かつて日本の携帯電話からインターネットを当たり前にしたiモードは、なぜスマートフォンに置き換わったのでしょうか。技術の進歩だけが理由ではなく、サービスの「開き方」に違いがありました。この歴史をたどると、今の暮らしで無意識に選んでいる便利な囲い込みに気づくヒントが見えてきます。
iモードは、通信速度が遅く画面も小さい時代に、迷わず使えるメニューと独自の仕組みで成功しました。しかし、その成功体験が、後に変化への対応を遅らせることになります。
iモードが作った「閉じた便利さ」
iモードは、キャリアが用意した公式サイトを中心に、着信メロディや占い、ニュースなどを月額数百円で利用できる仕組みでした。パソコン向けの重いウェブページではなく、携帯向けに軽く整理されたメニューが特徴です。通信料は使った分だけかかる従量課金が基本で、使いすぎると請求額が跳ね上がる「パケ死」と呼ばれる経験も珍しくありませんでした。
2002年には契約者数が大きく伸び、2004年にはパケット定額制が一部で始まりました。それでも、公式サイト以外へのアクセスは制限され、何を提供するかはキャリア側が管理する、閉じた世界でした。着メロやデコメ、待受画像、赤外線通信でのデータ交換など、当時の若者にとっては小さな画面の中に自分の世界を作れる魅力がありました。その分、囲い込まれた環境に愛着が生まれ、外の選択肢と比べる機会は少なかったのです。