窓のゴムの黒い点、浴室の目地、押入れを開けたときの重い空気。拭いても数週間で同じ場所に戻るカビを見ると、掃除が足りないと感じるかもしれません。しかし、表面に見えているカビは一部で、材料の内部に根が残っていることが多いのです。加えて、今の住まいは気密性が高く、湿気の逃げ道が少なくなっています。だから、表面をこするだけでは再発します。ここでは、湿気を吸う素材、換気、水回りの乾燥という3つの柱から、今日からできる小さな習慣を整理します。
まず知っておきたい、カビが戻る2つの理由
見えている黒い点は、地面でいえば草の部分です。材料内部に根が残っていれば、表面を落としても同じ場所から出てきます。根が残るほど、次は早く戻ることもあります。
もう一つは住まいの気密性です。24時間換気のスイッチを切ると、湿気の逃げ道がない密閉容器に近くなります。寒さや音、電気代を理由に止めていると、カビが育ちやすい条件が整ってしまいます。
湿気を吸う面を部屋の中に作る
壁や床、敷物など、部屋の面を「湿気を止める側」から「湿気を引き受ける側」に変えます。一度に全部ではなく、条件の悪い一面から始めるのが現実的です。
壁は漆喰か珪藻土パネルで
漆喰は表面が強いアルカリ性で、カビが根を張りにくいとされています。また、空気中の水分を吸って乾けば返す調湿の働きがあります。合成樹脂系の塗料は膜を作って水分を通さず、下地との間に湿気が溜まりやすくなります。
賃貸で壁を塗り替えられない場合は、北側の壁、押入れの内側、窓の下など、一番条件の悪い一面だけを考えます。漆喰塗料を水で溶いて薄く2度塗りする方法もありますが、施工できるかは壁の状態によります。塗れない場合は、珪藻土の板やパネルを立てかけるだけでも湿気を吸う面になります。
畳や敷物、カーテンを自然素材へ
畳はイ草の繊維が水分を吸って離します。畳がない部屋でも、1枚置くタイプの畳パネルを寝具の下や家具の下に敷くだけで、夜の間に湿気が溜まる空気の淀みを崩せます。
化学繊維の敷物を羊毛や麻に、カーテンを麻や綿に、樹脂で覆われた家具を無垢の木に変えるのも一つの方法です。面積の大きいものから変えると効果を実感しやすいため、小さな置き物より敷物1枚を優先します。
押入れや収納には炭を置く
炭は多孔質で空気中の水分を吸い、天日干しで繰り返し使えます。使い捨て乾燥剤と違い、数年にわたって働くとされています。押入れの隅、洗面台の下、部屋の隅に数本置くだけで十分です。
最初に使う前は10分ほど煮て灰を落とし、乾かします。手のひらより大きい塊が扱いやすいでしょう。費用を抑えるなら普通の木炭でも同じ原理で働きますが、粉が出やすいので古い木綿の靴下に入れて吊るすとよいです。
檜や杉の小物を置く
檜にはヒノキチオールという成分が含まれ、カビや細菌に働くとされています。塗装せず、そのまま置いておくだけでよいのが特徴です。浴室を丸ごと変える必要はなく、檜のまな板、風呂椅子、洗面器、脱衣所の小さな棚を一つ置くだけでも意味があります。
檜が手に入りにくければ、杉やヒバにも似た働きがあります。高い木を買うことより、材料そのものを除湿の一部と捉えることが大切です。
足拭きマットは珪藻土に替える
布のマットは浴室という最も湿った部屋の、風の通らない床に置かれ、次の使用まで乾きにくいものです。珪藻土マットは表面の細かい穴が水を素早く吸い、自然に乾きます。洗濯不要で匂いも出にくいとされています。
ただし、過去に一部製品からアスベストが検出され回収された事例があります。購入時は「検査済み」と明記されたものを選びます。コースターや水が溜まる場所の小物にも同じ材料が使われます。