2007年、かつて60万部から70万部を誇った『コミックボンボン』が休刊しました。一方で、同じ子ども向け雑誌の『コロコロコミック』は、2022年にポケモンカードを特集した号が100万部を突破するなど、今も刊行を続けています。この差は、単なる運や人気作品の有無だけでは説明できません。
コロコロが繰り返してきたのは、今あるブームが終わる前に、次の遊びの柱を用意しておくことでした。この「次の一手」をあらかじめ持つ姿勢は、日々の習慣や小さなプロジェクトを長く続けたいときにも役立ちます。
消えた雑誌と残った雑誌の違い
コミックボンボンは、ガンプラ記事や『プラモ狂四郎』、ビックリマン特集などで男の子の心をつかみ、1991年頃にはSDガンダムブームを追い風に60万部台まで伸ばし、一時期はコロコロを上回ったとされています。しかし休刊前には10万部を切るまで落ち込みました。
コロコロは1977年に創刊され、当初は『ドラえもん』を1冊でたっぷり読める分厚い雑誌として生まれました。その後、漫画と玩具を連動させる手法を確立し、ブームが去っても次の柱へ移ることで刊行を続けてきました。
コロコロが仕掛けた「次の一手」の具体例
コロコロの歴史をたどると、一つのブームに依存しない工夫が繰り返されています。
- 1987年:ミニ四駆と漫画の連動——『ダッシュ!四駆郎』の連載と同時に、同じマシンを子どもが買って改造し、大会で競う流れを作りました。読んだ後に遊びが始まる仕組みです。
- 1994年:新しい世代への再アプローチ——第1次ミニ四駆ブームが落ち着くと、去っていく読者を追わず、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』で当時の小学生に届く形を用意しました。
- 1995年以降:複数の柱を並行して育てる——ビーダマン、ポケモンとのタイアップ、ハイパーヨーヨー、ベイブレードと、次の遊びを次々に用意しました。
共通しているのは、現在の勢いがあるうちから「これが終わったら何をするか」を考えていた点です。ブームが完全に去ってから探すのではなく、余力がある時期に次の候補を育てていました。
暮らしに置き換えると、何をすればいいか
この考え方は、朝の散歩や読書、勉強の習慣など、自分の生活にも応用できます。一つの方法がうまくいっている間に、次の小さな試みを一つだけ用意しておくのです。
具体的な順番は次のとおりです。
- 今うまくいっていることを一つ書き出す——たとえば「毎朝15分のストレッチ」や「寝る前の読書」など。
- 勢いが衰える兆候を決めておく——「3日連続でやる気が出ない」「同じ時間にできなくなる」など、自分なりのサインを一つ。
- 兆候が出る前に、代わりになり得る小さな行動を試す——ストレッチの代わりに短い散歩、読書の代わりに音声で学ぶ、など。完全に切り替えるのではなく、並行して1週間ほど様子を見ます。
注意したいのは、次の柱を増やしすぎると負担になることです。コロコロは編集部が大きくなり、複数の企画を同時に動かせる体制でした。個人の場合は、一度に試す新しいことは1つか2つまでに絞るのが現実的です。合わないと感じたら、小さく試したうえで早めに手放してもかまいません。
去る人を追いかけないという姿勢
コロコロが第1次ミニ四駆ブームの後に取ったのは、かつて夢中だった子どもたちを追いかけることではなく、新しい小学生世代に届く形を探すことでした。これは、過去の成功体験や以前の自分にしがみつかない姿勢でもあります。
習慣が続かなくなったとき、「以前はできていたのに」と以前のやり方に戻そうとするより、今の生活リズムや体力に合う形を探すほうが、結果的に長く続きやすくなります。たとえば、以前は夜に運動していた人が、生活時間が変わったなら朝の10分に切り替える、といった調整です。
まとめ
長く続けるとは、一つの方法を必死に守ることではありません。今ある勢いが終わる前に、次の小さな柱を用意しておくことです。コロコロコミックの歴史は、その具体的な例を示しています。
今日からできるのは、今うまくいっていることを一つ選び、その次の候補を一つだけメモしておくことです。ブームが去る前に、次の一手を考える余白を作ってみてください。