「不幸な老後」を避けるために今からできること──データが示す幸せの分かれ道

「不幸な老後」を避けるために今からできること──データが示す幸せの分かれ道

読了目安:約5分
文字サイズ

仕事を頑張ってお金を貯め、将来に備える。それが正解だと思ってきたのに、ふとした瞬間に「これだけで本当に幸せになれるのだろうか」と疑問を抱くことはありませんか。人生の先輩たちが老後に何を後悔しているかを知れば、今の自分が何を優先すべきかが見えてきます。ビジネス誌『プレジデント』が実施した4,295人へのアンケート調査(2020年)から、幸福な老後を分ける「お金と健康、人間関係」のリアルなデータを紐解きます。

幸せを左右するのは「健康」と「家計」──圧倒的な2強

「あなたの幸福と関係が深いものはどれか」という問いに、40代以上のシニア層が選んだ上位2つは明確でした。

  • 1位:健康状況(77%)
  • 2位:家計の状況(70%)

仕事や友人関係、生きがいを挙げた人は全体の3割程度にとどまり、「身も蓋もない結果」と言わざるを得ません。実際、「今幸せ」と答えた人の74%は「家計に不安がない」一方で、「今不幸せ」と答えた人の79%は「家計に心配がある」と回答しています。学術研究でも同様の傾向が示されており、幸福を語るうえで「お金と健康」の話は避けて通れないのです。

【図表プレースホルダー】幸福感と関係が深い要因のランキング(プレジデント調べ・n=4,295)

年収450万円が「幸福の上限」になる理由

大阪商業大学の西戸教授の分析によれば、年収が450万円を超えると幸福度への影響は薄れるといいます。高齢者世帯の平均所得は約336万円、モデル世帯の公的年金受給額は年間約285万円。年収450万円はその1.6倍にあたり、大きなライフイベント(結婚・住宅・教育)が済んだシニア世代にとっては「不自由しない水準」なのです。

では、現役世代の私たちはどうすればいいか。公的年金(約285万円)に加え、「稼ぐ力」で月10万円(年120万円)、「増やす力」で月10万円の資産所得を確保できれば、合計年収は約525万円。幸福度の上限ラインを余裕で超えられます。月10万円の資産所得を生むには、ざっくり3,000万円以上の資産(上位1割水準)が目安です。「行動する人にとって、今の時代はすごくいい時代」と言えるのは、こうした道筋が見えているからです。

40・50代が「やっておけばよかった」と後悔するトップ10

調査で浮き彫りになった後悔の声は、今の私たちへの強力なメッセージになります。

10位〜7位:健康と体験への投資をケチった後悔

  • 10位:酒を覚えなければよかった──お金と健康を同時に失うリスク
  • 9位:生まれ変わったら別の職業に就きたかった──心の声を無視して我慢し続けた末路
  • 8位:もっと日本や世界を回りたかった──「いつか」が永遠に来ない現実
  • 7位:歯の手入れをしっかりやっておくべきだった──歯がダメになるとQOL(生活の質)がガクンと下がる

「自分の体は一生乗り続けるたった1台の車」。質のいい食事、良質な睡眠、適度な運動、歯のケア──健康にお金を使うことは「最高の投資」です。歯医者が怖いなら、お守り代わりに小さなアイテムを持ってでも、今すぐ予約を入れてみてください。

6位:ケチケチせず、いいものを食べておけばよかった

「使う力」の練習として、あえて高級レストランやホテルのモーニングを予約してみた人たちからは、「空間ごと楽しめた」「また来られるよう頑張りたい」「固定費に敏感になった」という声が上がりました。貯める力と使う力のバランスを取れる人は、この後悔を回避できます。

5位〜2位:すべて「人間関係」の後悔

  • 5位:死ぬまでにあの人に会いたい、話がしたい
  • 4位:子供ともっと一緒に過ごせばよかった
  • 3位:親ともっと会話しておけばよかった
  • 2位:親孝行ができなかった

健康もお金もある程度ある人にとって、幸福の最大の寄り所になるのは「人間関係」です。忙しさを理由に、子供・パートナー・親・友人との時間を後回しにしていませんか。放置すれば必ずツケが回ってきます。「プレゼント予算講座」のように、感謝を伝える仕組みをカレンダーに組み込むのも一つの手です。

1位:もっと貯金しておくべきだった

お金がある程度あれば幸福度への影響は小さくなりますが、「ある程度のお金を持たない人にとっては、まさに死活問題」です。ユダヤの教えに「金の詰まった財布は、空の財布より重いが、空の財布より軽い」という言葉があります。備えがあるからこそ、心に余裕が生まれ、健康や人間関係にも投資できるのです。

「5つの力」で不幸の落とし穴を回避する

この調査が示すのは、貯める・稼ぐ・増やす・守る・使うという「お金にまつわる5つの力」をバランスよく育てることの大切さです。どれか一つでも欠けると、老後のどこかで落とし穴にはまります。

  • 貯める力:固定費を見直し、種銭を作る
  • 稼ぐ力:本業・副業でキャッシュフローを太くする
  • 増やす力:インデックス投資などで資産を育て、不労所得を作る
  • 守る力:保険・詐欺対策・相続準備で資産を守る
  • 使う力:健康・体験・人間関係にお金を使い、今も未来も豊かにする
【図表プレースホルダー】5つの力のバランスシート──自分の得意・不得意をチェックしてみよう

今日から始められる「未来の自分へのプレゼント」

データが教えてくれるのは、特別な才能や運ではなく、「今の小さな選択の積み重ね」が老後の分かれ道になるということです。まずは以下のどれか一つから、今週中にアクションを起こしてみませんか。

  • 家計簿アプリを開き、固定費の見直しポイントを1つ見つける
  • 歯医者の予約を入れる(怖ければお守りを持って)
  • 大切な人に「ありがとう」を伝えるメッセージを送る、または会う約束をする
  • つみたてNISAやiDeCoの設定を見直し、月々の積立額を1,000円増やす
  • 「使う力」の練習として、少し贅沢なランチや体験を予約する

完璧を目指す必要はありません。行動した分だけ、未来の選択肢は広がります。あなたが「あのとき動いておいてよかった」と思える日が来るよう、今日という一日を大切に積み重ねていきましょう。応援しています。

シェアする

気になる記事から、別の視点も見つけてみませんか。

【名言】人のぬくもり——心に響く一言
心のケア

【名言】人のぬくもり——心に響く一言

「人によって負った心の傷は、やはり人のぬくもりによってしか真に癒えることはない。絶望の夜を越えた先には、あなたの傷口を優しく撫でてくれる温かな光のような愛が必ず待っている。」 この言葉は、深い傷を抱えたときに心を閉ざしがちな私たちへ、再び人との温かなつながりを信じる勇気を与えてくれます。 背景・文脈...

記事を読む
市原隼人が語る「すべては自分次第」——人生を変える小さな行動の積み重ね
生き方・マインドセット

市原隼人が語る「すべては自分次第」——人生を変える小さな行動の積み重ね

俳優の市原隼人さんが、自身の経験から導き出した「人生の分岐点」について語っています。かつては「いい日になればいいな」「いい環境になればいいな」と、すべてを外部や他人のせいにしていたという彼。しかし、ある気づきを得てから、世界の見え方が大きく変わったといいます。 「いい日」は待つものではなく、自分で作...

記事を読む
人生を変えるのは意思ではなく「3つの環境」──人間関係・情報・物理空間を設計し直す技術
自己啓発

人生を変えるのは意思ではなく「3つの環境」──人間関係・情報・物理空間を設計し直す技術

なぜ決意だけでは人生は変わらないのか 「今度こそ本気で変わる」と目標を立て、数日は走り出せる。けれど気づけば元の日常に戻っている──そんな繰り返しを、自分の意思が弱いせいだと責めていませんか。実は、変われない理由は意思の強さではなく、あなたを取り巻く「環境」が今のあなたを維持するようにできているからで...

記事を読む
「また会いたい」と思われる人が会話で使う7つの言葉——相手を変えずに心を軽くする伝え方
会話術

「また会いたい」と思われる人が会話で使う7つの言葉——相手を変えずに心を軽くする伝え方

会話の後に、なぜか気持ちが温かくなる人がいる。特別に面白いわけでも、いつも笑わせているわけでもない。そういう人の言葉には共通点がある。相手を自分の思い通りに変えようとせず、その人自身を理解しようとしていることだ。ここでは、日常の会話で使える7つの言い回しを、具体的な場面と選べる対応とともに整理する。...

記事を読む

気になるテーマを、次も。

フォローしたテーマの新着記事をホームに表示します。登録は不要です。