電話が鳴った瞬間、肩が跳ねて心臓が縮む。誰かが出てくれないかと受話器を見つめてしまう。こんな経験は、決して珍しいものではありません。2023年に日本で行われた調査では、働く人の57.8%が電話に苦手意識を持っていると報告されています。20代から30代に限ると72.7%にのぼるという数字もあります。
電話が苦手なのは、話すのが下手だからではありません。声や間から多くの情報を受け取っているために、脳が短時間で処理しきれずに疲れてしまう。そんな見方があります。ここでは、電話が苦手な人に共通する心理的な特徴と、負担を減らすための小さな工夫を紹介します。
声だけの情報が、想像以上に多い
電話では表情や身振りが見えません。その分、声のトーンや語尾の落ち方、息を吸う位置などから相手の状態を読み取ろうとします。ある研究では、相手の感情を読み取る課題で、映像と音声の両方を見た場合よりも、声だけを聞いた場合の方が正確だったという結果も報告されています。声は表情よりもごまかしにくいため、電話では相手の感情がむき出しに近い形で届くのです。
これに敏感な人は、対面以上に情報を受け取ってしまい、電話のたびに疲れてしまいます。相手の「大丈夫です」という言葉の裏にある硬さまで感じ取ってしまう。それは鈍さではなく、声という正直な手がかりに反応しているからかもしれません。
今日からできる工夫:電話を受ける前に「今から声の情報だけに集中する」と心の準備をします。メモを手元に置き、聞き取った内容を書くことに意識を向けると、感情の読み取りに全集中しなくて済みます。どうしてもつらいときは、短時間で折り返す旨を伝えて一旦切る選択も有効です。