値札の外側にかかるお金を見落とす
家電の値段は、本体価格だけでは終わりません。月額費用、電気代、消耗品、置き場所、そして解約金です。
ウォーターサーバーは分かりやすい例です。「実質無料」と言われても、無料なのはサーバーのレンタル代で、水のボトルには毎月の料金がかかります。ボトル1本は12kg前後あり、交換は思ったより重労働です。さらに数年単位の縛りと解約金が設定されていることが多く、契約時にそこだけはっきり説明されないまま署名してしまう、という話も珍しくありません。
暖房も同じです。オイルヒーターは「体にやさしい」と言われますが、部屋が暖まるまで時間がかかります。目安単価を1kWhあたり31円として計算すると、1200Wの強モードで1時間およそ37円。1日10時間使えば370円、30日で1万円を超えます。本体価格より、電気代のほうが高くつくことがあるのです。
深夜と、他人の投稿が引き金になる
買い物の記録をたどると、注文時刻が深夜2時に固まっている、というのはよくある話です。夜は判断力が落ち、財布のブレーキがゆるみます。疲れているときほど、目の前の快感を選びやすくなります。
もう一つの引き金は、身近な人の投稿です。同期が新しい家電を自慢しているのを見て、置いていかれたくないと焦る。この焦りと憧れが、必要かどうかの判断を上書きしてしまいます。
対策として挙げられるのは、欲しくなったらカートに入れたまま寝るという方法です。朝になっても欲しければ本物、大抵は冷めています。すべての人に当てはまるわけではありませんが、試す価値はあると思います。
買う前にできること、買った後にできること
買う前に見ておきたいサイン
- 分解して洗うパーツが3つ以上ある
- 「世界初」「新機能」を売り文句にしている
- 月額・消耗品・電気代が本体価格とは別に発生する
- 準備や片付けに10分以上かかる
新機能つきの家電は、1年待つという考え方もあります。本当に良い機能なら1年後も残り、価格も下がります。消えてしまったなら、その程度だったということです。
逆に、毎日使うものにはお金をかけてよい、という見方もあります。10万円の冷蔵庫を10年使えば1日あたり約27円です。使わない家電は1日あたりの金額を計算できない、つまり最も高い家電だと言えます。
買った後にできること
使っていない家電は、フリマアプリで手放すという選択肢があります。写真は白い壁の前で撮る、相場より1割ほど安くする、傷は隠さず書く。この3つは売れやすさに影響します。また、買う前にフリマアプリで検索してみると、同じ型番が大量に出品されていることがあります。レビューには表れにくい「手放した理由」が、そこには並んでいます。
訪問販売で契約してしまったとき
「本日契約なら設置費ゼロ」「最近は気にされる方が多い」。この2つが出てきたら、その場で決める必要はありません。
訪問販売にはクーリング・オフ制度があり、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件で解約できます。ただし8日を過ぎると、原則としてこの制度は使えません。縛りや解約金の説明がなかった場合など、契約の取り消しが認められる可能性があるケースもありますが、判断は個別の状況によります。心当たりがある場合は、消費生活センター(188)やお住まいの自治体の相談窓口に相談してみてください。ここは自己判断で片づけず、専門の窓口に確認するほうが安全です。
家電を疑うのではなく、自分の生活を知る
ここまで読むと、家電を買うこと自体が悪いように感じられるかもしれません。そうではありません。毎日炭酸水を飲む人にとって炭酸水メーカーは働き続けますし、赤ちゃんがいる家庭ではウォーターサーバーが役に立ちます。同じ商品でも、持ち主の生活によって天使にも悪魔にもなります。
大事なのは、家電そのものを疑うことではなく、自分の生活を先に知ることです。週に何回使うのか、洗うのは誰か、置き場所はあるか、月にいくら出ていくのか。それを先に確かめておくと、買う瞬間の高揚と、使うときの手間を、同じ土俵で比べられるようになります。