たんすの着物、しつけ糸が付いていたら一度も着ていない。捨てる前に見る判断材料
着物の整理

たんすの着物、しつけ糸が付いていたら一度も着ていない。捨てる前に見る判断材料

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まず確認したいのは、袖口と裾の白い糸

たんすの引き出しに包まれた着物がある場合、最初に1枚出して袖口と裾のあたりを見てください。白い糸がぐるりとかかっていたら、それは仕立てたときの形を保つための「しつけ糸」です。着るときに外す仮止めなので、これが残っている着物は基本的に一度も袖を通していないことになります。

この事実は、判断に二つの材料を与えます。一つは生地が傷んでいないこと。汗や擦れ、日焼けがないため、畳みじわは伸ばせます。もう一つは、誰かが着てほしいと思って仕立てた着物だということです。反物を買い、寸法を測り、仕立てに出して包んで渡した手間と費用がそこにあります。着る機会がなかったこと自体は、どちらの落ち度でもありません。着物を着る場面がこの30年で減っただけです。しつけ糸が残っている一枚は、布としての使い道が広く残っているため、他の着物とは分けて考えたいものです。

しつけ糸の外し方と、間違えやすい細い糸

しつけ糸を外すときは、引っ張って抜かないでください。糸切りばさみで縫い目の山を一つずつ切り、静かに引き抜きます。引っ張ると生地の折り目が寄り、跡が残ることがあります。外した糸は柔らかく、和裁をする人が再利用することもあるため、取っておく人もいます。また、縫い目に沿って生地と同じ色の細かい糸が通っていることがありますが、これは形を整えるための縫いで、外しません。白くて荒く目立つのがしつけ糸、生地と同じ色で細かいのが別の縫い目です。

手縫いかミシンかは、直しやすさの違い

縫い目を指でそっと左右に引いてみてください。糸がわずかに伸びて離すと戻るなら手縫いです。伸びなければミシン縫いの可能性が高い。手縫いの着物は縫い目をたどって糸を抜けば元の布に戻ります。ミシン縫いは解けますが、針穴が細かく残ります。つまり、手縫いかどうかは「もう一度作り直せるか」の違いにつながります。

裏から縫い目を見ると、手縫いは表に出る糸が小さく、裏側が長くなっています。表に出る糸が少ないほど擦れにくく長持ちするためです。ミシンは表裏の縫い目が同じ長さで、糸の色も白系で通してあることが多い。ただし、ミシン仕立てが悪いわけではありません。安く早く仕上がり、丈夫です。ここで大事なのは良しあしではなく、後で戻せるかどうかです。

裏地の傷みは、部分交換で対応できる

着物をめくると、胴裏と裾の八掛けがあります。八掛けの色が表と大きく違う場合、仕立てられたのがかなり前の可能性があります。最近のものは表に近い色で揃えることが多い。また、表がきれいでも裏が黄ばんでいたり、裾がすり切れていたりすることがあります。八掛けは全体を仕立て直さなくても、裾の裏だけ新しくできます。洋服のコートの裏地を替えるより簡単で、元々交換を前提にした部分です。

胴裏が白ではなく薄い黄色になっているのは、汚れではなく年数による変化です。絹は空気に触れるだけで少しずつ黄ばみます。この黄ばみは洗っても完全には戻りませんが、着れば見えない場所ですし、胴裏だけ交換することもできます。一方、表の生地に茶色い小さな点が出ていたら注意が必要です。カビが原因のことがあり、放っておくと広がります。見つけたらたんすから出して風を通してください。

寸法は切らずに直せる。縫い込みを探す

着物は背が高い人のものを低い人が着ることも、その逆もできます。袖丈や裄、身丈も直せます。洋服と決定的に違うのは、切らずに折って内側に縫い込むことです。短くしたいときは縫い込む量を増やし、長くしたいときは縫い込んであった分を出します。親の着物が小さく見えても、中に布が残っている場合がほとんどです。

縫い込みがあるかは、三つの場所で確認できます。

  • 腰のあたりを外側から手のひらで押さえ、布が重なって膨らんでいる部分があれば、そこが身丈の縫い込みです。
  • 袖の付け根の内側に折り返しがあり、裄を出すときはここから出します。
  • 裾の内側の折り返し幅が広ければ、裾を下ろせます。

自分で測る必要はありません。仕立て直しを頼むときに「縫い込みがどれくらいあるか見てください」と伝えれば通じます。ただし、何十年も同じ折り目で畳まれていると、折った線の部分だけ色が変わっていることがあります。出したときに線が出ますが、裏に回る位置なら気になりません。

着物は直線裁ち。布は全部、縫い目の中に残っている

着物は肩も袖も襟も、すべて直線で裁ちます。曲線が一か所もありません。洋服は体の丸みに合わせて曲線で裁つため、必ず端切れが出ます。着物は一反の反物をまっすぐに切り分け、余った長さも捨てずに縫い目の内側に折り込みます。つまり、たんすにある着物は、買ったときの布がほぼ全部、まだそこにあります。短くするために切られた分も、幅を詰めるために切られた分も、なくなってはいません。畳まれて縫い目の中に入っています。だから寸法を直せるし、親から子、孫へと回すことが成り立っていました。

この構造を知ると、引き出しの中の着物の見え方が変わります。着られない服の山ではなく、形を与えられたまま保管されている布です。洋服は裁ったところから戻れませんが、着物は布のまま残っています。

洗い張りという選択肢

着物をすべて解いて反物の形に戻し、洗って張って干し、もう一度仕立て直す「洗い張り」という仕事があります。汚れが落ちるだけでなく、縫い目の内側にあった布が表に出てくるため、日焼けしていない色が残っています。裾が擦れた着物でも、洗い張りをして上下を入れ替えて仕立て直すことができます。ただし、この仕事をする場所は昔より少なくなり、値段も新しく買うより安いとは限りません。全部を洗い張りに出す必要はありませんが、こうした選択肢があることを知っておくと、知らないまま捨てるのと、知った上で手放すのとでは判断が変わります。

着物だけが何年も決められないのは、値段が分からない、直せるか分からない、譲れるか分からない、自分で決めていいか分からないという情報の不足が重なっているからです。性格の問題ではありません。まずは1枚、袖口と裾のしつけ糸を確認し、手縫いかどうか、裏地の状態、縫い込みの有無を順に見てください。その上で、残す、仕立て直す、手放すのいずれかを選べば、判断は少し軽くなります。ここで紹介したのは、主に「直せるか」と「布として残せるか」の判断材料です。値段や譲り先は、また別に調べる必要があります。

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