低価格の中国製EVが話題になる一方、日本では販売が伸び悩む例が見られます。購入を考えるなら、価格や補助金だけでなく、充電環境や航続距離など生活への影響を先に確認しておくことが大切です。
ここでは、ある販売店の話として出てきた数字や指摘をもとに、日本でEVが売れにくい背景と、購入前にチェックしたい点を整理します。数字は参考として扱い、最新の制度は販売店や自治体で確認してください。
日本でEVの販売が伸び悩む背景
BYDはバッテリーメーカーから自動車事業に参入した中国のメーカーで、低価格のEVを強みに世界で販売台数を伸ばしてきました。日本ではATTO 3やドルフィンといったモデルを展開していますが、半年間の目標台数に対して1割強しか売れなかったモデルや、半年で数百台にとどまったモデルもあったといいます。
価格が安く、補助金もあるにもかかわらず売れ行きが伸びない理由として、以下のような点が挙げられていました。
充電スポットの少なさと待ち時間
EVは走行に充電が必要ですが、日本では充電インフラが十分に整っていないという指摘があります。都市部では見つけやすくても、地方に行くと充電スポットが激減する場合があります。また、高速充電でも満充電まで40分程度かかることがあり、その間はスタンドで待つ必要があります。
集合住宅や賃貸に住んでいる場合、自宅に充電設備を設置するのが難しいことも多く、公共の充電スポットに頼らざるを得ません。充電スポットが増えても、集合住宅での充電環境が整わなければ、日常的に使いにくいと感じる人もいるでしょう。
航続距離と寒さによる変化
EVの平均的な航続距離は450km程度とされますが、ガソリン車の満タン時600〜1500kmと比べると短くなります。長距離移動が多い人にとっては、途中での充電計画が必要になります。
さらに、バッテリーは寒さに弱く、冬の寒い地域では航続距離が短くなりやすいという特徴があります。暖房を使うと電力消費が増えるため、実際に走れる距離はカタログ値より短くなる可能性があります。寒冷地での利用を考えている場合は、冬の実走行距離を販売店で確認しておくと安心です。
補助金の先行きと制度変更
日本では国のCEV補助金や自治体の上乗せ補助金があり、あるモデルでは標準価格363万円から国の補助金65万円を引いて298万円程度になる試算もありました。東京都ではさらに上乗せがある場合があります。
一方、欧州ではドイツで補助金の財源問題から打ち切りになったり、イギリスで補助金による支援が終了したりする動きがありました。補助金は政策によって変わるため、購入時点の条件を必ず確認する必要があります。補助金を前提に予算を組むと、制度変更で負担が増える可能性があります。
購入前に確認したいチェックリスト
EVが自分に合うかどうかは、価格や性能だけでなく、日常の使い方で判断できます。以下の点を確認しておくと、購入後の負担を減らせます。
- 自宅または職場で充電できるか(集合住宅の場合は管理規約や設備の有無)
- 月の走行距離と、1回の充電で足りるか
- 冬の寒い地域での利用があるか
- 充電待ち時間を許容できるか
- 最新の補助金条件と、自治体ごとの上乗せ
- 中古EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)も選択肢に入れるか
たとえば、通勤で毎日50km走る人が集合住宅に住んでいる場合、自宅充電ができなければ週に数回は公共の充電スポットに通うことになります。充電のたびに40分待つのは負担が大きいため、PHEVやハイブリッド車のほうが生活に合うかもしれません。
数字だけでは判断しない
販売台数や補助金の大きさは参考になりますが、自分の生活に合うかどうかが最も重要です。低価格のEVでも、充電環境が整っていなければ日常の負担が増えます。逆に、自宅充電ができて走行距離が短い人にとっては、燃料費の節約につながる可能性もあります。
購入を検討するときは、カタログの航続距離や補助金後の価格だけでなく、実際に自分が使う場面を想定して、充電計画を具体的にシミュレーションしてみてください。販売店で冬の実走行距離や充電時間を聞くのも有効です。
EVは選択肢の一つであり、すべての人に向いているわけではありません。自分の移動の仕方や住環境に合わせて、無理のない車選びをすることが、暮らしの負担を減らすことにつながります。