やめ方は「少しずつ」より「一斉に」が伝わりやすい
少しずつ相手を選んでやめる方法は、優しそうに見えて、実は選別のように伝わることがあります。「去年は届いたのに今年は来なかった」「あの人には来たらしい」という形で伝わると、相手はかえって傷つくかもしれません。全員に同じ文面で出すほうが、こちらの事情として受け止めてもらいやすくなります。
また、少しずつやめると、毎年「今年はあの人をどうしよう」と同じ悩みが戻ってきます。一度で終わらせたほうが気持ちの面でも楽です。どうしても一人だけ続けたい相手がいる場合は、その人には別の形で連絡を続ける方法をあとで考えます。
書いてはいけない3つのこと
年賀状じまいの文面で、相手に重い印象を与えないために避けたいことが3つあります。
- 長い理由を書かないこと。目のことや手のしびれなど体の不調を並べるほど、読む側は心配になります。
- 相手のせいに読める書き方をしないこと。「失礼かと存じますが」と何度も謝るのは、かえって角が立ちます。謝る言葉は一度で十分です。
- 「最後の一枚です」で終わらせないこと。これだけだと扉を閉める音のように響きます。終わりの言葉のあとに、必ず続きの言葉を置きます。
印刷された文面の下に、手書きで一行だけ添えるのも効果的です。「お体にお気をつけて」「またお目にかかれますように」といった短い言葉でも、機械的に処理された感じが薄れます。
年齢を理由にするときの書き方
年齢を理由にすると、受け取った相手は体調を心配しがちです。理由として使うのは構いませんが、長く書かないことが大切です。よく使われる形は、次のような文面です。
「年の初めのご挨拶を今年限りとさせていただきたく存じます。その上でこれからも変わらぬお付き合いをお願いします」
やめるのは年賀状という紙のやりとりであって、お付き合いではないと一行で言い切ることで、印象が大きく変わります。体の心配をさせたくない場合は、「身の回りのことを少しずつ整理しております」という言い方もあります。親しい相手には年齢の話、少し距離のある相手には整理の話という使い分けで十分です。
出すタイミングは年賀状か寒中見舞いか
伝える方法は大きく2つあります。ひとつは、今年の年賀状そのものに「今年限り」と書き添える方法です。新年の挨拶と一緒に伝えられるので、手間も増えません。もうひとつは、年明けに寒中見舞いとして出す方法です。寒中見舞いは松の内が明けてから立春の頃までに届くように出します。松の内が明けるのは関東では1月7日、関西では1月15日頃、立春は2月4日頃です。年賀状を出さないまま年を越してしまった場合は、寒中見舞いで伝えると落ち着きます。
ただし、喪中はがきと混ぜないように注意します。喪中はがきは新年の挨拶を控えるというお知らせなので、そこに年賀状じまいの話を入れると、受け取った側がどちらの話か分からなくなります。喪中の年は年賀状じまいを見送って、翌年に回したほうが伝わりやすくなります。
連絡先を添えると印象が反転する
年賀状じまいの文面でいちばん大切なのは、連絡先を書き添えることです。電話番号でも携帯の番号でも、普段使っている連絡手段で構いません。「何かあったらこちらへ」と一行添えるだけで、受け取った側の印象は大きく変わります。
年に一度のはがきだけだった相手から、その一枚が来なくなり、ほかに連絡手段も書かれていなければ、道が閉じたように見えます。逆に番号が一行あるだけで、「やめるのは紙であって、道は開いています」という知らせになります。
やめた後に起きること
年賀状じまいをした人の話では、想像していたのと逆だったという声がよくあります。届く枚数が減って静かな正月になると思っていたら、実際には「はがき見たよ、元気にしてる?」という電話が何本かかかってきた、というのです。20年、はがき一枚だけでつながっていた人から声が聞こえる。やめると伝えなければ、その電話はかかってこなかったかもしれません。
年に一度の一枚は、つながりを保っていたのではなく、つながりを更新しなくていい理由になっていた可能性があります。出しておけば連絡したことになるので、電話をしなくて済む。もちろん全員から返事が来るわけではありませんが、何も言ってこない相手とは、もともと紙一枚の関係だったということです。
年賀はがきの発行枚数も、最も多かった平成15年の約44億6千万枚から、令和8年用では7億854万枚まで減っています。平成20年以降は16年続けて前年を下回っているため、相手にとっても年賀状じまいは初めての経験ではないはずです。先に言うほうが優しいこともあります。
たまった束は2つだけ残す
押し入れに輪ゴムでまとめた年賀状の束が何年分も残っている場合も、分けるだけで片づきます。残すのは次の2つです。
- 住所と名前の一覧。紙でも家族が見られる形でも構いません。香典やお知らせのときに、これがあるかどうかで残された人の苦労が変わります。
- 手書きの言葉が入っているもの。印刷だけの一枚と、余白に一言添えてある一枚は別のものです。手書きの部分だけ抜いておくと、ほんの数十枚に収まります。
何年分残すか迷うなら、直近の3年だけと決めてしまうのがおすすめです。それ以上古いものを見返した経験が何回あったかを思い出すと、答えはだいたい出ます。写真入りの年賀状も同じです。個人情報が含まれるため、そのまま束で処分せず、住所や氏名が見えない形にしてから手放すと安心です。
年賀状じまいは、相手との関係を終わらせることではなく、紙のやりとりを終えて別の連絡手段に切り替える手続きです。去年の束を分けて、一斉に短い文面で伝え、連絡先を添える。この順番で進めると、相手に角が立つ心配はかなり小さくなります。押し入れの束も、住所一覧と手書きの言葉だけ残せば、あとは手放してかまいません。やめるかどうか迷っているなら、まず去年の束を机に出すところから始めてみてください。