片づけが進まないのは性格のせいではない。本に書かれていない前提と、捨てるのにかかる本当のお金
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片づけが進まないのは性格のせいではない。本に書かれていない前提と、捨てるのにかかる本当のお金

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片づけの本を何冊か読み、その通りにやってみても、半年すると元に戻る。そんな経験が重なると「自分は片づけが苦手な人間だ」と思いがちです。ただ、進まない原因は性格や決断力ではなく、方法がその家に合っていないことにある場合がほとんどです。とくに、本に書かれていない前提や、捨てるために必要な費用を知らないまま始めると、途中で止まってしまいます。ここでは、片づけを教える立場の人もあまり触れない、家の違いと費用の話を整理します。

まず分けたいのは「毎日使うもの」と「備えのもの」

「1年使わなかったら捨てる」という決まりは、迷わずに済む使いやすい方法です。ただし、この決まりにははっきりした弱点があります。1年に一度も使わないことが正常なものが、家の中にはあるからです。礼服、法事の道具、来客用の布団や座布団、正月の重箱、防災用の水や道具、お盆の用意。これらは使わないこと自体が問題ではなく、むしろ出番がないほうが良い暮らしとも言えます。

厄介なのは、このグループは急に必要になると待ってくれないことです。礼服が必要になるのは、たいてい前日の夜です。買いに行く時間があるとは限らず、サイズを直す余裕もまずありません。「1年使わなかったら捨てる」を真面目に守った家は、急ぎで必要になるものから順に失っていくことになります。決まりが悪いのではなく、当てはめる範囲が違うのです。

この決まりを使う前に、家中のものを「毎日使うもの」と「備えのもの」に分けます。分け方は簡単で、こう自問します。「これがない状態で急に必要になったら、明日までに用意できるか」。できるなら1年の決まりを当てて構いません。使っていない鍋やタオル、文房具は明日でも買えます。できないなら外します。礼服、来客用の布団、重箱は外す側です。この一问を先に通すだけで、1年の決まりは使いやすい道具に戻ります。

「ときめくか」で判断できないものには別の物差しを

手に取って心がときめくかどうかで決める方法は、服や食器には有効です。言葉で説明できない価値を体の反応で拾えるからです。しかし、この物差しでは答えが出ないものもあります。遺影、仏壇の道具、親の形見、権利書、保険の証書、頂いた引き出物、亡くなった方からの手紙。これらは手に取って「ときめくか」と聞いても、意味のある答えが返ってきません。ときめかなくても手放せないのは、迷いではなく、そういう種類のものだからです。

このグループには別の決まりが必要です。次の3つが役立ちます。

  • これは自分一人で決めていいものか。兄弟や子ども、夫に関わるものなら、手放すかどうかより、誰が決めるかを先に相談する。
  • 亡くなったときに困るのは自分か、他の人か。権利書や証書のように家族全体が困るものは、ときめきで決めるものではない。
  • 手放すのではなく、場所を決めるだけで済まないか。仏具や形見は、量ではなく散らばっていることが問題な場合が多い。一箇所にまとめた時点で片づけとしては終わっている。

ときめかないまま残したものに罪悪感を持つ必要はありません。物差しがそのもののために作られていないだけです。

家の中には、自分一人で決められないものがある

50代、60代の家の中には、大きく分けて4種類のものがあります。自分のもの、夫のもの、出ていった子どものもの、亡くなった親のもの。自由にできるのは、このうち自分のものだけです。夫の本や釣り道具、工具、会社の資料に手を出せば揉めます。出ていった子どもは「もういらない」と言っても、捨てたと言うと怒ることがあります。親のものは兄弟のものでもあります。

ところが片づけの本の多くは、家中を自分で決められる前提で書かれています。一人暮らしの人や、物の少ない家庭の人が書いているからです。そのため、本の通りに進めると2日目か3日目に壁に当たります。自分のものを片づけ終え、他人のものの前で止まるのです。それは続かないのではなく、権限のない場所まで来ただけです。

片づけを教える人の中には、押入れの前で夫や親の荷物を前に、午後いっぱい座っていたという経験を語る人もいます。その日の自分の仕事は午前中に終わっていて、午後に必要だったのは意思ではなく、本人に確認する電話でした。他人のものは「捨てるかどうか」より「誰が決めるか」を先にします。家族の状況はそれぞれですが、ここで自分を責める必要はありません。

片づけ前後の写真は「状態」ではなく「瞬間」

片づけ前と後の写真を見ると、できそうな気がしてきます。ただ、知っておきたいことが二つあります。一つは、あの写真はたいてい一部屋で、家中ではないこと。そして、どこか別の場所に移しただけということも起こり得ます。写真の外に何があるかは映りません。もう一つは、写真は状態ではなく瞬間だということです。人が暮らしている部屋は必ず散らかります。今日使ったものが今日は出ている。それが暮らしているということです。写真で見ているのは、誰も何もしていない瞬間です。

暮らしが止まっている状態と、自分の生きている部屋を比べても勝てません。比べるなら他人の写真ではなく、先月の自分の同じ場所です。片づけを始める前に、その場所を一枚撮っておきます。人の目は減ったものを見ず、残っているものだけを見ます。3時間かけて半分に減らしても、見回すと「まだこんなにある」としか思えないものです。始める前の一枚を見て初めて、自分が何をしたのかが分かります。地味ですが、片づけが続くかどうかはこの一枚でかなり変わります。

片づいた部屋は戻る。戻る前提で見直す

片づけた部屋は戻ります。半年から1年で、大体元の7割くらいまで戻ることがあります。これは失敗ではなく、暮らしが続いている証拠です。買い物をし、人が来て、季節が変われば、物は入ってきます。ところが本の最後には「これで一生片づいた家になります」と書かれていることが多く、戻った時点で自分は失敗したと思ってしまいます。失敗したと思った人は、二度目をやりません。

正しくは、戻るのが普通です。年に2回か3回、同じ場所を見直すのが片づけの本当の形です。一回で終わる仕事ではなく、歯磨きに近い仕事だと考えます。そう思えれば、戻ったときに落ち込まずに済みます。

捨てるにはお金がかかる。始める前に金額と出せないものを確認する

片づけの本には「捨てましょう」と書いてありますが、捨てるのにいくらかかるかは、ほとんど書かれていません。家電リサイクル法では、品目とメーカーによってリサイクル料金が決まっています。テレビは15型以下でおよそ1364円から、16型以上でおよそ2464円から。冷蔵庫・冷凍庫は170Lまででおよそ3784円から、171L以上でおよそ4774円から。洗濯機・衣類乾燥機はおよそ2574円から、エアコンはおよそ550円からです。

ただし、これはリサイクル料金だけです。自宅まで取りに来てもらう費用は別にかかり、引き取る店によって異なります。自分で指定の場所まで運べば、その分は安くなります。冷蔵庫を一台手放すだけでも、リサイクル料金に運搬が加わります。古い家電が3つ4つある家なら、片づけを始めた月にそれだけで万単位のお金が出ていくこともあります。

家電だけではありません。粗大ごみの手数料は自治体ごとに決まっており、タンス、ソファー、マットレス、自転車、布団など一点ごとにかかります。スプリング入りマットレスやピアノ、金庫などは受け付けていない地域もあります。片づけを始める前に、お住まいの自治体の粗大ごみ案内を10分ほど読み、出せるもの、出せないもの、一点の手数料を確認しておきます。出せないものがあると分かった時点で、それは片づけではなく手配の仕事になります。手配を片づけの日にやろうとするから、一日が止まるのです。

たとえば紙を一枚用意して、「自分で袋に入れて出せるもの」と「手配や料金が必要なもの」に分けてみると、片づけ当日の止まりどころが減ります。費用を先に把握しておくと、片づけの段取りが変わります。

片づけが進まないのは、あなたのせいではありません。家の種類、権限、費用、戻る前提を知らないまま、合わない方法を使っていただけです。まずは備えのものを外し、自治体の案内を見て、始める前に一枚写真を撮る。この三つだけでも、止まる理由はかなり減ります。

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