収納ボックスを買った日は部屋がすっきり見えます。でも半年後、箱の上に物が積まれ、横に2つ目の箱が並んでいる。収納を増やすほど、物を置ける場所が増えて、部屋は散らかりやすくなります。リビングでよく見かける「置かなくていい物」を9つに分け、今日からできる見直し方を紹介します。全部を一度にやる必要はありません。気になる場所から一つずつ試すのが、負担を減らす近道です。
床まわりにある「とりあえず」を手放す
とりあえずカゴ
床の隅に置いた布製のカゴやバスケットには、読みかけの本、充電ケーブル、郵便物などが放り込まれがちです。カゴがあると、置き場所を決めなくても目の前から物が消えるため、決めることを先送りする道具になります。底の方には1か月以上前の物が沈んでいることも少なくありません。
今日のうちにカゴを一つ、床の上でひっくり返してみてください。出てきた物を本来の場所へ戻し、戻す場所が決まっていない物はその場で場所を決めるか手放します。空になったカゴを同じ場所に置く必要はありません。カゴを減らすと、「とりあえず入れる」という選択肢自体が減ります。
マガジンラック
ソファ横のマガジンラックには、読み終わった新聞とまだ読んでいない雑誌が混ざっています。ラックがあると、紙類を取っておいてよいという合図になり、いっぱいになるまで中身を見直しません。1か月分の新聞は重ねると意外に重く、読み返すことはほとんどありません。
新聞は読んだ日に資源ごみの束へ移します。雑誌は読み終わったら1冊だけ残し、残したい記事はページを切り取るか写真に撮っておきます。ラック自体をなくせば、紙類がたまる場所も自然に減ります。
季節違いの家電
10月なのに扇風機がリビングの隅に立っていたり、5月になってもヒーターが出たままになっていたりします。使わない季節の家電は床の一角を占め、ほこりをかぶります。次の季節に使うとき、まず掃除から始めることになります。
季節の家電は衣替えの日に一緒にしまいましょう。しまう前にほこりを拭き、扇風機は羽とカバーを外して洗って乾かしてから収納します。ヒーターもフィルターのほこりを取っておきます。手入れ方法はそれぞれの説明書に書かれています。しまう場所がない場合は、使わない家電を手放すか、収納場所を一つ決めてそこにだけ置くようにします。
見た目が整う収納ほど中身を見直す
引き出し式の収納ケース
半透明の3段や4段の引き出しケースは、中が透けて見えるので何が入っているか分かると思って選ばれます。でも実際には物が重なり、奥の方はほとんど見えません。真ん中の段に何が入っているかすぐに言える人は少ないでしょう。引き出しが1段増えるたびに、探す場所も1か所増えます。
今日、引き出しを1段だけ全部出してみてください。1年使っていない物はその引き出しに戻しません。1段が空になったら、そのケースごとリビングから出すことを考えます。開けにくい引き出しは手が伸びなくなり、中身がさらに忘れられていきます。
揃いの収納ボックス
同じ色・同じ大きさの箱が棚に並ぶと、外から見ると整って見えます。でも蓋を閉じた箱はどれも同じ顔をしていて、ラベルがなければ開けるまで中身が分かりません。見た目が整っていると、中に何が入っていても問題がないように感じられ、中身を見直すきっかけが生まれにくくなります。
箱を一つずつ開けて、中身を一行で言える箱だけを残してください。何が入っているか言えない箱は中身を全部出して見直します。残した箱には中身を書いたラベルを貼ります。小さな物を大きな箱に入れると、空いた場所に別の物が入り込み、関係のない物が一緒に暮らし始めます。箱の大きさは入れる物に合わせて選ぶのが基本です。
テレビ台下の箱
テレビ台の下には、昔のビデオや録画した円盤、遊ばなくなったゲームの箱が入っています。その奥には、どの機械の物か分からない電気の線と説明書の束。もう家にない機械の線がいくつも混ざっています。機械は手放したのに、線と説明書だけが残った状態です。
線を1本ずつ手に取って、どの機械につながっているか確かめてください。今使っている機械の線だけを残し、分からない線は一まとめにして袋に入れます。その袋を1か月使わなかったら手放します。紙の説明書は、今ある機械の分だけにし、多くは製造元の案内で確認できることもあります。テレビ台の裏で絡まった線も、使っていないものを外すだけで掃除がしやすくなります。
リビングの安全とくつろぎを妨げるもの
背の高い収納棚
天井近くまで届く大きな収納棚は、これだけ大きければ全部入ると思って買われます。でも半年もたたないうちに全ての段が埋まります。物量が急に増えたのではなく、物を置ける場所が増えたのです。場所が増えると、物はその場所に合わせて増えていきます。
収納は、いっぱいにするのではなく7〜8割に止めるのが目安です。空きがあれば物を出し入れしやすく、中身も見渡せます。また、背の高い家具は地震の際に倒れたり物が落ちたりする危険があります。東京消防庁の資料では、近年の地震によるけがの3〜5割が家具の転倒や落下、移動によるものとされています。リビングは家族が長く過ごす場所なので、ソファや通り道、出口の近くに背の高い家具を置かないことが大切です。
すぐに手放せない場合は、家具を壁にしっかり固定する、重い物を下の段に移す、ソファや寝る場所・出口の近くに置かない、の3つを試してください。詳しい方法は東京消防庁やお住まいの自治体の案内にまとめられています。中身を見直して上の段が空いたら、もっと低い家具に変える選択肢も出てきます。棚が低くなると部屋の見晴らしが変わり、リビングが一回り広く感じられます。
ソファのクッションとブランケット
ソファの上にクッションが5つ並び、その上に畳んでいない膝かけが2枚かかっていると、家族が座るためにまずクッションをどかすところから始まります。どかしたクッションは床に置かれ、座れる場所は減ったままです。クッションカバーは洗う手間がかかるため、毎日体が触れるものなのに洗われていないこともあります。
クッションは座る人の数までに減らしてみてください。ブランケットは季節ごとに1人1枚にし、使わない季節はしまいます。何も乗っていないソファに座ると、体がふっと緩みます。残したクッションカバーは月に1度洗えるようになります。家族が並んで座れる場所が一つ戻ってきます。
飾り棚やオープンラックの小物
旅行の土産、家族の写真立て、頂いた小物、季節の飾り。一つずつは思い出のある物ですが、並べる物が増えると棚の上はほこりの集まる場所になります。一つずつ持ち上げて拭くのは手間なので、そのうち拭かなくなり、たくさん並んだ物は一つずつの印象が薄れていきます。写真も10枚並ぶと、1枚ずつの顔が見えにくくなります。
飾る物は季節ごとに3つまでと決めてみてください。他の物は箱に入れて休ませ、季節が変わったら入れ替えます。入れ替えた日に久しぶりに出てきた置き物は、また新鮮に見えます。棚の上の小物は地震で揺れたときに最初に落ちてくる物でもあるので、数を絞ると掃除も安全面も楽になります。
収納そのものを増やしすぎていないか
ここまで9つの物を見てきました。共通しているのは、収納用品があることで「物を置く場所」が増え、物を手放すかどうかの判断が先送りされることです。収納を増やすことは物を減らすことではなく、決めることを先に伸ばしていることでもあります。
新しい収納を買う前に、まず中身を一つ出して、使うかどうかを決める。その一手間が、リビングの余白を取り戻す近道です。全部を一気にやろうとせず、今日はカゴ一つ、引き出し一段、箱一つから始めてみてください。合わないと感じたら、無理に手放さず、配置や固定で安全を確保する方法もあります。