家事の手順や仕事のマニュアルを守りすぎて、本来の目的を見失った経験はないでしょうか。ルールを守ることと、そのルールが守ろうとしていた目的を守ることは、同じではありません。完璧な一貫性がかえって暮らしを重くする前に、まず試したい小さな行動があります。
まず試したい小さな行動:ルールの目的を一文で書く
今守っているルールを一つ選び、「これは何のためにあるのか」を一文で書いてみます。たとえば「洗濯は毎朝回す」という決まりなら、目的は「清潔な服を切らさないこと」かもしれません。夜に回しても目的は守れるなら、朝にこだわる必要はないのです。
目的が分からないルールは、いったん保留にするか、家族や同僚に確認します。目的を書き出すだけで、例外を認めるかどうかの判断が変わってきます。
注意点
- 目的を書き換えるのは「やらなくていい理由」を作るためではなく、目的が本当に守られているかを確認するためです。
- 一人で決めずに共有すると、一方的な例外になりにくくなります。
なぜ「絶対に変えない」が危うくなるのか
規則は一般的な言葉で書かれるため、現実の細かい事情に合わないことがあります。アリストテレスは、硬い定規ではでこぼこした石を正確に測れないため、柔らかい鉛の定規を石に沿って曲げる、という考え方を示しました。定規を曲げるのはごまかしではなく、対象を正しく測るためです。
かつて国鉄の順法闘争では、安全確認や手順を文字通り守るだけで鉄道が止まりました。規則を守ることが、鉄道を動かすという目的を壊した例です。家庭や仕事でも、マニュアル通りに動くほど現場が回らなくなることがあります。
ゲーム理論の繰り返し取引では、相手の一度の失敗を裏切りとみなして報復し続けると、小さな誤解が終わらない対立に変わります。一貫した正しさが、かえって関係を壊すこともあるのです。