転売の利益は申告しなくても大丈夫?「みんなやってない」を信じると危なくなる理由
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転売の利益は申告しなくても大丈夫?「みんなやってない」を信じると危なくなる理由

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転売で得た利益について「申告しなくても大丈夫」と言われたら、それはかなり危険な助言です。単発で自分の不用品を売っただけなら確定申告が不要なこともありますが、同じ商品を繰り返し仕入れて売る行為は、税務上は「事業」として扱われ、申告の義務が生じます。しかも、証拠を捨てたり申告を放置したりするほど、あとから支払う金額は大きくなりやすい。

ここからは、なぜ「みんなやってない」という言葉を信じてしまうのかという心理の話と、実際に何が問題になるのかという制度の話を分けて整理します。

「不要品を売っただけ」が通じなくなる線引き

判断の分かれ目は、反復継続性です。これは「同じことを繰り返し、続けて行っているか」という意味です。引っ越しで使わなくなった家具を一度売る、というのは典型的な不用品の処分です。一方で、抽選に当たったゲーム機を売り、次はカード、その次はシールと、仕入れては売ることを繰り返しているなら、それはもう「たまたま売れた」ではありません。

開業届を出しているかどうかは関係ありません。開業届は「事業を始めます」という届け出であって、出していなければ申告しなくていいという話にはなりません。むしろ、届け出がないまま売上だけが積み上がるほど、税務署から見た説明材料は少なくなります。

なぜ「みんなやってない」を信じてしまうのか

この言葉には根拠がありません。ただ、信じてしまうのには理由があります。

ひとつは、目に入る情報が偏りやすいことです。SNSには「今月も稼げた」という投稿が流れてきますが、税務調査を受けて追徴課税を払った人の投稿はほとんど流れてきません。うまくいった例だけが見えて、うまくいかなかった例が見えない状態では、「みんなうまくやっている」という印象だけが残ります。

もうひとつは、自分にとって心地よい情報のほうを集めてしまう癖です。「副業なら20万円までなら大丈夫」といった都合のいい一部分だけを覚えて、それ以外の条件を確かめなくなる。これは特別な人に起きることではなく、誰にでもある傾向です。だからこそ、判断は記憶や印象ではなく、確認できる記録と制度に置き直す必要があります。

レシートを捨てると、税金はむしろ増える

売上から仕入れや送料を引いたものが利益、つまり課税の対象になります。このとき仕入れの金額を証明するものがなければ、経費として認められません。

仮の例として、550円のシールを10枚仕入れて1枚1100円で売ったとします。仕入れの記録が残っていれば、利益は5500円です。ところがレシートを捨てていて仕入れを証明できないと、売上の1万1000円がそのまま所得と見なされる可能性があります。同じ売上でも、手元に残る金額は変わってしまうのです。

さらに、意図的に証拠を隠したと判断されると、通常の加算税に上乗せして重加算税が課されることがあります。重加算税の率は、過少申告の場合で35%とされるのが一般的です。加えて延滞税が期間に応じて加算され、悪質と見なされれば調査の対象期間が通常の5年から7年に延びることもあります。

数字については、国税庁の公表資料や税務署の窓口で確認してください。ネット取引をめぐる税務の解説では、2019年度にネット取引を行う個人を調査したところ、その多くで申告漏れが見つかり、追徴課税の総額が65億円に上ったという数字が挙げられることがあります。ただし、こうした数字は年度や調査対象によって変わります。自分の場合はどうなのかを、一次情報で確かめるのが確実です。

税金以外にもうひとつ。古物商許可という論点

中古品の売買を反復継続して行う場合、古物商許可が必要になるとされています。ゲーム機やカードのように、一度誰かの手に渡った品を仕入れて売る行為は、ここに触れる可能性があります。無許可で営業した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金といった罰則が定められているとされる点も、税務とは別の論点です。

一方で、新品を仕入れて売るだけの場合など、古物商に当たらないケースもあります。判断は扱う商品や取引の形によって変わるので、ここは自分で決めずに、税務署や税理士、警察署の生活安全課などに確認したほうが安全です。

今からできる整理のしかた

すでに取引を重ねてしまった場合でも、できることはあります。順番としては、次のような整理です。

  • フリマアプリやオークションの取引履歴を、期間を区切って書き出す
  • 銀行口座や決済サービスの入金記録を、売上の裏付けとして残す
  • クレジットカードの明細から、仕入れの記録を拾う
  • 送料や交通費など、売上に直接かかった費用をメモしておく

レシートを捨ててしまっていても、カード明細や取引履歴から仕入れを復元できることはあります。何も残っていない状態より、一部でも残っている状態のほうが説明はしやすくなります。

そして、申告をしていなかったことに気づいた時点で早く動くほど、選べる道は広がります。税務調査の連絡が来る前に自主的に修正申告をすれば、加算税が軽くなる扱いを受けられる場合があります。逆に、連絡が来たあとに証拠を消したり投稿を削除したりすると、隠そうとした意思があると見なされ、状況が悪くなることがあります。

当てはまらない場合

ここで書いたことが全員に当てはまるわけではありません。自分の持ち物を一度だけ売った、利益がほとんど出ていない、そもそも売れずに手元に残っている、という場合は話が別です。また、副業の利益がいくらまでなら申告不要かという線引きも、給与所得以外の所得の合計額や扶養の状況によって変わります。「20万円ルール」という言葉だけを覚えるのではなく、自分の場合はどうなのかを確認してください。

判断に迷ったときは、税務署の相談窓口や税理士に聞くのが最短です。相談したからといって、その場で何かが始まるわけではありません。むしろ、あいまいなまま抱えている状態のほうが、心の負担は大きくなります。制度を知ることは、自分を守るための材料を増やすことです。

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