいたものを試す回数、そして外れたときに立ち直る習慣だった。同時に、人は偶然の中に自分の腕や流れを読み込みすぎる。選んだくじに4倍の値を付け、幸運のボールで腕が上がったと信じる。それは運ではなく錯覚だった。

そして、運の多くは生まれた月や、誰が先に選んだかという本人の外側で決まっていた。うまくいった人の才能と、うまくいかなかった人の才能は、思うほど違わないのかもしれない。それを知ることは、自分の成功を少し小さく、人の失敗を少し優しく見ることでもある。偶然は、気づく人にだけ姿を見せる。けれど、その偶然の多くは、本人の手の届かないところで決まっている。その両方を知っておくことが、運との付き合い方なのかもしれない。

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