豆腐を毎日のように食べている家庭は多い。冷ややっこや湯豆腐は噛む力が弱くなっても食べやすく、肉の代わりにもなる。ただ、木綿と絹をなんとなく選んでいると、体に届く栄養は意外なほど変わる。木綿豆腐100gあたりのタンパク質は7.0g、絹ごしは5.3g。同じ一丁でも木綿のほうが約3割多い。筋肉や骨を意識する日は、まず木綿を選ぶところから始められる。
木綿と絹で届く栄養が変わる
木綿は豆乳を布で濾して水分を抜いて固める。絹ごしは豆乳をそのまま固める。この作り方の差がタンパク質・カルシウム・カロリーに表れる。
筋肉については、65歳以上で1日に推奨されるタンパク質は女性50g、男性60gとされる。3食でそれぞれ20g近くを目安にすると、木綿なら1/3丁でその約1/3を補える。豆腐は柔らかく、噛む力が落ちた人でも肉より食べやすい。
骨については、木綿100gのカルシウムは93mg、絹ごしは75mg。300gの一丁なら木綿で約280mgになる。凝固剤に硫酸カルシウムを使った豆腐はカルシウムがさらに多くなる。大豆イソフラボンが骨を保つ方向に働く可能性も研究で調べられているが、効果の大きさはまだはっきりしていない。骨の材料は毎日の食事から少しずつ積み上げるしかない。
血管については、約4万人を10年以上追った調査では、大豆を多く食べる女性に脳梗塞などのリスクが3割以上低い傾向がみられた。大豆タンパク質には悪玉のLDLコレステロールを下げる方向に働くという研究もある。肉の一部を豆腐に置き換えると、飽和脂肪酸が減り、血管への負担を軽くしやすい。
体重については、木綿100gで73kcal、絹ごしなら56kcal。皮付きの鶏もも肉と比べると半分以下になる。挽き肉の半分を豆腐に変えた豆腐ハンバーグにするだけでも、一食分のカロリーを下げられる。豆腐は食べる量を大きく減らさずにカロリーだけを下げられる食材だ。
更年期の不調については、大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きを持つ成分として研究されてきた。ほてりが和らいだという報告もあるが、結果はまちまちである。食品安全委員会はこれまでの研究をもとに、イソフラボンの1日の摂取目安を70〜75mgとしている。豆腐1丁で目安に近づくこともあるが、サプリの上乗せは1日30mgまでとされる。食品で超えても直ちに害とは限らないが、サプリは注意したい。
豆腐の良さを打ち消す3つの習慣
- 冷ややっこに醤油をたっぷりかける。醤油大さじ1杯で食塩は約2.6gになる。かつお節や生姜、ネギを多めにのせれば、醤油は小さじ半分ほどで足りる。ポン酢大さじ1杯の塩分は醤油の半分ほどで、酸味があるため薄味でも物足りなさを感じにくい。
- 夕食の主菜を豆腐だけにする。冷ややっこ1/3丁ではタンパク質が7gほどしかなく、1食の目安の3分の1程度にとどまる。豆腐なら半丁を目安にし、卵や魚を一品添えるとタンパク質が揃いやすい。
- 開封した豆腐を水に浸けたまま何日も置く。豆腐は傷みやすい。開けたら水を毎日替え、2日ほどで食べ切るのが目安。食べきれないときは水気を切って冷凍すると、高野豆腐のような食感になり煮物に使える。解凍して水を絞ると味が染み込みやすい。
目的に合わせた選び方と組み合わせ
タンパク質とカルシウムを重視するなら木綿、喉越しと柔らかさなら絹ごしを選ぶ。同じ一丁でも重さは300gから400gまで幅があるため、値段は重さで比べたい。充填豆腐は豆乳をパックに詰めてから固めたもので、開けるまで水に浸かっていない。
凝固剤の表示も確認しておきたい。原材料欄に硫酸カルシウムとあればカルシウムが増える。にがりで固めたものとは栄養の特徴が少し変わる。
高野豆腐も日持ちする備えになる。1枚約16gにタンパク質が8g、カルシウムが100mgほど含まれる。水で戻すと数倍に膨らみ、出汁をたっぷり含んで柔らかくなる。常温で長く持つため、買い物に出にくい日のために置いておける。
豆腐に足すと相性のよい食材
- かつお節。小袋1つ2.5gでもタンパク質が2g近く増える。香りは熱で立ちやすいので、湯豆腐には食べる直前にのせるとよい。醤油が少なくても味がまとまる。
- キムチ。乳酸菌と唐辛子の辛みで、淡白な豆腐が食べ応えのある一品に変わる。ただしキムチ100gには塩分が3g近くあるため、のせるのは大さじ1杯ほどを目安にしたい。ごま油を数滴垂らせば辛みがまろやかになり、塩分の多いタレを足さずに済む。
- 小松菜。小松菜100gのカルシウムは170mgで、木綿豆腐の倍近くになる。一株をざく切りにして豆腐半丁と炒めれば、5分ほどで主菜になる。小松菜に多いビタミンKはカルシウムを骨にとどめる働きに関わるとされる。仕上げにすりごまを振ると香りとカルシウムが加わる。
豆腐についての質問
- 加熱しても栄養は変わらないか。タンパク質やカルシウムは、湯豆腐や味噌汁にしてもほとんど減らない。温かい料理でも使いやすい。
- 痛風が気になる場合。豆腐100gあたりのプリン体は30mg前後で、食品の中では少ない部類に入る。医師に止められていなければ、普段の量を大きく気にしすぎなくてよい。
- 腎臓の病気でタンパク質を制限されている場合。豆腐の量も含めて主治医や管理栄養士の指示に従う。自己判断で増やすのは避ける。
豆腐は木綿か絹かで、筋肉や骨に届く量が変わる。筋肉や骨を意識する日は木綿を1食に1/3丁から始め、喉越しを楽しみたいときは絹ごしを選ぶ。冷ややっこは醤油を半分にし、かつお節を多めにのせるだけでも、同じ豆腐が少し違った支えになる。