「使わない家電」はなぜ増えるのか。買う前と買った後にできること
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「使わない家電」はなぜ増えるのか。買う前と買った後にできること

使わない家電が増えるのは、意志が弱いからではない

結論から書くと、使わない家電が増えてしまうのは、買う瞬間の高揚と、使い続けるための手間がまったく別のものだからです。買ったときの満足感はその場で手に入りますが、洗う・準備する・片付けるという手間は、使うたびに後からやってきます。この二つを「家電を買う」という一度の判断で比べようとすると、どうしても前者が勝ちます。

ここからは、よくある失敗のパターンを見ながら、どこでつまずきやすいのかを整理していきます。そのうえで、買う前と買った後にできる具体的な行動も挙げます。

買った日が、いちばん使われた日になる

たとえば、ノンフライヤーを買ったとします。揚げ物がヘルシーに作れて、油の処理もいらない。買った日はそう思います。ところが実際に使うと、庫内の油汚れを落とすのに時間がかかり、洗うパーツも多い。「片付けの時間のほうが、調理の時間より長い」という状態になり、二度目が遠のきます。

ヨーグルトメーカーも似ています。牛乳を入れて半日待ち、ようやく完成。食べてみると、スーパーの安いヨーグルトと大きくは変わらない。手間をかけた分だけ、がっかりが大きくなります。布団用クリーナーやスチーマーも、使った回数が数回で止まりやすい家電として知られています。

共通しているのは、買う前に想像しているのは「完成した状態」で、買った後に向き合うのは「準備と片付け」だという点です。この落差を先に見ておくだけで、判断は少し変わります。

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値札の外側にかかるお金を見落とす

家電の値段は、本体価格だけでは終わりません。月額費用、電気代、消耗品、置き場所、そして解約金です。

ウォーターサーバーは分かりやすい例です。「実質無料」と言われても、無料なのはサーバーのレンタル代で、水のボトルには毎月の料金がかかります。ボトル1本は12kg前後あり、交換は思ったより重労働です。さらに数年単位の縛りと解約金が設定されていることが多く、契約時にそこだけはっきり説明されないまま署名してしまう、という話も珍しくありません。

暖房も同じです。オイルヒーターは「体にやさしい」と言われますが、部屋が暖まるまで時間がかかります。目安単価を1kWhあたり31円として計算すると、1200Wの強モードで1時間およそ37円。1日10時間使えば370円、30日で1万円を超えます。本体価格より、電気代のほうが高くつくことがあるのです。

深夜と、他人の投稿が引き金になる

買い物の記録をたどると、注文時刻が深夜2時に固まっている、というのはよくある話です。夜は判断力が落ち、財布のブレーキがゆるみます。疲れているときほど、目の前の快感を選びやすくなります。

もう一つの引き金は、身近な人の投稿です。同期が新しい家電を自慢しているのを見て、置いていかれたくないと焦る。この焦りと憧れが、必要かどうかの判断を上書きしてしまいます。

対策として挙げられるのは、欲しくなったらカートに入れたまま寝るという方法です。朝になっても欲しければ本物、大抵は冷めています。すべての人に当てはまるわけではありませんが、試す価値はあると思います。

買う前にできること、買った後にできること

買う前に見ておきたいサイン

  • 分解して洗うパーツが3つ以上ある
  • 「世界初」「新機能」を売り文句にしている
  • 月額・消耗品・電気代が本体価格とは別に発生する
  • 準備や片付けに10分以上かかる

新機能つきの家電は、1年待つという考え方もあります。本当に良い機能なら1年後も残り、価格も下がります。消えてしまったなら、その程度だったということです。

逆に、毎日使うものにはお金をかけてよい、という見方もあります。10万円の冷蔵庫を10年使えば1日あたり約27円です。使わない家電は1日あたりの金額を計算できない、つまり最も高い家電だと言えます。

買った後にできること

使っていない家電は、フリマアプリで手放すという選択肢があります。写真は白い壁の前で撮る、相場より1割ほど安くする、傷は隠さず書く。この3つは売れやすさに影響します。また、買う前にフリマアプリで検索してみると、同じ型番が大量に出品されていることがあります。レビューには表れにくい「手放した理由」が、そこには並んでいます。

訪問販売で契約してしまったとき

「本日契約なら設置費ゼロ」「最近は気にされる方が多い」。この2つが出てきたら、その場で決める必要はありません。

訪問販売にはクーリング・オフ制度があり、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件で解約できます。ただし8日を過ぎると、原則としてこの制度は使えません。縛りや解約金の説明がなかった場合など、契約の取り消しが認められる可能性があるケースもありますが、判断は個別の状況によります。心当たりがある場合は、消費生活センター(188)やお住まいの自治体の相談窓口に相談してみてください。ここは自己判断で片づけず、専門の窓口に確認するほうが安全です。

家電を疑うのではなく、自分の生活を知る

ここまで読むと、家電を買うこと自体が悪いように感じられるかもしれません。そうではありません。毎日炭酸水を飲む人にとって炭酸水メーカーは働き続けますし、赤ちゃんがいる家庭ではウォーターサーバーが役に立ちます。同じ商品でも、持ち主の生活によって天使にも悪魔にもなります。

大事なのは、家電そのものを疑うことではなく、自分の生活を先に知ることです。週に何回使うのか、洗うのは誰か、置き場所はあるか、月にいくら出ていくのか。それを先に確かめておくと、買う瞬間の高揚と、使うときの手間を、同じ土俵で比べられるようになります。

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